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タイムトラベルって、結局できそう?

2025年02月04日 22時03分47秒 | 科学のはなし

よくSF映画に出てくる、あのタイムトラベルです。

21世紀に突入してもうしばらく経ちましたが、まだ実現のメドは立っていません。べつに恐竜をひやかしたり、第二次世界大戦を未然に阻止するために過去へ行きたいわけじゃないんです。数週間前の自分にアホなことをしでかさないよう説教してくるだけで充分。それか、次の何ヶ月間か、何年間かを瞬時にやり過ごして、コロナから完全に解放された輝かしい時代にワープできたらいいのに。

もちろん今はそんなことできません。でも、いつかできるようになるんでしょうか?

遠い未来への行き方はふたつある

Natasha Hurley-Walker(カーティン大学国際電波天文学研究所上級講師)
まずはじめに、当たり前のことを指摘しておきますね。タイムトラベルはすでに可能です。私たちは皆、時間の流れに飲みこまれて容赦なく未来へ、未来へと旅しているのですから。


人やモノは、空間においては全方向に自由に移動できますが、時間の流れは常に一方向です。これらの違いがあるにしろ、空間と時間はどちらも「時空」という、かのアインシュタインが100年以上も前に「特殊相対性理論」において打ち出した4次元上のコンセプトと密接に関わっています。

特殊相対性理論によれば、あなたが空間を移動するスピードが速ければ速いほど、あなたの時間と静止している観察者の時間との間に誤差が生じます。これがあの「双子のパラドックス」ですね。双子のかたわれが地球に残り、もう一人が光速に近い猛スピードで宇宙旅行に出かけたとします。旅する双子が地球に帰還した時、彼女の時計は地球でお留守番していた双子の時計よりも進んでいないことになります。もし遠い未来へ行って地球の行く末を確認したいのなら、めちゃくちゃ速い宇宙船を開発して地球を一旦離れ、戻ってくればいいだけの話です。


アインシュタインの更なる洞察は、重力が力ではなく、物質による時空のゆがみであると「一般相対性理論」において数学的に導き出したことでした。この理論を極限にまで再現したのが映画『インターステラー』です。物理学的なことはおおむね正しく反映されていて、映画の主人公たちは長きにわたって重力のるつぼにハマっていたために、時間の経過がほかの人よりも遅くなってしまった、という筋書きになっていましたよね。

(唯一『インターステラー』に物申したい点は、映画に出てくる科学者たちが几帳面に数式を解いていくよりもヒラメキだの勘だのと直感的な要因から行動したがるところです。あと、1時間ぐらい長すぎたかな。)ですから、遠い未来へ旅するもうひとつの方法として、とんでもない質量を持った物体のそばでちょっと時間を潰せばいいということになります。たとえば、ブラックホールなど。もちろん、これを成し遂げるためには

1) ほかの天体と融合しつつあるブラックホールには近寄らないこと(致死量のガンマ線を浴びたくないかぎりは)、

2) 自分が生きている間にブラックホールに到達し、そこから地球に帰ってくること、

3) ブラックホールの潮汐力に引きちぎられないよう、慎重に軌道を選ぶこと、

この3点が重要になってきますね。言うのは簡単、やるのはそう簡単ではないかもしれません。


ここまでは、冒険心あふれる旅人が二度と会えない友人や家族を地球に残し、たった一人で遠い未来へと旅立つことを想定してきました。ですが、わたしたちが通常タイムトラベルに望んでいるのは時間の中を自由に進んだり、戻ったりすることですよね。相対性理論はここでは役に立ってくれません。時間をさかのぼるということは、光の速さよりもさらに速いスピードで移動することを意味し、その時点であなたの質量は無限大になり爆発してしまうでしょうから(洞察をありがとう、アインシュタイン)。

さらに、時間を逆戻りする行為は熱力学の第2法則に反しますから、ありとあらゆる時間のパラドックスに悩まされ、そのパラドックスのせいでひどい頭痛にも悩まされることでしょう。
しかし、物理学というものはそもそも私たちの頭に苦痛を与えることを得意としていますから、そんな頭痛を乗り越えて、ワームホールをくぐり抜けさえすれば光が時間をさかのぼることが理論的に可能になると導き出した勇猛な同僚たちもいることはいます。

個人的には、人間原理に基づいて、こんなことを思うんです。「もしタイムトラベルが可能だったら、すでにタイムトラベルしてきている人がいるはずではないのか?」ってね。タイムトラベルが可能になるかどうかファイナルアンサーが欲しいなら、世間がもうちょっと理論物理学の研究にも資金を投じてくれたらうれしいなって思うのですけれど。


タイムトラベルに関する量子力学的な考察

Seth Lloyd(マサチューセッツ工科大学機械工学・物理学教授)
本当のところ答えはまだ誰にもわかりません。しかし前置きとして、タイムトラベルは物理学の法則とつじつまが合いますし、アインシュタインの一般相対性理論とも矛盾していないことをまずお伝えしておきます。

2008年に、当時取り組んでいた量子コンピューティングの研究がヒントとなり、私はあることに気づきました。量子テレポーテーション、そしてブラックホールに関する量子論を組み合わせれば、量子タイムトラベルが可能になるのではないかと。

量子力学をやっている人は、もしブラックホールに吸い込まれたとしてもボロボロになりつつなんとか脱出する方法はあると考えます。もちろん試してみることはおすすめしませんし、私だってそんなことにチャレンジする最初の人類になりたくありませんから、確かめようがありません。ただ、もしも仮にブラックホールから脱出できるとしたら、その時の速度は光速を超えていることになります。そしてアインシュタインの特殊相対性理論によると、光速よりも速く移動できれば過去に信号を送ることが可能になるのです。


万人にその信憑性を認められている相対性理論がタイムトラベルは可能だとしていること、そしてその相対性理論に量子力学的な考察を交えてもなおタイムトラベルが肯定されることから、やはりタイムトラベルは理論的に可能なのではないかということになります。そして物理学の世界においては、もしなにかが理論上可能であれば、それは必ず実行することが可能なのです。

そこで、実際に量子テレポーテーションの実験をラボで行いました。実験の目的は、光の粒である光子を10数億分の1秒だけ過去に送ることです。実験を通じて、タイムトラベルに関するいくつかのパラドックスについても考察したかったのです。たとえば「祖父殺しのパラドックス」。もし過去に戻った旅行者が誤って(もしくは故意に)自らの祖父を殺めてしまったら、自分は生まれなかったことになり、過去にも戻れなかったことになります。しかし、そもそも過去に戻っていなければ祖父を殺すことはできなかったことになりますよね。この矛盾を解明するために、我々の実験でも光子に過去の自分を殺してもらわなければなりませんでした。

実験はこのようなかんじでした。光子がタイムマシンに乗り込んだら、ドアを閉めます。もしタイムマシンの赤いライトが消灯したら、光子が時間を逆行して過去に戻ったことを意味しているので、一体どのようなことになったのか確かめることができます。ところが、実験は成功しませんでした。何度試してみても、光子が過去の自分を殺すことはできなかったのです。

お察しの通り、この研究はメディアに大変注目されました。そしてそれ以来、大体月に一回ぐらいは誰かしらから「ロイド教授へ。私は時間に閉じ込められたタイムトラベラーです。助けてください。あなたはタイムマシンを持っているそうですね。それを使って私を自分の時間に戻してくれませんか?」という趣旨のメールを受け取るようになりました。

いただいたお便りの中でも、いくつかはとりわけ切実でした。あるイタリア人の女性は、何通もの手紙の中でいかに時間をさかのぼって過去に戻り、彼女の妹が交通事故で亡くなる前に車に乗るなと警告したいのだと訴えてきたのです。なんと悲しいことでしょう。彼女には残念ながらそれはできないと──もし過去に戻ることができたとしても、過去を変えることはできないのだと説明するしかありませんでした。

未来へは行けるけど、過去へは戻れない(たぶん)
Paul Sutter(ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校天体物理学研究教授)

通常私たちが言うタイムトラベルには、未来へ先送りされるものと過去へ舞い戻るものの2種類があります。

未来へ行くには、単に超超超高速で移動すればいいだけの話です。充分な大きさのロケットを開発して、光速に近いスピードまで加速できたなら、未来へポンと飛ぶことは可能でしょう。しかし、そんなに大きなロケットは私たちの時代には作れませんし、もしかしたら私たちの子孫たちにも無理かもしれません。でもまあ、理論的には可能ってことですね。

対して、過去へ戻るタイムトラベルのほうはちょっと厄介です。多くの人が未来よりも過去に戻ることに興味を持っているので、残念なんですが。だれかが過去へ戻る賢い方法を思いつくたびに、その方法をいとも簡単に否定する物理学の法則が必ず現れます。しかも、毎回違う法則が立ちはだかります。タイムトラベルできない理由が一つの法則に統合されているわけではないのですが、過去へのタイムトラベルはどうしても無理なんです。そしてなぜ無理なのかもよくわかっていないんです。


たとえばです、こんなタイムトラベル装置を作ったとしましょう。無限の長さを持った円筒が縦軸の方向にほぼ光速で回転しているため、時間がループする領域ができてタイムトラベルが可能になるという、いわゆる「ティプラーマシン」と呼ばれるものです。しかし、残念ながら私たちの宇宙には無限の長さを持った円筒なんて存在しませんから、ティプラーマシンは現実的にはアウトです。

またはワームホールを作ってみたとしましょう。ワームホールをくぐり抜ければ過去に戻ることができますが、それにはマイナスの質量を持った物質が必要になってきます。そんなもの、今のところ見つかっていませんよね。

こういった様々な現実が邪魔してきて、今のところ過去へのタイムトラベルが可能になる見通しは立っていません。たぶん、可能ではないのでしょうが、「できる」または「できない」と断定的に答えることは現在の物理学の領域を超えています。


時が流れるスピードは一律ではない

Thomas Wong(クレイトン大学物理学助教)
ここでは「時間の流れ」という概念が非常に重要になってきます。というのも、時間は流れるという性質において空間とは大きく異なるからです。空間の中だったら前にも進まず、後にも下がらずじっとしていることは可能です。しかし、時間の中でじっととどまっていることは不可能で、常に前へ前へと進んでいかなければなりません。


アインシュタインの相対性理論によれば、あなたが観察者Aに相対して移動している場合、またはあなたとAが異なる重力下に身を置いている場合、あなたとAの時間は異なる速さで経過します。不思議に思えるかもしれませんが、私たちの宇宙の仕組みを説明できるもっとも確立された理論のひとつです。

たとえば、GPSシステムはこの時間差を考慮しないと正しく動作しません。GPS衛星には原子時計が搭載されているのですが、地上から遠く離れているので地球の重力の影響が弱くなり、結果的に地上の原子時計とは時の進み方が変わってきます。この時間差を考慮しなければ、GPSシステムはうまく行きません。位置情報にズレが生じてしまいます。

もうひとつの例として、1970年代に行われたある有名な実験があります。科学者たちは2機のジェット飛行機に同じ時間を示している原子時計を乗せて、そのうち1機は東回り、もう1機は西回りで地球を一周させました。一周したところで地上の原子時計と時間を比べてみた結果、やはりそれぞれの原子時計には相対性理論によって予測されたとおりの誤差が生じていました。


もっと極端な例では、たとえばブラックホールのような巨大な重力を持った天体のそばに行って帰ってくるだけで、地球にずっといた人が40も歳をとっていた間にたった数時間しか歳をとらなかったことになります。


地球で暮らしていても、もし高層ビルのてっぺんあたりに住んでいたら、あなたの時計は地上で暮らしている人や地下で働いている人と比べて進みがちょっとだけ早いかもしれません。もちろん、一生涯のうちほんの1秒の数分の数分の数分の1にも満たないような差ではありますが。このようなことから、時間がほかの人と異なる速さで経過していることもまたタイムトラベルと言えるのではないでしょうか。

タイムマシンは理論的に不可能じゃない。でも、18世紀には帰れません

Gary Horowitz(カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学教授)

現在私たちが理解している範囲での物理学の知識と照らし合わせてみると、タイムトラベルは意外なほどに否定しづらいものです。時間と空間の関係について考察しているもっともよく知られた理論といえばアインシュタインの一般相対性理論ですが、アインシュタインの数式には現在から過去へさかのぼれることを意味する解もいくつか見つかっています。


相対性理論に量子力学の知見を加味すると、さらにややこしいことになります。おそらく、物理学者のほとんどは、タイムマシンの存在を信じていないでしょう。過去にはタイムマシンを作ろうとした試みもたくさんありましたが、どうしても不安定になり、崩壊を免れませんでした。どれもこれも有効なタイムマシンではなかったのです。それでも、タイムマシンを作ることはできないという証拠もまだ存在していません。ですから、可能ではあるんです。


ところで、仮にタイムマシンを作れたとして、それに乗って18世紀まで戻れるわけではないですよ。私の言うタイムマシンとは、「今」よりも過去に存在しているけど、同時にタイムマシンが作動してからよりも未来に存在している時点に移動できる装置のことをいいます。物理学では、どんな装置でも必ず未来にしか影響を及ぼせないのです。


時空ループがなんの制約もない過去へと連れていってくれるはず

Fabio Costa(クイーンズランド大学物理学主任教授)
タイムトラベル?できますよ!たとえば今あなたが読んでいるこの記事も一種のタイムマシンです。これを読むことにより、あなたは5分かそこら先の未来へ連れていかれるわけですから。

冗談抜きで、あなたが本当に体験したいのは未来、または過去へひとっ飛びすることですよね。未来の場合は、はい、もちろんできます!でも、まず忘れてほしいのはよく映画に出てくる類のタイムトラベル。誰か、または何かがとつぜん姿を消したと思ったら別の時間の別の場所へパッと姿を現すあれです。あれはテレポーテーションといってまったくの別問題なので、ここでは考慮しないことにします。


さて、未来へ行くには、とても速く移動するか、とても大きな質量を持った物のそばまで行くかのどちらかです。相対性理論によれば、非常にはやい速度で移動している、または非常に深い重力ポテンシャルに影響されている物体には時間の経過が遅くなると言われています。もしあなたがそのような宇宙旅行を経験していたら、あなたや同じ宇宙船の同乗者には時間はふつうに過ぎていくように感じられます。ところが地球に戻ってみると、時間はほかの人たちにはもっと速く過ぎていっていたことがわかるでしょう。

あなたにとってみたら1年間だった旅行を終えて地球に戻ると、あなたの友達はみな20歳も歳をとってしまっている。要するに、あなたは19年先の未来へ旅したことになります。

このことはすでに多くの実験から立証されていますし、ジェット機に載せた原子時計で実際誤差が確認されています。わずかな誤差とはいえ、衛星に搭載された原子時計が狂ってしまうほど顕著なので、その誤差を調整しなければあなたのスマートフォンのGPSも機能しなくなります。ここでいう誤差はマイクロ秒レベルです。もっと実際に意味のある誤差が生まれるには、光速に近いスピードで移動する必要が出てきます。ということは、未来へのタイムトラベルの可能性は、恒星間航行の可能性とも密接に関係してくるわけですね。

さて、では過去へのタイムトラベルはどうなんでしょうか?まだはっきりとした答えはないんですが、アインシュタインの重力に関する一般相対性理論にはいくらか可能性の余地がありそうです。いわく、空間と時間は曲げることができて、あんまり曲がるので360度回転して自分自身に覆いかぶさることができるそうなのです。そんなに曲がった時空を実際作り出せるかどうかは別として、もしそこに到達できたとしたら、ある地点からスタートして元の場所に戻ってこれるだけでなく、元の時間にも戻ってこれるわけです!


しかし、もしこんなことを本当にできたとしたら、いろんなパラドックスが起こりやしないか心配じゃないですか?過去に戻ってタイムマシンを破壊したらどうなるのでしょう?すると、そもそもタイムトラベルができなかったことになりますが、タイムマシンを壊すこともできなくなりますよね。

このようなパラドックスを完全に回避できるかどうかはまだ判定が出ていませんが、純粋に理屈だけで考えてみると、パラドックスに苛まれないタイムトラベルは可能なだけでなく、旅行者が自由に振る舞うことに対してなんの制約も課さないのです。簡単にいえば、旅行者が何をやってもパラドックスは生まれない、ということです。もし過去へタイムトラベルできたのなら、結局はタイムマシンを破壊していなかったことになるのですから。


もし過去に戻ることが本当に可能なら、未来から来た旅行者たちはどこにいるの?と不思議に思うかもしれません。実は、過去にさかのぼれる限度は最初のタイムマシンが作られた時までと理論的に導き出せます。ですから、2021年以前の過去へは戻れなさそうですね。でも、もしいつかタイムトラベルが本当にできるようになったら、もう会議に遅刻しなくても済みそうですね!


時間的指向性に逆らったら、それ相応のコストがかかるかも

Francesca Vidotto(ウェスタン大学応用数学助教)

ある意味、タイムトラベルの可能性はアインシュタインの相対性理論によってよく理解されており、もはや議論の余地はありません。


ふたつのまったく同一の時計があったとして、ひとつは地球上に残して、もうひとつは宇宙飛行士が宇宙へ持っていったとします。宇宙飛行士は時計とともに光速で移動する宇宙船に乗り込みます。そしてそのまま木星、またはブラックホールなど、非常に大きな重力を持つ天体のそばまで移動します。宇宙飛行士にとって時計の動きに変化はなく、相変わらず同じように時を刻んでいるように感じられます。しかし、その宇宙飛行士が地球に戻ってきたとき、地球の人々は彼よりもずっと歳をとっていて、時計の進み具合が違ったことに気付くのです。

このシナリオはテクノロジー次第です。もし光速移動に相応する出力が可能な宇宙船をつくることができたなら、誰かがそれに乗って旅をすれば上記のようなことを実際に体験できます。今現在、私たちの生活の中でもこの原理は息づいていて、たとえばGPSシステムを支える衛星と地球とでは原子時計の進み方が違います。その誤差を調整しない限りは、GPS機能は正常に動作しません。


もちろん、「タイムトラベル」というと人々が思い浮かべるのは過去へ戻って何かを変えてくることですね。しかし、残念ながらそれは絶対に不可能です。過去へ戻って何かを変えてしまうのは、時間的指向性を変えるのではなく、壊してしまう行為です。「時間的指向性」とは熱力学に基づいた概念で、物質は熱い状態から冷たい状態へ、整然とした状態から混沌した状態へ、そして不安定な状態から安定の状態へと移っていきます。

もちろん、私が皿洗いをすることにより、台所の状態はは無秩序から秩序へと変化しますが、それは私がエネルギーを消費しているからこそ。お皿はきれいになりますけど私は汗をかくハメになり、それ自体は宇宙のほかのどこかで更なる無秩序を作り出すことになるのです。時間的指向性を逆行することは、もしかしたらできるかもしれません。でも、一体どんなコストがかかってくるのでしょうか?
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物質と「反物質」の違い測れる技術を開発 国際チーム

2025年01月31日 22時03分53秒 | 科学のはなし


 宇宙の成り立ちの謎に迫る、物質と「反物質」の違いを実測する技術の開発に日本人研究者らの国際研究チームが成功し、3月31日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

人工的につくれる反物質「反水素」の原子を絶対零度近くまで冷やし、その性質を水素原子と超精密比較できる技術だ。将来、水素と反水素の違いを測定できれば、ノーベル賞級の発見となる。


4・3・2021



 【写真】容器の中を通るレーザー(紫色)で冷却されている反水素原子1個の軌跡=カナダTRIUMF研究所のChukman So氏によるシミュレーション映像から  

宇宙誕生を説明する現在の理論では、宇宙の始まりでは物質と反物質が同量あったとされる。だが現在、反物質はほとんど見つからず、宇宙は事実上、物質だけでできている。 

 物質と反物質では性質に何らかの違いがあるためと考えられ、それぞれが吸収する光の色の違いでわかるはずとされるが、温度が高いと違いが隠れてしまう。そのため絶対零度に極めて近い温度まで冷やして観測する必要がある。最も簡単な物質である水素では「レーザー冷却」と呼ばれる方法で実現しているものの、その反物質である反水素ではできていなかった。





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東工大と医科歯科大の統合、新名称は「東京科学大」

2025年01月16日 03時03分49秒 | 科学のはなし
東工大と医科歯科大の統合、新名称は「東京科学大」…学内外からの提案を参考

なんでも、医科歯科大では人員削減が進行中で、若手の研究者が整理されているとか、なんとも、しょぼい話ですね





1/19(木) 5:02配信2023

174コメント174件
東京工業大学のキャンパス=読売ヘリから

 2024年度の統合を目指す国立の東京工業大(東京)と東京医科歯科大(同)は、新大学の名称を「東京科学大学」とする方針を固めた。複数の関係者への取材でわかった。きょう19日に公表する。国立大が統合し、新たな名称となるのは

 【図表】東工大と医科歯科大の統合スケジュール

 両校は昨年11~12月、学内外に新大学名の提案を募集。提案を参考にしながら、新大学の目指す姿や組織文化にふさわしいかを検討した。その結果、新名称を「東京科学大学」とし、略称は「科学大」とすることにした。

 両校は将来の統合を前提に「国際卓越研究大学」の認定を目指している。認定が実現すれば、政府の10兆円規模の「大学ファンド」から年に数百億円の支援を受けられ、研究環境の整備が飛躍的に進む。


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英ネイチャー誌の編集長が今年のノーベル賞に感じた「曇り」

2025年01月13日 10時03分48秒 | 科学のはなし

英ネイチャー誌の編集長が今年のノーベル賞に感じた「曇り」 




インタビューに答える英科学誌ネイチャーのマグダレーナ・スキッパー編集長=東京都港区で2024年10月10日、新宮巳美撮影


 今年のノーベル自然科学3賞は人工知能(AI)分野の受賞が続いたことに注目が集まったが、受賞者7人は全員が男性で、女性研究者の名前はなかった。英科学誌「ネイチャー」のマグダレーナ・スキッパー編集長に受け止め方を聞いた。【聞き手・大野友嘉子】


 ――今年のノーベル物理学賞は、脳の神経細胞網を模した「ニューラルネットワーク」でAIの基礎を築いた2人が、化学賞はAIによるたんぱく質の構造予測などで3人が選ばれました。


 ◆ニューラルネットワークはAIの根幹をなすもので、これがなければ私たちが現在使っているAIは存在しなかったでしょう。たんぱく質の構造予測も、たんぱく質を理解し、操作し、創薬などの標的にできるようになりました。信じられないような発見、信じられないような努力をした受賞者たち、チームに心から祝福を送りたいと思います。



 ただ私にとって、今年のノーベル賞には一つだけ「曇り」があります。それは、受賞者がすべて男性であるということです。


 ――ノーベル賞にジェンダーギャップが存在するということでしょうか。


 ◆ノーベル賞は創設時から、女性の受賞者が非常に少ないという問題がありました。自然科学系3部門の女性受賞者は2023年まで延べ26人で、受賞者全体の4%に過ぎません。


 ネイチャー誌は今年のノーベル賞発表を前に、過去の受賞者の統計を分析した記事を配信しました。タイトルは「ノーベル賞の取り方」です。記事では、男性であり、かつ欧米を拠点に研究している、というだけでノーベル賞を受賞する可能性が大幅に高まるという事実について書いています。もちろん、これは皮肉で、ノーベル賞における多様性の欠如を指摘したのです。


 ――女性研究者が少ないことで、研究現場や成果にどのような影響が生じるのでしょうか。


 ◆技術革新やエンジニアリングなどの研究が主に男性によって行われ、男性の視点からしか語られてこなかった歴史があります。


 人間の原型的なイメージは、つい最近まで男性でした。生理学的に男性と女性は当然異なるのに、です。例えば、医薬品の臨床試験の対象が男性だけだったため、商品化された薬品が女性には最適化されていない、といった問題が指摘されています。


 問いを投げかけ、研究をする人々に多様性がなければ、その答えは特定の集団に関わるものに偏ってしまいます。これは性別のみならず、あらゆる年齢、あらゆる民族の人々にも言えることです。


 ――女性研究者を増やすにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。


 ◆まずは意識改革が必要でしょう。よく言われることですが、女性の育児に対する支援は非常に重要です。同時に、彼女には家庭を持つパートナーがいて、これは男性であることが多い。彼らへの支援も必要です。女性の家事、育児の負担を軽減させるためには、男女問わずサポート体制を構築することが求められます。


 格差是正のために一定の割合を女性に割り当てる「クオータ制」はもちろん大切ですが、いったん役職に就いた女性をどう継続的に支援するか、ということも考えなければいけません。


 ネイチャー誌には「ネイチャー・アワード」と呼ばれる賞があります。女性の成果が十分に評価されていないという問題に立脚した賞で、科学に顕著な貢献をしている女性研究者や、若い女性への科学の普及に貢献した人たちを対象としています。受賞者たちが他の女性、少女たちにとって、素晴らしい模範となればと思っています。


Magdalena Skipper


 1969年生まれ。英ケンブリッジ大で遺伝学の博士号を取得。英王立がん研究所研究員などを経て、2001年に「ネイチャー・パブリッシング・グループ」入社。18年、女性初のネイチャー編集長に就任した。







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UFOや死後の魂を即否定する人は「本物の科学者」とは言えない

2025年01月07日 22時03分33秒 | 科学のはなし


あなたはUFOや死後の魂といった奇妙な現象を信じるだろうか。中部大学特任教授で工学者の武田邦彦氏は「本物の科学者は『UFOはいない』とは絶対に言わない。『頭で考えられないこと』を否定するのは科学的な態度ではない」という――。 



【この記事の画像を見る】  ※本稿は、武田邦彦『武器としての理系思考』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

2021/03/31 ·

 ■UFOが飛んでくる可能性というのは「ある」 

 世の中にはUFOを目撃したという話はたくさんあります。航空自衛隊のパイロットやアメリカ空軍のような空を飛んでいる人たちが、随分とUFOを目撃しているらしい。そのうちのいくつかは写真なども撮られていて、それらを目にすると「いったいどういうことなのだろう」と思います。 

 こういった話題になると、科学者の多くは「そんなことはないよ」「だいたいUFOが飛んでくるとなれば相当程度の文明の高い星が近くになければならないのに、そんな星はないよ」と言います。 

 確かに、地球から100光年あたりのところの星で文明のありそうなところはほとんどありません。1万光年ぐらいになって、ようやくそうした可能性のある星が少しある程度です。

  1万光年離れたところから飛んでくるためには光の速さで1万年かかります。通常の宇宙船の速さだと5万年、10万年とかかる。10万年もかけて地球の探索にくるなどというものはまったく無駄なことですし、そもそも無理だ――とUFOを否定する人たちは言います。  

だからUFOの目撃情報にしても「恐らくは何か光の加減であるとか、パイロットが空を飛んでいるうちに幻想を見たのではないか」と反論するのです。 

 これは一見科学的な意見のように見えるかもしれません。しかし、この科学者たちは実は間違っています。ここに科学の落とし穴があるのです。  

UFOが飛んでくる可能性というのは「ある」のです。それはどうしてかと言えば、光よりも速い移動手段が「ない」と決まったわけではないからです。  

「光がいちばん速い」と言っているのは、今の私たちの科学の常識の範囲内でのことに過ぎません。ですから、私たちの知能の及ばないようなものがあるかと言えば、それは「ある」のです。

 ■なぜ、紫式部は飛行機を天狗だと言うのか  

そのことは過去を見ればわかります。 

 人間が誕生したのは600万年も前のことです。しかしわずか1000年前、1000年前というと人類誕生からの600万年のわずか6000分の1です。 

 その1000年前、たとえば平安時代の紫式部に飛行機をみせて「あれは何だと思いますか? 」と尋ねれば、きっと紫式部は「空を飛んでいるのなら天狗ではないか? 」とでも言うでしょう。

  なぜ紫式部が飛行機を天狗だと言い、今の人は飛行機だと考えるのかと言えば、人間は目に見たものを、今の自分の知識の範囲で判定しようとするからです。

  もちろん紫式部のいた平安時代には飛行機はありませんから、あんな巨大なものが空を飛ぶなんて考えもしません。ならば、それは天狗のような怪物の類ではないかと考える。  

このように、私たちはいつも自分の頭の中に入っている知識の中から正解を探すという癖があるのです。

■我々は光より速いものを知らないだけ  

科学者が「光よりも速いものはない」と言うのは、アルベルト・アインシュタインが今から100年ほど前に「光がいちばん速い」という理論を構築した、世に名高い「相対性理論」を論拠としています。

  相対性理論はその後の量子力学などに発展して、学問的にたいへん大きな功績があったことに間違いありません(物理学的には、相対性理論と量子力学は相いれないところもある)。  

しかし、アインシュタインは「光がいちばん速いのだと考えて整理をするとこの世の中をうまく整理できる」ということを言っているだけで、「光よりも速いものがない」と証明したわけではありません。  

アイザック・ニュートンによる「ニュートン力学」だけでは説明しきれない不思議なことがあったので、それを整理するためには「光がいちばん速いものである」と定義して、それでいろいろなことを考えるとうまく説明ができると言っているに過ぎないのです。 もちろん、光がいちばん速いということを後押しするいろんなものがあります。有名な「E=mc2 」という式がありますが、これによれば現在の核兵器なども全部説明ができて矛盾がありません。

 ところが、最近では「実は、光よりも速いものがあるのではないか」との説も出てきています。 

 アインシュタインの時代には、「真空」は本当に何もない空間だと考えられていましたが、現在では真空にはヒッグス粒子といわれる素粒子がぎっしり詰まっているというのが正しいのだという理論も出てきました。

  そのように現在でも、毎年ということはないにせよ10年に1度ぐらいは新しい現象が発見されているのです。

 ■100年後にUFOを説明できる可能性  

1000年前の紫式部は飛行機を理解できず、スマートフォンなどは明治の乃木希典大将にも理解できなかったかもしれません。「この小さいものでどこにでも電話ができるとか、汽車に自由に乗ることができるとは、いったいどういうことなのだ」と言ったに相違ありません。  

そうしてみると、今から1000年後どころか100年後でも、今の知識がそのまま通じるとはとても考えられないのです。 

 100年後にUFOを見れば「あれはどうだ、こうだ」ときちんと説明できるかもしれませんから。

  このように、私たちの頭脳が正しいとか間違っているということを判断するときに、現在の知識で説明できることは「正しい」と、知識にないものは「間違っている」と判断してしまうのです。

  これも、フェイクニュースに騙されることを防ぐ一つの考え方です。

■不勉強な科学者ほど「霊魂」の存在を否定する 

 UFOの問題と並んでよく質問を受けるのが「魂」についてです。 

 お墓で何かもやもやとしたものが立ち上がっていたとか、戦争で亡くなった兵隊さんの慰霊式を行うと、そのとき何か魂のようなものが見えるとか、さらにそれが写真に撮られて「こういうものが写っている! 」などと言われることがあります。  

そういったものを科学者にみせると、その多くはやはり「死んだ人の魂なんてあるはずがない」と言うでしょう。 

 なぜかと言えば、人間の思考というのは大脳新皮質で司られていて、人が亡くなって頭に血液が流れなくなり、大脳の皮質が朽ちてしまえばそのまま意識も全部なくなると考えるからです。だから死んだ人は呼びかけに答えない。  

しかし、人間は死んだら何もなくなるというのは寂しいので、それで魂が存在するというような話をつくり出したのだというのがごく普通の回答です。 

 中途半端な科学者というと非常に失礼なのですが、あまりじっくりと科学をやったことのない、もしくはおっちょこちょいの科学者というのはきっとそのように言うでしょう。 

 しかし、このような答えは、科学的ではありません。  

科学というのは自分の考え得る範囲で「こうだ」と思うこと以外に、それとは異なるものが世の中に存在することを発見しようとしているからです。 

 科学者は、今まで自分たちの頭の中にないものを発見しようと思って研究し、だから実験というものが必要になるのです。

 ■死体から出る「記憶を持った」気体状の物質 

 前述しましたが、もし自分たちの頭で考えたものがすべて正しいというのであれば、こう実験などはする必要はありません。今の知識からすれば、これから私の言うことは荒唐無稽に感じられるでしょう。しかし、本書の読者までが同じように現在の知識だけで考えてはいけません。

  たとえば、人間の魂は実は大脳旧皮質にはなくて、大脳新皮質の中のほうの小脳や延髄のほうにあると仮定します。人が亡くなると、脳の血液は滞留するので大脳新皮質の機能はダメになりますが、小脳とか延髄にある人間の魂としてはこれまで生きてきた中で得た知見を失くすわけにはいかない。 

 なぜかというと生物はそれまでの知識を使ってだんだんと進化してきて、そういう生物が生き残ってきているわけだから、現在の生物は必ず死んだ後に自分の獲得した知識を残しているはずです。身体のつくりは明らかに自分が生まれる前の構造を知っているのですが、知識については知らないと現在の科学では仮定されているのです。

  では人間の場合、それはどういう形で残しているかというと、死体から記憶を持った気体状の物質を出して、それをとりあえず仮のところに貯蔵し、別の人間が生まれたときにはその体内に入っていくようになっている。  

その気体状のものを私たちは「魂」と呼んでいて、それは慰霊祭をやってくれるとか、肉親に会うだとか、そういうときに刺激されて何度でも出てくるようになっていて、だから魂は死後も残るのである……。

そのようなことが実証されるかもしれないのです。 

 ですから、本物の科学者であれば「死後の魂がみえる」ということに対しては、「そういう可能性もありますね」というふうに答えるわけです。



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