古田史学とMe

古代史を古田氏の方法論を援用して解き明かす(かもしれない…)

「ディープインパクト」について

2013年10月04日 | 宇宙・天体

前回に引き続き「小惑星」関連の考察です。
 今回は、6500万年前に地球と衝突して「恐竜」他の大絶滅を招いたとされる、例の「小惑星」について考察してみます。

そもそも「地球」の公転速度は秒速30km程度あります。地球太陽間の距離は1億5千万km有り、これをおよそ365日で回っているわけですから、計算すると約30km/sec程度となります。
 それに対して、地球へ接近するタイプの小惑星の方は基本的にはかなり離心率の大きい(つまりつぶれている)軌道を取るのが普通であり、遠日点が小惑星帯にあり、近日点が地球より太陽側に入る「長円」な軌道を持つと考えられます。この場合の公転速度は場所によって違い、遠日点付近よりも近日点周辺の方がかなり速くなります。(「ケプラーの第2法則」です)地球付近では50-60km程度と考えられます。
 この「小惑星」が巡行であったか逆行していたか、軌道平面角はどの程度か、というのがとりあえず未知なわけですが、仮に想定として「巡行」として、軌道平面角はほぼ「0」(つまり黄道面上にある)として考えると、公転している地球に対して、小惑星が「追突」したという想定となり、その速度差は「20-30km」程度ではなかったかと思われることとなります。
 また、地球の表面に対する入射角もまた「推測」するしかないわけですが、通常の流星でも「入射角」が90度に近い(つまり地球の中心と小惑星の進行方向が一致している場合)というのは珍しいと考えられるので、一般的な角度として60度程度を想定することとします。
 またそのサイズとして直径15-25km程度と考えられています。
 これらを含んで簡単なシミュレーションをしてみましょう。

 小惑星が高速で大気圏に突入すると、進行方向の前面に「衝撃波」が生成され、超高温になって、小惑星本体の溶解と破壊が始まります。先日のロシアの一件では大気高層で本体の破壊が完了しましたが、あれはそのサイズがせいぜい十数メートルというオーダーであったためであり、その1000倍の大きさとなると高層で破壊され尽くすとは限らなくなります。
 つまり、小惑星のサイズが大きすぎると、全体の破壊が進行しないうちに地表に到達してしまうのではないかと考えられ、破壊の進むスピードが超音速であったとしても、進入速度よりもはるかに小さいものであり、全体に破壊が及ぶ以前に地表と衝突するものと思われますから、地表の破壊は「衝撃波」によるものではなく、また「熱戦」と「爆風」によるというわけでもなく、「直接的」なものになると思われます。なぜなら「小惑星」に対して抵抗を示すほどの大気の厚みが確認できるのは対流圏に入ってからであり、それはせいぜい10km程度しかないからです。
 直径10数km、速度15-20km/sで小惑星が対流圏上層まで侵入した場合、そのような場合大気による減速はほとんど効かないと考えられ、「1秒以内」に地表に達してしまうでしょう。つまり、ほぼ減速なしで地殻と衝突するという可能性が高いと思料されます。その場合、小惑星の成分が(これは何種類かありますが)地球のマントル物質に近いとすると(その可能性が高い)、「地殻」を構成する物質よりは比重、強度とも小惑星の方が上であることとなり、地殻を破壊、貫通してマントル上部まで達することとなるものと考えられます。
 そもそも「地殻」の厚みは大陸」や「島」などでは厚く40km程度あるようですが、海洋底は薄く、15-20km程度しかないと云われています。衝突した場所にもよりますが、「地殻」を貫通するのに「1-2秒間」程度しかかからないという可能性が高く、このような場合、衝突した結果、小惑星本体とマントル物質が共に大きく溶融、破壊され、地上に広い範囲にわたり露出拡散するものと思われ、大規模火山活動という現象の極端なスケールアップバージョンとなるものと考えられます。
 地上では降り注ぐマントル物質などに覆われ、地上と浅い海の生物に多大な影響を与え、ほぼ絶滅するに至る(った)ものと思われます。
 そもそも、直径が20kmあるものが秒速20kmで対流圏に進入し、その対流圏は10kmしかなく、地殻も2-30kmしかないのですから、全ては数秒以内に発生し完了することとなるでしょう。
 この事件について「隕石が落ちた」という言い方をすることがありますが、上の事態を想定してみると、その言い方ではまったく現実を表していないと思われます。これはあくまでも「小惑星」との衝突であり、「地球そのもの」が破壊されかねないレベルの出来事であったと思われます。

 さらに小惑星が衝突すると、一般的に言って地球の自転速度に与える影響は非常に大きいと考えられ、地球の回転を妨げる方向で力がかかったものと見られます。
 地殻表面の質量が増加することとなり、慣性モーメントは増大し、回転速度(自転速度)は減少する(した)と考えられます。実際に「地磁気」の研究からは「白亜紀」における「地磁気」は非常に強力で、4千万年の長きに亘って「反転」(N極とS極が入れ替わること)がなく、長期に亘り安定していたことが推定されています。(白亜紀スーパークロンと呼ばれる)このことは「自転速度」も今よりはかなり早かったらしいという推定にもつながるものです。(以下に見るように自転速度と地磁気の強さには関係がある)
 「スマトラ沖地震」の時にも、今回の「東日本大震災」の時にも地球の自転速度がごくわずかですが、変化したことが報告されていまする。(いずれもわずかに遅くなった)これらの地震はマントル対流の影響により他のプレートの下に引きずり込まれていたプレートがその弾性により反発し、地球の中心から見て外側へ移動した結果、地球の慣性モーメントが微弱に変化(増大)したため、自転速度に変化(遅くなった)が確認されたものです。
 この「スマトラ地震」の時のマントル物質は、地震により「破壊」「移動」が起きたと見られます。この時動いたプレート(岩盤)の大きさと広さは「長さ400km、幅150km、高さ10km」ほどであり、この「塊」の質量は「マントル」の比重を「5」程度と考えると、「3000000×10の9乗」kgほどとなりますが、これが「数秒」のうちに20mほど移動した模様です。
 小惑星と衝突した場合は直径10-15km程度のものが秒速10-15km程度でマントル内までめり込んだものであり、これを上の地震の領域の変化量と比較して考えても、「桁違い」といえるものです。移動した質量はスマトラ地震のほうが数倍大きいですが、移動スピードは1000倍程度小惑星衝突のほうが速く、衝突によるエネルギーは質量に比例し、速度の2条に比例するのですから、この時の小惑星の衝突はスマトラ沖地震で解放されたエネルギーの1000倍以上に相当すると考えられます。
 そのことから「自転」に与えた影響も比較にならないほど大きいと考えられ、少なくとも「分」の単位で変化した(遅くなった)ものと推定されます。

 一般的に自転速度が遅くなると地場が弱くなると考えられます。「金星」や「月」にはほとんど磁場がありませんがそれはそれらの自転周期が極端に遅いことと関係があると考えられますし、同様の理由により「木星」「土星」には強い磁場がありますが、これらは見た感じも楕円体であり、高速で自転していることが知られています。
 地球の磁場も白亜紀には非常に強かったことから、この時には地球の自転そのものが今よりもずっと早かったという想定が可能です。
 ところで、地球の「自転速度」として知られているのは「地球」表面の速度であり、「地殻」の自転速度です。しかし「マントル」は「溶融状態」にあり、「液層」が主体です。核も一部固体、一部液体であり、これら全てが同じ「自転速度」であるはずがありません。
 地球の形成の歴史から考えて、自転エネルギーの提供元は「核」の固体部と考えられますが(「核」を中心にダストや微惑星を引きつけたというストーリーが考えられています)、その上方組織である液体核やマントルは固体核の自転に「引きずられ」、言い換えるとスリップして「遅く」なっていると考えられます。

 太陽系が形成され、地球ができる時は「星間ダスト」が多量に集積してできわけですが、それは「徐々」に集積されたものであり、その「集積」がある程度進行した時点で「中心核」が重力により「溶融状態」となり、その時点以降、「中心核」の自転のエネルギーが「外部」(地表方向)にストレートに伝わらなくなり「滑り」が発生したものと推量され、それ以降「地表」では回転速度が落ちていったと推量されます。
 つまり、個体金属となっていると考えられる「核」とその上の「液体金属」状態の核やマントルは相互に「別」に運動していることとなりますから、そこには「電界」と「磁界」が発生しているするはずであり、これが地球磁場の生成要因となっていると考えられますが、このような状態であるところに突然回転軸の傾きと慣性モーメントの変化が外部からもたらされるわけですから、発生する磁界に変化が生じるのは当然です。言ってみれば自転にブレーキをかけられたわけですから、発生する磁界は「弱くなる」ものと考えられます。    

 マントル対流はそもそも、原動力となっているものは「核」と「地殻」の温度差による「比重」の差が「浮力」の差となったものと地球の自転による「引きずり」で、一種の「熱対流」と考えられ、マントル下部の「核」に近い方は「核」の主成分である「鉄」の放射性同位体が崩壊するときに出る「崩壊熱」により熱せられ、流動性が上がると共に比重が小さくなって上昇し「地殻」付近に来ると冷え始め、下降に転じる、という対流運動が起きていると考えられます。
 「外的」要因により自転にブレーキが掛かると、「引きずり」の量が減少し、それは「対流速度」の減少という現象になると考えられます。その結果マントルが「核」から持ち去る熱量が減ってしまうため、核の液相部の温度が上がり、マントル下部の温度も同時に上昇し、マントル上方から見ると熱の供給元が核の液相部であったものが、マントル下部に別の高温層ができるため、そこが対流発生の原因となると考えられ、対流の塊が小さくなる「多化」が発生したと考えられ、対流速度は落ちるものの、対流の周期は逆に速くなったのではないかと考えられます。このような「マントル対流」の不安定さと、「核」の表面の温度ムラによって「磁場」の「局在化」が発生したと思われ、それはそのまま「磁場」の不安定さへとつながったものと見られます。
 この時の衝撃による「マントル対流」の変化によって例えば「インド亜大陸」の移動というものが発生したと考えられています。「ヒマラヤ」が元々海底であり、それが隆起し始めたのが「六五〇〇万年前」と推定されていること、現在もなお、「ヒマラヤ」は隆起し続けており、それを実現している「インド亜大陸」のユーラシア大陸への衝突という事象の元となる「マントル対流」のエネルギー源が、六五〇〇万年以前に地球に内在していたとは考えられないこと、つまりこのエネルギーは外部から供給されたのではないかという疑いが強いことなど、等々この時点における「小惑星」衝突がもたらしたものは今も地球にそのまま残っていると考えられます。

(続く)

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