ikkei blog

電子工作やパズルのブログです。主にLEDを使った電子工作をやっています。

電子工作マガジンに残念な記事を見付けてしまった

2012年04月05日 23時36分49秒 | 電子工作
電子工作マガジン SPRING 2012 を見ていたら、残念な記事を見付けてしまいました。


それは、「理科教材キットを大胆改造してみよう」の中の
「超高輝度白色LEDを使って金環日食モデルライトに改造」という記事です。
P74の回路で、定電流ダイオードを使っています。

電源は乾電池3本の4.5Vなのに定電流ダイオード E-153を使っているのです。
ちなみにE-153のデータシートから肩電圧を見ると 4.3V になっています。

白色LEDのVfは3V位ですから、定電流ダイオードには1.5V位しか掛からないので、
明らかに電圧不足です。

以前、定電流ダイオードを使って設計した時、
定電流ダイオードの肩電圧が意外と高いなぁと感じていたので、気になったのです。

記事には、
「使用したのは石塚電子のE-153。15mAの定電流ダイオードです。
これをLEDに直列に接続すれば、入力電圧に関係なく、15mAの電流に
制限され、LEDが15mAで点灯するということになります。」
と書いているので、これでは定電流ダイオードはどんな電圧でも
必ず定電流になる魔法のデバイスなんだと、読者に誤解を与えることになります。

と言っても、定電流ダイオードがどんなものかを知らない人には
何を言っているのか分からないと思います。
実は「定電流ダイオード」と言っても中身はFETなのです。

つまりFET のピンチオフ電圧以上ならば、IDSS
電圧によらず一定になることを利用しているだけなのです。

論より証拠、実際に測ってみましょう。
測定回路はこのようにしました。


とりあえず、4.5Vの時の電流はこれです。

6.15mAしか流れていません。
E-153のデータシートの 12~18mAから、大きく外れています。

では、どれだけ外れているか、電源の電圧を変えて測定してみました。
それをグラフにしたものがこれです。


Vcrdが肩電圧Vkの4.3Vを超えたあたりからIfが一定になっているのが分かります。
Vccが4.5Vのところではまったく定電流にはなっていません。


教訓
・定電流ダイオードは肩電圧以上で使わないと定電流にはならない。
・その肩電圧は意外と高い。

電子工作としては、
・データシートはよく確認すべし。
・作っただけで安心せず、チェックすることが重要である。


他山の石としたいと思います。