「なまずの里よしかわ」をうたい文句にして町おこしを図ろうとしている吉川市で17年2月18日、「市民交流センターおあしす」で全国初の「なまずサミット」が開かれた。
吉川市同様、なまずを売り物にしようとしている全国6つの市・町と佐賀県の嬉野温泉観光協会が参加、シンポジウム、吉川産なまずを使った新メニューのグルメコンテストなどが行われた。
中原恵人市長が呼びかけたもので、茨城県行方市、群馬県板倉町、岐阜県羽島市、福岡県大川市、広島県神石高原町と佐賀県嬉野温泉観光協会が参加した。
東に北浦、西に霞ヶ浦を抱える「弐湖の国」行方市では、霞ヶ浦で養殖されたアメリカナマズ(キャットフィシュ)を使った行方バーガー「なめパックン」が有名。養殖していたのが逃げ出し、ワカサギなどを食べてしまうので、有害になった魚をうまく活用した。
群馬の水郷と呼ばれる板倉町は、雷電神社参道などの川魚料理で出すナマズの天ぷらやたたき揚げで知られる。白身で淡泊で柔らかく、美味。
新幹線の停車駅として知られる羽島市は、東西を木曾川と長良川に挟まれ川魚との縁は深い。ナマズ料理も蒲焼はもちろん、ナマズ鍋、ひつまぶしと多彩。近畿大学が開発した「ウナギの味のナマズ」丼も登場した。駅前の通りで開かれる「なまずまつり」もすでに27回を重ねた。ナマズ料理を広く紹介するのが狙いだ。
大川市は筑後川下流にある日本一の家具産地。淡水と海水の混じった汽水域があり、筑後川で獲れる天然ナマズは「川アンコウ」と呼ばれる。味がアンコウに似ているからだ。これを使った「川アンコウバーガー」は大川の新しいグルメとして注目されている。「川ふぐ」と呼ばれている所もある。
400~700mの高原にあり、広島県の東部、岡山県と接する神石(じんせき)高原町は、人口9千人足らずで、お決まりの人口減が厳しい。ここにある県立油木高校は、県内唯一の農業高校。ナマズは養殖が簡単で、休耕田を利用できるので、ナマズプロジェクトを立ち上げた。
廃校になった町内の学校のプールや休耕田を利用して養殖したナマズを広島球場で、天丼などにして売ったところ完売するほどになった。このサミットではその体験を高校生が発表した。
このように町おこしがらみの話が多い中で、信仰のためナマズを一切食べないところもある。「日本三大美肌の湯」として知られる佐賀県の嬉野温泉である。
ここにある豊玉姫神社のお使いとして崇められているのが、白ナマズ。「なまず様」として神聖な存在だから、昔からなまずは一切口にしない。豊玉姫は、海の神の娘、つまり竜宮城の乙姫様で、境内の中央の「なまず社」には、長さ1.1mの白ナマズが鎮座している。美肌の神様である。
秋篠宮文仁氏らが編著の「ナマズの博覧誌」(誠文堂新光社)によると、熊本県の阿蘇神社にもナマズ信仰が残っている。
この本によると、ナマズはさまざまな形の大小2800種以上が世界に分布、各地で食用魚になっていて、養殖も行われている。東南アジアでは養殖、米国でもアメリカナマズが南部で養殖されている。世界ではウナギより食べられる量はナマズの方が多いという。
吉川市には、郷土料理「なまずのたたき揚げ」などを出す料亭や地下水で育てる日本なまずの養殖地、「純米酒・なまず御前」もある。市のイメージ・キャラクターが「なまりん」(女の子)、JR吉川駅前には金色のナマズのモニュメント、マンホールのふたや水道の仕切弁、車止めの上にもナマズがあしらわれ、6000人以上が参加する「吉川なまずの里マラソン」も開かれている。それなのに子どもたちの多くは「食べたことない」「見たことない」というのが現状と市長は嘆く。
何か町おこしナマズ振興の地震を起こしてくれるいいアイデアはないものか。
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