埼玉県庁や川口市の関係者、川口市の住民を除いて、県や市が主催する「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2010」と聞いて、すぐに分かる人がどれほどいるだろうか。
埼玉県に長く住んでいる人なら、川口市の郊外にNHKのラジオ送信所があり、高い塔が二本あったのを覚えておられるかもしれない。川口市上青木のその跡地を開発したのが、「SKIPシティ」で、SKIPとは、SAITAMA KAWAGUCHI INTELLIGENT PARKの略語だという。
日本で最大規模の映像・情報産業の拠点にしようとする施設。INTELLIGENT PARKは、全国で一時、大はやりだった情報産業(IT)の拠点の意味である。JR京浜東北線の川口や西川口駅からバスで10分程度のところにある。
「Dシネマ」とは。旧式のアナログではなく、デジタルで撮影・制作された映画のこと。その映画祭が10年7月23日から8月1日まで開かれた。デジタル映画が、4Kデジタル・プロジェクターで世界最高水準の映像と音質を楽しめる。
4Kデジタル・プロジェクターとは何か。デジタル用語でKは1000を意味する。KmやKgのKと同じである。このプロジェクターを使えば、フルHD(HIGH DEFINITION=高解像度)の4倍を超える約885万画素(4096×2160)(横×縦)の4K映像を投影できる。
もらった資料を見ると、この映画祭はすでに7回目。若手Dシネマ制作者の登竜門になっているとか。10年は過去最高の85の国と地域から長・短編映画合わせて810本がエントリー、一次審査を通過した23作品を含む44作品が期間中に上映された。(写真)
候補作品以外にも、映画祭を身近に感じてもらおうと、山田洋次監督の名作「幸福の黄色いハンカチ」のデジタル・リマスター(デジタルへの作り直し)版を目玉として初日にオープニング・セレモニーで上映した。山田監督は、吉永小百合主演の「母べえ」(松竹)をこのSKIPシティの空き地にオープンセットを組み、ロケしたゆかりがある。
この広大な空き地ではまた、NHKのドラマ「坂の上の雲」に登場する巡洋艦の大型セットが組まれ、撮影に使われた。
“シネマ歌舞伎”と銘打って「怪談 牡丹灯篭」も上映された。私は避暑を兼ねてこの怪談を見に出かけた。片岡仁左衛問、坂東玉三郎、坂東三津五郎らが出演、その名演に怖いというより歌舞伎を特等席で見るような楽しさだった。昔の映画キチも十分に堪能した。
映画祭は、SKIPシティの「彩の国ビジュアルプラザ」4階の映像ホールで開かれた。このビジュアルプラザの2階には、NHKが過去に放送した番組(約6千6百本)と埼玉県の映像(1万点以上)が楽しめる「公開ライブラリー」(無料)と映像の歴史、原理、制作のプロセスが分かる「映像ミュージアム」(有料)もある。
別館には天文台、プラネタリウム、展示室付きの「サイエンスワールド」、消費者向けの県の「彩の国くらしプラザ」もある。暇を見つけて、また訪れたい施設だ。
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