しゆせんのたいしゆのせきじようすいごにさくす しんしん
酒泉太守席上醉後作 岑参
しゆせんのたいしゆよくけんぶす、かうどうちしゆしてよるうつつゝを
酒泉太守能劔舞髙堂置酒夜撃鼓
こかいつきよくたつひとのはらわたを、ざかくあいみてなみだごとくあめの
胡笳一曲断人腸坐客相看涙如雨
くんちうのさかもりゆへなまぬるへてはすまぬとて、つるぎのまいなどをする。さいさんとりだしてする
ゆへ、よくといふ。樽なども、どうにのぼりよあけまで、さかもりとして、うだつは、まづは、なにこゝろなく
たのしむ事じや。これまでは、きしようでありしが、まいのはてをきけば、胡笳のこゑがする。これをきけば愁を
ひきおこし、坐中かほとかほとをみあ◯やて、こきやうの事をおもひ出して、なきをはら/\とながしている
酒泉の太守の席上醉後作す 岑参
酒泉の太守、能く剣舞す。
高堂置酒して、夜鼓を撃つ。
胡笳一曲、人の腸を断つ。
坐客相看て、涙雨の如し。
意訳
酒泉の太守殿は、剣舞がお上手ですね。
大広間に酒席の宴を開いて、夜になると鼓を打っておられる。
そして西域の胡笳を一曲奏でると、聴く者は深い悲しみに包まれて、
隣り合った客同士で、顔を見合わせながら、涙を雨の降る様に流している。
※酒泉 甘粛省西北部の酒泉市。
※席上醉後作 酒宴で即興で詩を作った。実際は十句七言古詩だが、前四句を抽して絶句として唐詩選に選首。
※置酒 酒席の宴を催す事。
※胡笳 西方の異民族の木管楽器。草笛。
唐詩選画本 七言絶句 巻第五