◑軍陣に向ふときは髪へ黒
を塗らんと思ふなり。其故は
合戦ならぬ時だにも若き人は
白髪を見
て
△
△あなとる
心あり。況てや
戦場に 進んとするには
つゞき 木曽殿 古老気なしと悪み又敵も
打案じて哀れ 甲斐なきものに思はん。悲
武蔵の斉藤 きものは老の白髪なりと
実盛にや有らんか 申されたりと物語り
通●●古同僚やな見 ぬ。
知●●●ながんとて召
れたり。樋口首を取仰け一目
打見て涙を流し穴無
惨や実盛にて候なりと
申す。義仲聞て如何髭鬚の黒き
はと問玉へば樋口されば其事思ひ
あたりたり実盛日頃申せし
は弓矢取る身は老體とならば◑
◑→◑、△→△の順に読む。●は欠損。一部推察した。