新古今和歌集
春哥上
題しらず 山邉赤人
あすからは若なつまむとしめし野にきのふけふも雪は降つゝ
和哥所にて春月といふ心をよめる
越前
山ふかみ猶かげ寒し春の月空かきくもり雪はふりつゝ
春哥下
題しらず 凡河内躬恒
いも安くねられざりけり春のよは花のちるのみ夢にみえつゝ
夏哥
春を送りて昨日のごとしといふ事を
源道齋
夏衣きていくかにか成ぬらんのこれるはなはけふもちりつゝ
題しらず 白河院御製
庭の面は月もらぬまでなりにけり梢に夏のかげしげりつゝ
冬歌
百首哥奉しに 二條院讃岐
※赤人 きのふけふも→きのふもけふも
※二条院讃岐 折こそあれながめにかかる浮雲の袖も一つにうちしぐれつつ