賢木
れいならぬ日かずもおぼつかなくのみおぼさるれば、御文ばかりぞしげうきこえ給める。
ゆきはなれぬべしやと心み侍道なれど、つれ/ヾもなぐさめがたう、心ぼそさまさりてなむ。きゝさしたる事ありて、やすらひ侍ほど、いかに。
など、みちのくにがみにうちとけかき給へるさへぞめでたき。
あさぢふの露のやどりに君ををきてよもの嵐ぞしづ心なき
など、こまやかなるに、女君もうちなき給ぬ。御返し、しろきしきしに、
風ふけばまづぞみだるゝ色かはるあさぢが露にかゝるさゝがに
とのみありて、御手はいとおかしうのみなりまさるものかなとひとりごちて、うつくしとほゝゑみ給。
第八 哀傷歌
例ならぬこと重くなりて御ぐしおろし給ひける日上東門院中宮と申しける時遣はしける
一條院御歌
秋風の露のやどりに君を置きてちりを出でぬることぞかなしき
※一条天皇の出家は1011年で、源氏物語の初見は1001年頃とされ本歌が他にあるのかも
しれない。
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