新古今和歌集の部屋

源氏物語図屏風 蓬生 宮内庁三の丸尚蔵館 絵はがき



蓬生
「いかがすべき。かゝる忍び歩きも難かるべきを、かゝるついでならでは、え立ち寄らじ。変はらぬ有さまならば、げにさこそはあらめと、推し量らるゝ人ざまになむ」とはのたまひながら、ふと入り給はむ事、なほつゝましう思さる。ゆゑある御消息も、いと聞えまほしけれど、見給ひしほどの口遅さも、まだ変らずは、御使の立ちわづらはむも、いとほしう、思しとゞめつ。惟光も、
「さらにえ分けさせ給ふまじき、蓬の露けさになむはべる。露すこし払はせてなむ、入らせ給ふべき」と聞ゆれば、
  尋ねても我こそ訪はめ道もなく
   ふかき蓬のもとのこゝろを
と独りごちて、なほ下り給へば、御先の露を、馬の鞭して払ひつゝ入れ奉る。



源氏物語図屏風 右雙第四扇
 
 
 
 
宮内庁三の丸尚蔵館
 
 旧桂宮家伝来
 
 
 
狩野探幽画
元は八条宮家(桂宮)所有で、寛永十九年に、八条宮智忠親王の元へ嫁いだ加賀藩主前田利常女、富姫の嫁入り道具として制作。桂宮家から寄贈され、御物となった。
 
令和2年11月17日 點四/八枚
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