新古今和歌集の部屋

唐詩選画本 聞王昌齡左遷龍標尉遙有此寄 李白 蔵書




 きいておうしやうれいがさせんすとりやうひやうのいにはるかにありこのよせ
 聞王昌齡左遷龍標尉遙有此寄
やうくはおちつきてしきなくきくならくりやうひやうすぐとごけいを
楊花落盡子規啼聞道龍標過五溪
われよせてしうしんをあたふめいけつにしたかつてかせにしきにいたれやろうのにしに
我寄愁心與明月隨風直到夜郎西
                              りはく
 李白もとをくにてきいてせめての事にとおもひこのしをつくりよせし也 李白

やうくはもおちつきてはるもつきなんとほつしてほとゝきすもなきはるのひもくれゆくじ
ぶんにはたゝさへものもかなしいおりからこなたはごけいをすきてりやうひやうあたりへ
ゆかるゝ。われもともにいたならはりべつもしよふけれどもはるかにへたてゝいる事
なれはあふこともならすうれいている。このうれいをたれにたのんでこなたにつ
げしらするものもない。めいげつはどこもかもてらすなればこれにことづてとゞける
ほどにつきを見るごとにわがうれいをおもひやつてくれちれい。くわしくはせうこ
せんちう唐詩せん国字かいとうニあり。



 王昌齡が龍標の尉に左遷せらると聞き、遙かに此の寄有り
               李白
楊花落ち尽くして子規啼く。
聞く道(なら)く竜標五渓を過ぐと。
我愁心を寄せて明月に与ふ。
風に隨って直ちに到れ、夜郎の西に。

意訳
楊の綿毛も落ち尽くして、ほととぎすが啼いたのを聞いて、春も終えようとしているのが分かる。
聞くところによると、竜標の尉となった王昌齢君は、途中の五渓を過ぎたと。
私の愁いの心を寄せて、明月に預けよう。
そしてどうか風に乗って直ぐに私の心を、遠い夜郎の西へ行く王君に届けてくれ。

王昌齡 詩人。七言絶句に優れた。奔放な生活ぶりで竜標の県尉に落とされた。

※題 龍標 現在の湖南省懐化市芷江トン族自治県。

※楊花 楊の綿毛。

※子規 ほととぎす。

※聞道 きくならく。聞いたところによると。

※文 龍標 王昌齢の事。

※五溪 洞庭湖へ流れる雄渓、ぼん渓、酉渓、無渓、辰渓の五つ5つの川で、少数民族の苗族が住む地域。

夜郎 湖南省沅陵県に有った地名。五溪の西で更に南西に行くと龍標に到る。

唐詩選畫本 七言絶句 巻一
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「漢詩」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事