新古今和歌集の部屋

鴨長明方丈記之抄 日野7 折につけつつ

折につけつゝ桜をかり紅葉をもとめ

蕨を折、木のみをひろひて且は仏に奉

り且は家づとにす。もし夜しづかなれば

窓の月に古人をしのび猿の聲に

袖をうるほす草むらの蛍はとをく

真木の嶋のかゝり火にまがひ、曉の雨

はをのづから木の葉吹嵐に似たり。山

鳥のほろ/\と鳴を聞て父か母かと

うたがひ、峯のかせぎの近くなれたるにつ

けても、世にとをざかる程をしる或は

埋火をかきをこして、老の寝覚の友

 
 
折につけつつ、桜を狩り、紅葉を求め、蕨を折り、木の
実を拾ひて、且は仏に奉り、且は家づとにす。もし、夜
静かなれば、窓の月に古人を偲び、猿の声に袖をうるほ
す。草むらの蛍は、遠く真木の嶋のかがり火に紛ひ、暁
の雨は、をのづから木の葉吹く嵐に似たり。山鳥のほろ
ほろと鳴くを聞て、父か母かと疑ひ、峯のかせぎの近く
なれたるにつけても、世に遠ざかる程を知る。或は、埋
火をかきをこして、老の寝覚の友
 

(参考)前田家本
折につけつゝ、櫻を狩り、紅葉を求め、蕨を折り、木の
実を拾ひて、かつは佛に奉り、かつは家苞ともし夜、
靜かなれば、窓の月に故人を偲び、猿の聲に袖を潤
す。叢の螢は、遠く槙の島の篝火に紛ひ、暁
の雨は自づから木の葉吹く嵐に似たり。山鳥のほろ
/\と啼くを聞きて、父か母かと疑ひ、峰の桛木の近く
馴れたるにつけても、世に遠ざかる程を知る。或は又、埋み
火を掻き熾して老の寝覚めの友
 

(参考)大福光寺本
ヲリニツケツゝサクラヲカリモミチヲモトメワラヒヲゝリコノ
ミヲヒロヒテカツハ仏ニタテマツリカツハ家ツトニス。若夜
シツカナレハマトノ月ニ故人ヲシノヒサルノコヱニソテヲウルホ
ス。クサムラノホタルハトヲクマキノカゝリヒニマカヒアカ月
ノアメハヲノツカラコノハフクアラシニニタリ。山トリノホロ
トナクヲキゝテモチゝカハゝカトウタカヒミネノカセキノチカク
ナレタルニツケテモヨニトホサカルホトヲシル。或ハ又ウツミ
火ヲカキヲコシテヲイノネサメノトモ
 


鳥羽 山城
   新古今慈圓
大江山かたぶく月の影さへて
鳥羽田の面に落るかりがね
 
 
 
羽束師     俊成
もらしても袖やしほらん数ならぬ
身をはづかしのもりの雫は
 
 
※大江山
新古今和歌集巻第五 秋歌下
 五十首奉りし時、月前聞雁といふことを
               前大僧正慈円
大江山傾く月のかげさえて鳥羽田の面に落つるかりがね
 
よみ:おおえやまかたぶくつきのかげさえてとばたのおもにおつるかりがね 隠
 
備考:建仁元年仙洞句題五十首。大江山は西京区老坂の大枝山。鳥羽は、南区南部と伏見区北西部。
 
※もらしても
続拾遺集
漏らしても袖やしをれむ数ならぬ身をはづかしの森の雫は
羽束師は、伏見区西部。
 
 
Google Earthによる日野山周辺からの眺望シミュレーション
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