もみぢせぬときはのやまにすむしかは
をのれなきてや秋をしるらむ 能宣
ゆふづくよをぐらの山になくしかの
こゑのうちにやあきはくるらん 貫之
露
白
可憐九月初三夜露似真珠月似弓
源英明
露滴蘭叢寒玉白風銜松葉雅琴清
さをしかのあきたつをのゝあきはぎに
たまとみるまでをけるしら露 家持
霧
拾遺集
題知らず 大中臣能宣
紅葉せぬ常盤の山にすむ鹿はおのれ鳴きてや秋を知るらむ
※能宣集にはなく、重之集に載る。
古今集
長月の晦の日大井にてよめる 紀貫之
夕づく夜をぐらの山に鳴く鹿のこゑのうちにや秋はくるらん
暮行吟 白居易
憐れぶべし九月初三の夜、露真珠に似て月は弓に似たり。
秋色颯然新 源英明
露蘭叢に滴て寒玉白し。風松葉を銜(ふくん)で雅琴(がきん)清し。
新古今和歌集巻第四 秋歌上
題しらず 中納言家持
さを鹿の朝立つ野邊の秋萩に玉と見るまで置けるしらつゆ
さを鹿の朝立つ野邊の秋萩に玉と見るまで置けるしらつゆ
よみ:さおしかのあきたつおののあきはぎにたまとみるまでおけるしらつゆ
意味:牡鹿が朝立つ小野の秋萩には、玉と見まがえるまで置ける白露となった。
備考:万葉集。さは接頭語。
万葉集巻第八 1598 秋雑歌
棹壮鹿之 朝立野辺乃 秋芽子尓 玉跡見左右 置有白露
棹壮鹿之 朝立野辺乃 秋芽子尓 玉跡見左右 置有白露
天平十五年八月見物色作