新古今和歌集の部屋

唐詩選画本 宮中題 文宗皇帝 蔵書

 
  きうちうにだいす   ぶんそうくはうてい
宮中題  文宗皇帝
 
輦路生秋草上林花滿枝憑高
 
何限意無復侍臣知
 
れんろしうそうをしやうじじやうりんはなえだにみつ
たかきによるなんのかぎりのいをまたじしんのしるなし

 
 
 
 
 
 
 
 
此詩は、文そうのおしこめられての時の詩也。
れんろの御なり道も、秋のくさかすへ
しげり、はるは、上りんに心なく、はるが
ちくさみつて、きろうなとき上りて
みれば、かぎりなきおもひなれども、だれも
そばにいるしんかのしるものなくと也。
 
 
 宮中題 文宗皇帝
輦路(れんろ)秋草を生じ、
上林、花枝に満つ。
高きに憑(よ)る、何の限りの意を、
復、侍臣の知る無し。
 
意訳
私の乗る輦の通っていた路には秋草が生え、
昔いた上林の御苑の花は枝に満ちている。
高い楼に登って見る私の思いは限りが無い。
しかしまた、その辛い思いを知ってくれる近臣は宦官を憚って一人もいない。
 
 
※文宗皇帝 唐の十七代皇帝(809ー840)。兄の敬宗が宦官に殺され、他の宦官王守澄らによって擁立され、実権は持たず傀儡状態だった。甘露の変により宦官を排斥しようとしたが、捕らえられ幽閉された。
 
※輦 皇帝の乗る輿。
 
※上林 漢代の宮廷の御苑。
 
※憑高 高いところに登って眺める。宮中なので楼と思われる。
 
唐詩選画本 巻第五 五言絶句
 
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