をくるりうはんぐはんがおもむくをせきせいに しん/\
送 劉 判 官 赴 磧 西 岑 参
くは さん ご ぐはつ こうじんまれなり。見る きみがむまさりて とき事ごとしとりの。
火 山 五 月 行 人 少 看 君 馬 去 疾 如 鳥
と しの こうゑい たい はくのにし。かくせい ひとたびうごくこ てんのあかつき。
都 使 行 營 太 白 西 角 聲 一 動 胡 天 暁
西域のくはさんを五月じぶんとをり見れば、たびびとがひとりも通らぬさびしいところじや。いまこなた
はむかふのやうすをしらぬゆへたゞひとりきしやうにむまをとばせてゆかるゝがこなたの
なし。行営のぢんやは太白山のにしでゑびすへちかいところなればこてんのあかつきかたに
どこともなく角をふきあけたらばかなしかうふはじめむまをとぼせたやふではあかまいとなり。
劉判官磧西に赴くを送る 岑参
火山五月行人少なり。
看る、君が馬去りて疾きこと鳥の如く。
都使の行営太白の西、
角声一たび動く胡天の暁。
意訳
火焔山の辺りへ、五月の暑い時に、わざわざ行く旅人は稀だ。
見れば、君は馬は行く疾く事、鳥の如くだ。
安西大都護府の行営府は、宵の明星より更に西にある。