卅一番
左 元良親王
はなのいろはむかしながらにみし人の
こゝろのみこそうつろひにけれ
右 権中納言定家
ひとりぬるやまどりのをのしだりおに
しもおきまよふとこの月かげ
卅二番
左
あふことはとをやます(ど)りのか(す)りごろも
きてはかひなきねをのみぞなく
右
おぐらやましぐるゝころのあさな/\
きのふはうすきよものもみぢ葉
卅三番
左
わびぬればいまはたをなじなにはなる
身をつくしてもあはんとぞおもふ
右
きえわびぬうつろふ人の秋のいろに
身をこがらしのもりのしたつゆ
重要文化財 為家本時代不同歌合絵巻
東京国立博物館蔵
名称:為家本時代不同歌合絵
年代世紀:鎌倉時代・14世紀
列品番号:A-19
後撰集集
元良親王兼茂朝臣のむすめに住み侍りけるを
法皇の召してかの院にさぶらひければえ逢ふ
ことも侍らざりければあくる年の春花の枝に
さしてかの曹司に挿し置かせける
花の色は昔ながらに見し人の 心のみこそうつろひにけれ
秋哥上
百首歌奉りし時
ひとり寝る山鳥の尾のしだり尾に霜おきまよふ床の月かげ 隠 隆
左 元良親王
はなのいろはむかしながらにみし人の
こゝろのみこそうつろひにけれ
右 権中納言定家
ひとりぬるやまどりのをのしだりおに
しもおきまよふとこの月かげ
卅二番
左
あふことはとをやます(ど)りのか(す)りごろも
きてはかひなきねをのみぞなく
右
おぐらやましぐるゝころのあさな/\
きのふはうすきよものもみぢ葉
卅三番
左
わびぬればいまはたをなじなにはなる
身をつくしてもあはんとぞおもふ
右
きえわびぬうつろふ人の秋のいろに
身をこがらしのもりのしたつゆ
重要文化財 為家本時代不同歌合絵巻
東京国立博物館蔵
名称:為家本時代不同歌合絵
年代世紀:鎌倉時代・14世紀
列品番号:A-19
後撰集集
元良親王兼茂朝臣のむすめに住み侍りけるを
法皇の召してかの院にさぶらひければえ逢ふ
ことも侍らざりければあくる年の春花の枝に
さしてかの曹司に挿し置かせける
花の色は昔ながらに見し人の 心のみこそうつろひにけれ
秋哥上
百首歌奉りし時
ひとり寝る山鳥の尾のしだり尾に霜おきまよふ床の月かげ 隠 隆
※定家が権中納言に任じられたのは寛喜4年(1232年)1月30日で筆者は子の為家なので間違いでは無い。ここで前述の家隆の官位と矛盾が生じる。
※宮内庁書陵部蔵は、三十二番で撰歌。
後撰
しのびて通ひ侍りける女のもとより狩装束送り
て侍りけるに、摺れる狩衣侍りけるに
逢ふことは遠山ずりの狩衣きてはかひなき音をのみぞなく
※遠山ずりと遠山どりの二種類が伝わっている。
続後撰集
建保五年四月庚申秋朝
小倉山しぐるるころの朝な朝な昨日はうすき四方のもみぢ葉
後撰集
事いできてのちに京極御息所につかはしける
わびぬれば今はたおなじ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ
恋歌四
千五百番歌合に
消えわびぬうつろふ人の秋の色に身をこがらしの森の下露 隠 通隆雅(前田)