左京大夫顕輔 六条家和哥一流
藤原魚名苗裔摂津守澄經孫六条修理大夫顕季三男
清輔重家顕昭法師等之父。有家知家等之祖父なり。
俊成卿もはじめは顕輔の養子にて顕廣と申せしを
風体を後にあらためて基俊の門弟となり給へり。
袋草子云。詞花集新院崇徳院御譲位之後故右(左ヵ)京顕輔
一人撰之大養元年六月二日奉之云云
秋風にたなびく雲の絶間よりもれいづる月の影のさやけさ
新古今秋上。崇徳院に百首の歌奉りける時云云。哥心は師
説、風にたなびき出る雲におほはれし月のすこしの
たえ間よりさし出る影のさやかに明白なる風情なり。
御抄云、天のさやかなるより月も雲間を出たるは、あらた
にさやかにしてしかも面白く見ゆる心侍也。いかにも長高き哥也。
※師説 松永貞徳の説
※御抄 細川幽斎の幽斎抄