入道摂政の為に萬燈會をこなはれ侍りけるに
東三条院
みな底にちヾのひかりはうつれども昔の影は見えずぞありける
公忠朝臣身まかりける頃よみ侍りける
源信明朝臣
物をのみ思ひ寝覚のまくらには涙かからぬあか月ぞなき
一条院かくれ給にければその御事のみ戀ひ歎き給て
夢にほのかに見え給ければ
上東門院
逢事も今はなきねの夢ならでいつかは君をまたは見るべき
後朱雀院かくれ給ひて上東門院白河にこもり給ひ
にけるを聞きて 女御藤原生子 大二条教通女
読み:みなぞこにちぢのひかりはうつれどもむかしのかげはみえずぞありける
読み:ものをのみおもいめざめのまくらにはなみだかからぬあかつきぞなき
隠
父が亡くなって物思いばかりに沈んでいるので、寝覚めた後の枕には涙の跡が付かない暁はありません。
読み:あうこともいまはなきねのゆめならでいつかはきみをまたみるべき 隠
意味:故院にお会いする事はもう無く、泣きながら見た夢でしかお会いする事が出来ません。又いつ夢でお会いできるでしょうか。
備考:栄花物語 ひかげのかづら 無きと泣きの掛詞。 一条院崩御は寛弘八年(1011年)六月二十二日。栄花物語によるとこの歌は、長和元年(1012年)一月十五日法要の頃。
平成27年3月25日 點六々々