い勢にまかりけるを ひとの送りければ 蛤のふたみに ばせを 分行秋ぞ 露通もこのみなとまで出でむかひて、みのの国へと伴ふ。駒にたすけられて大垣の庄に入れば、曽良も伊勢より来たり合い、越人も馬をとばせて、如行が家に入り集まる。前川子荊口父子、そのほかしたしき人々日夜とぶらひて、蘇生のものに会ふがごとく、かつ悦び、かついたはる。 旅のものうさも、いまだやまざるに、長月六日になれば、伊勢の遷宮おがまんと、また舟にのりて、 蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ