なやらはむにをとたかるべきこと
何わざをせさせむとはしりありきたま
ふもをかしき御ありさまを見ざら
むことゝよろづにしのびがたし。
ものおもふとすぐるつきひもしらぬま
ものおもふとすぐるつきひもしらぬま
にとしもわが世もけふやつきぬる
(藤式部 ナレーション)
物思いばかりして、月日が過ぎた事も知らぬ間に、この年も我が生涯も今日で尽きるのか
源氏物語 幻
年暮れぬと思すも、心細きに、若宮の
「儺やらはむに、音高かるべき事、何わざをせさせむ」と、走り歩き給ふも、
「をかしき御有樣を見ざらむこと」と、万づに忍び難し。
物思ふと過ぐる月日も知らぬまに年も我が世も今日や尽きぬる
源氏
物思ふと過ぐる月日も知らぬまに年も我が世も今日や尽きぬる
よみ:ものおもうとすぐるつきひもしらぬまにとしもわがよもきょうやつきぬる
意味:物思いばかりしていて、月日が過ぎて来たことも知らない間に、大晦日の今年も我が世も今日で尽きてしまうのか
備考:本歌 後撰集 敦忠
物思ふと過ぐる月日も知らぬまに今年は今日に果てぬとか聞く