新古今和歌集の部屋

人麿像 世継俊保画図コレクション


三十六人撰
きのふこそ年はくれしか春霞春日の山にはや立ちにけり
明日からは若菜つまむとかたをかのあしたの原はけふさやくめる
梅の花それともみえず久方のあまぎる雪のなべてふれれは
ほとゝぎきす鳴くやさつきの短か夜のひとりしぬれは明かしかねつも
飛鳥川もみぢ葉ながるかつらぎのやまの秋風ふきそしくらし
ほの/\のと明石の浦のあさ霧に島かくれゆく舟をしぞおもふ
たのめつつ来ぬ夜あまたになりぬればまたじとおもふそまつにまされる
あしひきのやまとりのをのしたりをの長々し夜をひとりかも寝む
わきも子がねくたれ髪を猿沢の池のたま藻とみるぞかなしき
もののふの八十宇治川の網代木にたゞよふ浪のゆくへ知らずも


新古今和歌集 柿本人麿歌
夏歌
190 なく声をえやは忍ばぬほととぎす初卯の花のかげにかくれて
秋歌上
333 秋萩の咲き散る野辺の夕露に濡れつつ来ませ夜は更けぬとも
346 さを鹿のいる野のすすき初尾花いつしか妹が手枕にせむ
秋歌下
458 秋しあれば雁のつばさに霜振りて寒き夜な夜な時雨さへ降る
459 さを鹿のつまどふ山の岡べなる早稲田は刈らじ霜は置くとも
冬歌
582 時雨の雨まなくし降ればまきの葉も争ひかねて色づきにけり
657 矢田の野に浅茅色づくあらち山嶺のあわ雪寒くぞあるらし
哀傷歌
849 久方のあめにしをるる君ゆゑに月日も知らで恋ひわたるらむ
羇旅歌
899 あまざかる鄙のなが路を漕ぎくれば明石のとよりやまと島見ゆ
900 ささの葉はみ山もそよに乱るなりわれは妹思ふ別れ来ぬれば
恋歌一
992 あしびきの山田守る庵に置くかびの下焦れつつわが恋ふらくは
993 石の上布留のわさ田のほには出でず心のうちに恋ひや渡らむ
1050 み狩する狩場の小野のなら柴の馴れはまさらで恋ぞまされる
恋歌三
1208 衣手に山おろし吹きて寒き夜を君来まさずは独かも寝む
恋歌五
1373 夏野行くをじかの角のつかのまもわすれず思へ妹がこころを
1374 夏草の露わけごろも着もせぬになどわが袖のかわくときなき
雑歌上
1648 もののふの八十うぢ川の網代木にいさよふ波の行方知らずも
686 秋されば狩人越ゆる立田山たちても居てもものをしぞ思ふ
雑歌下
1705 蘆鴨のさわぐ入江の水の江の世にすみ難きわが身なりけり


世継俊保 畫圖
不明

平成28年3月10日 貮點七
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