帚木 まだ中将などにものし給しときは、内にのみさぶらひようし給て、大殿には絶え/ヾまかで給ふ。しのぶのみだれやとうたがひきこゆる事もありしかど、さしもあだめきめなれたるうちつけのすき/ヾしさなどはこのましからぬ御ほんじやうにて、まれには、あながちにひきたがへ、心づくしなることを御心におぼしとゞむるくせなむあやにくにて、さるまじき御ふるまひもうちまじりける。 第十一 戀歌一 女に遣はしける 在原業平朝臣 春日野の若紫のすりごろもしのぶのみだれかぎり知られず