秋風の
露の
やどり
に
君を置きて
ちりを出でぬる
ことぞ
かなしき
新古今和歌集巻第八 哀傷歌
例ならぬこと重くなりて御ぐしおろし
給ひける日上東門院中宮と申しける時
遣はしける
一條院御歌
秋風の露のやどりに君を置きてちりを出でぬることぞかなしき
よみ:あきかぜのつゆのやどりにきみをおきてちりをいでぬることぞかなしき 隠
意味:秋風が置いてゆくはかなく消える露のような仮の宿の世の中に中宮を残して、俗塵を払って出家しなければならないのはとても悲しいです。
備考:栄花物語 巻第九 いわかげによると初句は「露の身の」、四句は「家を出ぬる」 。
参考
御堂関白記
露の身の草の宿りに君を置きて塵を出でぬる事こそ思へ
栄花物語
露の身の仮の宿りに君を置きて家を出でぬることぞ悲しき
権記
露の身の風の宿りに君を置きて塵を出でぬる事ぞかなしき