延徳本 方丈記 つらつらこれらのことを思ふに
つら/\これらの事を思ふに、家あれば、燒失の恐れあり。妻子あれば、はごくまむ思ひあり。...
羈旅歌 江口
天王寺へ詣で侍りけるににわかに雨の降りけ れば江口に宿を借りけるに貸し侍らざりけれ ばよみ侍りける 西行法師 世の中を厭ふまでこそ難か...
延徳本 方丈記 爰にわれ、深き谷のほとりに
爰にわれ、ふかき谷のほとり、閑なる林の間に、わづかなる方丈の草の菴をむすべり。 竹の柱を...
延徳本 方丈記 又、かたはらに、琴琵琶をたて置けり
又、かたはらに、琴琵琶をたて置けり。いはゆる折琴つぎ琵琶是なり。 今さらの身に○(は)おは(ふせ)ぬ手すさびながらも、昔わすれぬ名殘に、折ふしはかきなで〃、おもひをやる。子期がごと...
源家長日記 元久元年十一月十日春日社歌合
此内大臣殿の御事に、ひさしく御歌あはせなどもはへざりき。そのつぎのとし冬比、春日社の歌合とて侍りき。此つかひはをなし程のよみくちと、世の人のてつかひおもへるをえりあはせられたりしか...
延徳本 方丈記 澤の根芹、峯の木のみ
澤の根芹、峯の木の実み、あるにつけて命をつなぎ、麻の衣、藤のふすま、うるにしたがひて肌...
延徳本 方丈記 心ざし道ふかければ
心ざし道ふかければ、つれ/"\たる愁もなし。 谷の清水、峯の木だち、眼をよろこばしむる友なり。風の音、むしの聲、耳にしたがふしるかなり。 春は、鶯のこゑを待えては、鸚鵡の囀と聞...
延徳本 方丈記 もし、かうばしき友
もし、かうばしき友、芝の戸をたヽいて入來れば、往事をかたり、來縁を契る。それ、世間名聞...
延徳本 方丈記 方丈のすまゐたのしきこと
方丈のすまゐたのしきこと、かくのごとし。冨る人にむかひていふにあらず。たヾ、身ひとつに...
延徳本 方丈記 今、方丈の草の庵
今、方丈の草の庵、よくわが心にかなえり。故に、万物をゆたかにして、うれはしき事、さらに...