前田家本方丈記 世中の有り難9 蚕の繭を営まんが如し
このまゆをいとなまんかことし。 これをなかころのすみかになら ふれは又百分が一におよはす。とかく いふほとによはひはとし/\にたかく すみかはおり/\にせはし。その家 の...
前田家本方丈記 世中の有り難8 元より妻子無ければ
妻子なけれはすてかたきよすか もなし。身に官ろくあらす。なに につけてか執をとゝめむ。むなし くおほはらやまのくもにふして いつかへりの 春秋をなんへにけり。 こゝにむそ...
前田家本方丈記 世中の有り難7 所河原近ければ
ところかはらちかけれはみつのなん もふかく、しらなみのおそれもさ はかし。すへてあらぬよをねんし くらしつゝ心をなやませること 三十よねんなり。そのあいた おり/\のたか...
前田家本方丈記 世中の有り難6 更に我が心と一つの庵
かこゝろとひとつのいほりをむすふ これをありしすまひになら ふるに十分か一なり。たゝいやは かりかまへてはか/\しくはやを つくるにをよはす。わつかについち をつけりとい...
前田家本方丈記 世中の有り難5 従わねば犯せるに似たり
は犯せるにゝたり。いつれのところ をしめいかなるわさをしてかし しも此身をやとしたまゆ らもこゝろをやすむへき。わか身 祖母の家をつたへてひさしくその ところにすむ。その...
前田家本方丈記 世中の有り難4 辺地にあれば往反に煩い
なし。辺地にあれは往反にわつ らひおほく盗賊の難もはな はたし。又いきおひあるものゝ 貪欲ふかく独身なるものは人に かろめらる。たからあれはおそれお ほくまつしけれはうら...
前田家本方丈記 世中の有り難3 貧しくて富める家の隣
すしくしてとめる家のとなり におるものはあさゆふすほき すかたをはちてへつらひつヽいて ...
前田家本 方丈記 世中の有り難2 挙げて数ふべからず
かそふへか□す。□しをのかみ□ して権門の□□におるはふか くよろ□□事あれともおほ きにたのしむ事あたはず。な けき切なる時もこゑをあけ てなくことなし。進退やすからず...
前田家本方丈記 世中の有り難1 心の濁りも
□□□□か心のにこりもうす □□かとみし。□□月日かさな□ □□のちにはことのはにか けていひつ...
唐衣 伝千代女筆
から衣 行住にひやひや路や沼のあき 素園[千代] 加賀の...