もう2週間以上前の出来事ですが、やはり書き留めておきたいのは欧州チャンピオンズリーグ決勝です。
今年はユベントスに勝機があるのではと思っていましたがフタを開けて見ればレアル・マドリーが4-1で粉砕した形になりました。
やはりレアル・マドリーの圧倒的な戦力の層がこの結果をもたらしたと、6月10日にネット上のSportNAVIに掲載されたセルヒオ・レビンスキー氏(翻訳・工藤拓氏)がレポートしています。
ピッチに送り込まれている各ポジションの選手が一人残らず世界のトップクラスであるほか、スタメンで出られない選手の中にもトップクラスの選手が複数いるチームなど他に存在せず、その選手たちが普段どおりの力を出せば自ずと結果がついてくるというわけです。
ユベントスの鉄壁な守備陣をしても守り切れないC・ロナウドを核としたレアルの攻撃陣。1992~1993シーズンに「チャンピオンズカップ」から「チャンピオンズリーグ」に変更されて25シーズン、どのチームも成しえなかった連覇。
終ってみれば、いとも簡単に達成されたように思います。それだけレアルの戦力が抜きん出ていたというのが、おおかたの評価のようです。
そういうチームにあってC・ロナウド。チームとしての和を乱すこともなく長いシーズンにわたって不動のエースとして結果を出し続けてきました。そのあたりを、CL決勝を放送したフジTVの解説・清水秀彦さんは「進化しているというか、簡単に味方を使って、またもらって、預けて、その間にDFから消えてというように、成熟しましたねぇ」と評価していました。
チャンピオンズリーグが終わったタイミングを見計らったかのようにスペインの司法当局から脱税の嫌疑がかけられているとのニュースが駆け巡っていますが、これまでは、あれほどのスター性に溢れたプレーヤーでありながらスキャンダルに無縁だったC・ロナウド。
チームとしてのレアル・マドリーとC・ロナウドの幸福な時代は、今シーズンをもって終わるのでしょうか? C・ロナウドは脱税の嫌疑を受けてチームを去るようだとのニュースも駆け巡っています。
どんな栄光も長く続けることは困難ですが、レアルの栄光も、いまがピークなのかも知れません。そのことについて、さきに紹介したセルヒオ・レビンスキー氏が、今日6月17日付けの寄稿で「選択を迫られるトップレベルの選手たち“ネズミの頭”か“ライオンの尻尾”か――」(翻訳・工藤拓氏)という一文を寄せています。
すなわち、レアルのような栄光を勝ち得るチームには、他のチームでならエース級の活躍ができる選手たちが何人もベンチを温めてて、僅かな出場機会に望みをかけている。
しかし、彼らもいつまでもそういった「ライオンの尻尾」に甘んじてはいないので、これからは莫大な資金力にものを言わせてエース級の選手たちを集められないと思う、というわけです。
確かに自国のリーグ戦とCLを戦い抜き連覇を果たせたのは、2チーム分の豪華メンバーを集め、半分はベンチに置いたまま戦えるチームだからとも言えます。
レポートに使われた写真には、ベンチを温めているコロンビア代表のハメス・ロドリゲスとスペイン代表のアルバロ・モラタの所在なげな表情が映っていました。
レビンスキー氏のレポートは、昨シーズンのバルセロナが同じ状況に陥って戦力補強に失敗したと指摘して「再びバルセロナがレアル・マドリーと競いながら長いシーズンを戦い抜くためには、ベンチメンバーの質を高める必要がある。しかし、有能なバックアッパーの補強は年々難しくなっている。多くの出番が得られる見込みがなく、ベンチに座り続けることも厭(いと)わない選手など、そう簡単に見つかるものではない。両クラブの強化担当は、この重大な問題が致命傷となる前に解決策を見いださなければならない。昨季のバルセロナの二の舞になりたくなければ。」と締めくくっています。
CL連覇を果たした今シーズンのレアル・マドリーのようなチーム作りは、もはや出来ないのかも知れませんし、またしばらくの年月、連覇を果たすチームは現れないのかも知れません。そういう意味で、私たちは奇跡のようなチーム、伝説的なチームに今年出会ったのかも知れません。
この伝説的かも知れないチームを語る上でもう一人欠かせない人物、誰あろう、ジダン監督です。監督経験ゼロから内部昇格の形でレアルを率いて、そのままCL連覇の偉業です。これはもうカリスマにしかできない技です。
ジダン監督がチームをまとめきれた要因について、セルヒオ・レビンスキー氏は最初の寄稿で「ジダンが手にしたレベルの成功は、近年ではビセンテ・デルボスケ、カルロ・アンチェロッティの指揮下でしか実現し得なかったものだ。3人はいずれも謙虚な人柄を特徴とし、選手たちのエゴをうまくコントロールしながら、メディアともうまく付き合うことができる柔軟性を持ち合わせている。不必要に激しい身振りを交え、選手達を怒鳴りつけるようなこともしない。ただ、視聴者にとって不可欠なエンターテインメントを提供しているだけだ。」と述べています。
強烈な個性を持つハイレベルな選手たちを使いこなすには、謙虚な人柄であることがポイントのようです。
私は、やはり采配が理にかなっていることが大きいと思います。采配におかしいところがあれば勝てる試合を落としたりします。それが主力選手の不満につながりチーム崩壊の引き金になります。
したがってジダン監督は、おそらく派手さはないのでしょうけれど、やることが一つひとつ理にかなっていて、いわば常識的な采配ができていたのだと思います。なんといっても、このチームは采配さえ常識的であれば、あとは選手がなんとかしてくれるチームだということです。
監督の謙虚な人柄というのは、単に温厚というような意味ではなく、選手の力を冷静に見極めて、監督自身の私情を挟まず、いわば虚心坦懐に采配できる精神的な安定感ということのようです。
スーパーなチームを勝利に導くことができる一つの監督像を見た思いがします。
もし、来シーズン、絶対的エースのC・ロナウドがチームを去り、総合戦力という意味でも国内リーグとCLを同時並行で戦うのに苦慮する状態になった時のジダン監督。真価が問われるのは来シーズンかも知れません。
欧州CL連覇を果たしたレアル・マドリー、そして、その中心にいたC・ロナウド、さらには指揮官ジダン。実は、この先に向けて、いろいろな様相を見せ始めていることもわかってきました。
今シーズンのこの出来事が、5年後、10年後どのように語り継がれていくか、楽しみになります。では、また。
今年はユベントスに勝機があるのではと思っていましたがフタを開けて見ればレアル・マドリーが4-1で粉砕した形になりました。
やはりレアル・マドリーの圧倒的な戦力の層がこの結果をもたらしたと、6月10日にネット上のSportNAVIに掲載されたセルヒオ・レビンスキー氏(翻訳・工藤拓氏)がレポートしています。
ピッチに送り込まれている各ポジションの選手が一人残らず世界のトップクラスであるほか、スタメンで出られない選手の中にもトップクラスの選手が複数いるチームなど他に存在せず、その選手たちが普段どおりの力を出せば自ずと結果がついてくるというわけです。
ユベントスの鉄壁な守備陣をしても守り切れないC・ロナウドを核としたレアルの攻撃陣。1992~1993シーズンに「チャンピオンズカップ」から「チャンピオンズリーグ」に変更されて25シーズン、どのチームも成しえなかった連覇。
終ってみれば、いとも簡単に達成されたように思います。それだけレアルの戦力が抜きん出ていたというのが、おおかたの評価のようです。
そういうチームにあってC・ロナウド。チームとしての和を乱すこともなく長いシーズンにわたって不動のエースとして結果を出し続けてきました。そのあたりを、CL決勝を放送したフジTVの解説・清水秀彦さんは「進化しているというか、簡単に味方を使って、またもらって、預けて、その間にDFから消えてというように、成熟しましたねぇ」と評価していました。
チャンピオンズリーグが終わったタイミングを見計らったかのようにスペインの司法当局から脱税の嫌疑がかけられているとのニュースが駆け巡っていますが、これまでは、あれほどのスター性に溢れたプレーヤーでありながらスキャンダルに無縁だったC・ロナウド。
チームとしてのレアル・マドリーとC・ロナウドの幸福な時代は、今シーズンをもって終わるのでしょうか? C・ロナウドは脱税の嫌疑を受けてチームを去るようだとのニュースも駆け巡っています。
どんな栄光も長く続けることは困難ですが、レアルの栄光も、いまがピークなのかも知れません。そのことについて、さきに紹介したセルヒオ・レビンスキー氏が、今日6月17日付けの寄稿で「選択を迫られるトップレベルの選手たち“ネズミの頭”か“ライオンの尻尾”か――」(翻訳・工藤拓氏)という一文を寄せています。
すなわち、レアルのような栄光を勝ち得るチームには、他のチームでならエース級の活躍ができる選手たちが何人もベンチを温めてて、僅かな出場機会に望みをかけている。
しかし、彼らもいつまでもそういった「ライオンの尻尾」に甘んじてはいないので、これからは莫大な資金力にものを言わせてエース級の選手たちを集められないと思う、というわけです。
確かに自国のリーグ戦とCLを戦い抜き連覇を果たせたのは、2チーム分の豪華メンバーを集め、半分はベンチに置いたまま戦えるチームだからとも言えます。
レポートに使われた写真には、ベンチを温めているコロンビア代表のハメス・ロドリゲスとスペイン代表のアルバロ・モラタの所在なげな表情が映っていました。
レビンスキー氏のレポートは、昨シーズンのバルセロナが同じ状況に陥って戦力補強に失敗したと指摘して「再びバルセロナがレアル・マドリーと競いながら長いシーズンを戦い抜くためには、ベンチメンバーの質を高める必要がある。しかし、有能なバックアッパーの補強は年々難しくなっている。多くの出番が得られる見込みがなく、ベンチに座り続けることも厭(いと)わない選手など、そう簡単に見つかるものではない。両クラブの強化担当は、この重大な問題が致命傷となる前に解決策を見いださなければならない。昨季のバルセロナの二の舞になりたくなければ。」と締めくくっています。
CL連覇を果たした今シーズンのレアル・マドリーのようなチーム作りは、もはや出来ないのかも知れませんし、またしばらくの年月、連覇を果たすチームは現れないのかも知れません。そういう意味で、私たちは奇跡のようなチーム、伝説的なチームに今年出会ったのかも知れません。
この伝説的かも知れないチームを語る上でもう一人欠かせない人物、誰あろう、ジダン監督です。監督経験ゼロから内部昇格の形でレアルを率いて、そのままCL連覇の偉業です。これはもうカリスマにしかできない技です。
ジダン監督がチームをまとめきれた要因について、セルヒオ・レビンスキー氏は最初の寄稿で「ジダンが手にしたレベルの成功は、近年ではビセンテ・デルボスケ、カルロ・アンチェロッティの指揮下でしか実現し得なかったものだ。3人はいずれも謙虚な人柄を特徴とし、選手たちのエゴをうまくコントロールしながら、メディアともうまく付き合うことができる柔軟性を持ち合わせている。不必要に激しい身振りを交え、選手達を怒鳴りつけるようなこともしない。ただ、視聴者にとって不可欠なエンターテインメントを提供しているだけだ。」と述べています。
強烈な個性を持つハイレベルな選手たちを使いこなすには、謙虚な人柄であることがポイントのようです。
私は、やはり采配が理にかなっていることが大きいと思います。采配におかしいところがあれば勝てる試合を落としたりします。それが主力選手の不満につながりチーム崩壊の引き金になります。
したがってジダン監督は、おそらく派手さはないのでしょうけれど、やることが一つひとつ理にかなっていて、いわば常識的な采配ができていたのだと思います。なんといっても、このチームは采配さえ常識的であれば、あとは選手がなんとかしてくれるチームだということです。
監督の謙虚な人柄というのは、単に温厚というような意味ではなく、選手の力を冷静に見極めて、監督自身の私情を挟まず、いわば虚心坦懐に采配できる精神的な安定感ということのようです。
スーパーなチームを勝利に導くことができる一つの監督像を見た思いがします。
もし、来シーズン、絶対的エースのC・ロナウドがチームを去り、総合戦力という意味でも国内リーグとCLを同時並行で戦うのに苦慮する状態になった時のジダン監督。真価が問われるのは来シーズンかも知れません。
欧州CL連覇を果たしたレアル・マドリー、そして、その中心にいたC・ロナウド、さらには指揮官ジダン。実は、この先に向けて、いろいろな様相を見せ始めていることもわかってきました。
今シーズンのこの出来事が、5年後、10年後どのように語り継がれていくか、楽しみになります。では、また。