⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎危機はらむアジアの海⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
🔵識者の言葉を借りると,仮に日本が資源国だったとしたら, 国際経済
協定が難しい折から、幾ら高品質であれ、日本の自動車にしても,電気
製品にしても輸入制約の壁に阻まれていただろうと予測する。
ほとんどの資源を海外から輸入し,それを高度に加工、魅力商品にして
輸出すると言う貿易のバランスが,よかったのではないかという。
因みに食糧自給率をとって見ても―――
・日本 38%
・カナダ 264%
・豪州 224%
・米国 130%
・フランス 127%
世界の先進国の中で日本の食糧自給率は極めて低いが、それを価値ある
輸入食品で補ううことによって、インバウンドでも評価される、独自で
高度な食文化の日本市場を形成してきたといっていい。
⬛︎⬛︎1)「南シナ海の危機」
🔵中国は,「一帯一路」の世界戦略を展開するにあたり、まず海の出口で
ある南シナ海の覇権を握ることを、最重要の課題としてきた。
折しもその南シナ海が、この15年来、
・中国の周辺海域をめぐる湾岸諸国との領有権争いや、
・スプラトリー諸島や、
・西沙諸島の人工島造成と 軍事拠点化の問題で、
きな臭くなりつつある。
そこへ米国は公海の自由航行を主張して、西沙諸島周辺に軍艦や航空機を
派遣して、強く牽制する。
また最近では、一時中国接近が見られたフイリピンまで、自国の海上にお
ける中国との石油やガスの開発で対立、ASEANや国連を足場にした紛争に
発展しそうな気配である。
⬛︎⬛︎2)「中国の脅威」
🔵今から15年前、中国経済の大躍進が始まる。
中国経済の台頭について、中国に詳しいほとんどの経済人が、「一時的で
決して永続きしない。そのうちに崩壊する」と断言していたのを思い出す。
それからの日本は、
・リーマンショック、
・政権交代、
・円高、
・輸出不振、
・東日本大震災
と苦労の連続だった。
その間、中国は「世界の生産基地国」を目指して、着々と経済を拡大
して平成23年には、GDPで日本を抜いて世界第2位になった。
それでも疑い深い日本の識者の中には「中国経済は虚構、必ず崩壊する」
と言い張る先生方が多かった。それが今や、先人米国と対で向き合う巨人
中国とあいなった。
そういえば「中国は必ず崩壊する」といい続けたあの識者は、最近とんと
マスコミにも顔を出さない。いまや中国は、侮れない世界的な大国として、
米国ともろに覇権を争うまでに台頭してきた。とはいえ所詮、信頼のおけ
ない隣りの大国でもある。
🔵かくして、当面するアジアの課題は、
・北朝鮮問題、
・米中貿易問題と台湾問題、
・中国の南シナ海の覇権問題、
など
大きな課題を残して「平成」から「令和」へシフトしたと言っていい。
⬛︎⬛︎3)「南シナ海の役割」
🔵日本が、戦後かくも平和に成長できたのは、深く推察するに,すべての
輸出入である貿易を支えた平和な海の存在が大きい。大きいと言うよりも、
全てこれに尽きる。
因みに日本は, 世界第3位の石油消費国だが、毎日,30万トンクラスのVLCC
(マンモスタンカー )2,5隻分の石油を消費する。そのため マンモスタンカ
ー約390隻が、毎日この南シナ海を行き交う。
そのほかにも日本からインド洋や中近東へは、一度に4000台近い自動車を
運ぶ巨大なカーライナー (6万頓クラスの自動車専用船) が、この海路を
通る。それだけに, 日本のエネルギ資源の全てを賄う 中近東からの原油の
輸入航路である安全で平和な南シナ海の果たす役割は大きい。
この南シナ海は,まさに日本の産業と生活を担う海の大動脈といっていい。
(出典:船乗りさんのブログ)
🔵日本の30万トンクラスの マンモスタンカー (VLCC)は, ほぼ連なる
ようにして,アラビア湾からインド洋,太平洋を経て, 南シナ海を片道20日,
往復40日をかけて中近東の石油を日本に運ぶ。
特にシンガポールを抜ける「マラッカ海峡ルート」は 日本はじめ中
国や韓国のマンモスタンカーも列をなす。海路の幅が狭く、水深が浅いた
めオイルロード一番の難所と言われる。
現在は、タンカーなど年間に14万隻が,この海峡を行き交う。
その航路を1日に換算すると、ーーーー
・往路で1日19,178隻(全てマンモスタンカー)
・1時間に 約1,600隻(全てマンモスタンカー)
・1分間に 約 27隻 (全てマンモスタンカー)
昼夜関係なく,タンカーの船影は, 列をなして狭い海峡を行き交う。まさに
壮絶としか言いようがない。
(全長350メートルのVLCCの巨大な容姿)
⬛︎⬛︎4)「日本の石油事情」
🔵戦後の日本は, 常に経済外交で平和を志向して来た。しかし日本の石油
の輸送は,全てこの南シナ海の安全運航が ,前提になっている。
日本が消費する石油は,その殆どが,中近東から、はるばる片道12,000キロの
海路を約50日を要して、マンモスタンカーで,日本に輸入される。
現在の1日あたりの原油輸入量は,約300万バレルである。
VLCCマンモスタンカーに満載した200万バレルの原油は, 全日本の1日当り
の需要の16時間分(0,6日分)に相当する。
その日本の石油需要を満たすためには,毎日,VLCC1,5隻分の石油輸入が 欠
かせない。輸入原油は,日本各地の精油所で精製され,軽油やジェット燃料
や,灯油,ナフサ,LPGなどの石油製品となり、全国に出荷される。
そして大部分の石油は、明日の日本の発電に備えて、全国各地にある大型
の石油基地に備蓄される。
🔵石油の輸入量(国別)
1位)アラブ首長国連邦(505万KL)
2位)サウジアラビア (432万KL)
3位)クエート ( 61万KL)
4位)米国 ( 37万KL)
5位)カタール ( 36万KL)
🔵石油の価格は、常に為替動向と輸送価格にリンクして決まる。生活物価
の中核を占めるだけに、石油をいかに多く備蓄するか。公海の自由と航路
の安全など常に石油資源の安定供給のために、政府は最大の配慮を払って
来た。
今の日本の石油備蓄は,約200日分ある、半年間は大丈夫だと言う。
今の激動する世界情勢から、ウクライナ戦争を例にとっても,事態の長期
化に備え石油備蓄をもうすこし増やす必要があるという。併せて、
・原子力発電の再開や、
・日本独自の新石炭発電など、
日本独自のエネルギー政策を見直し、危機自体に備えて、より安全のため
の具体化を進めるべきという声が高い。
◎因みに米国とアジアの国の国家石油備蓄の状況は、(出典:ウイキペディア)
・日本 約200日分
・米国 世界最大1億1156キロリットルの備蓄(約60日分)
・タイ 30日分
・ベトナム 30日分
・シンガポール 90日分
・カンボジア&ミヤンマ―は石油備蓄に関する法律がない。
🔵かつて大東亜戦争では, 残念ながら敗退したが, その開戦の理由(目的)は
「石油資源ルートの確保」だっだ。そして大方は、太平洋を舞台に
した海の戦いだった。結局,敵側の物量作戦に敗れたが, いま省みると 広
大な海の太平洋を戦場にした枢軸国側の巧みな作戦(戦略)に翻弄され,脆く
も屈したと見ていい。見方によれば、石油のために敗れたと言ってもいい。
その結果, 資源なき島国の日本が手にした結論は, 安寧な世界の海を求
めて,世界の国々との経済交流によって,どこまでも平和に生きていく事が,
海洋日本の命題として求められる所以だ。
⬛︎⬛︎5)「紛争の海」
🔵かって自由に往きかった世界の海は、時に資源や安全保障をめぐる国
同士の激しい覇権争いの場になる。EEZ内の水産資源や海底の鉱物資源の
採掘については、沿岸国がその資源の保存や環境保護の責任を持つ。
しかし海で接する日中両国の東シナ海の場合、日本は境界線を日中両岸
からの等距離の中間線を主張し,中国は,大陸から迫り出す大陸棚までと反
論して,その中間点でのガス田試掘を勝手に進めて,既に紛争をおこしてい
る。そのうえ東シナ海の覇権を狙う中国は、日本の尖閣周辺海域に自国の
公船を連日のごとく侵入させ、日本を揺さぶる。
🔵アジアの海のトラブルは東アジアにとどまらない。
中国は 一帯一路という現代版のシルクロード経済構想を掲げて,陸路欧州
まで事業の拡大を模索中だ。しかし、太平洋に向かう東への海路は尖閣を
含む日本の領海が、行く手に大きく横たわり、極めて邪魔な存在に見える
という。
尖閣諸島周辺の接続水域への公船による度重なる進入は、太平洋への海洋
進出を目指す,中国権益の既成事実化を狙うものとしか思えない。
中国の海の野望は, 広大な太平洋を米国と2分して,西半分を統治るというこ
とらしい。 そのためにまず着々と「第1列島線」進出の布陣を終えて,次い
で「第2列島線」まで進出するという狙いがある。
ところが第2列島線ということになれば,そのほとんどが日本の領海か日本
のEEZ域内である。
既に南シナ海では中国は、
・南沙諸島、
・西沙諸島,
・スカボロー諸島
など島々の軍事施設の建設と領有化を進めており,,既に周辺諸国から相当の
反対が寄せられている。
米国のバイデン大統領は、米中経済関係の悪化に伴い, 覇権拡大を狙う中国
への対抗処置を強めるために, 南シナ海の中国の領有権主張問題で 米国が積
極的に介入することを決めた。既に米空母など2隻が、南シナ海に常駐して
中国の動きを牽制する。
日本では、政府の一部に親中寄りの政策に加担する議員連盟があり、いまや
国民の顰蹙を買う。米中の台湾問題や尖閣問題など、許せない国際対応には、
国防政策を含め、断じて正論を曲げない対応を望む声が多い。
・アジアの海の安全を守る米国太平洋艦隊の航空母艦
🔵いまアジアの海は、安寧ではない。
アジアの海ば,
・日本海、
・東シナ海、
・南シナ海、
・ジャワ海、
・アンダマン海
まで,半閉鎖の海と言われ続けてきた。そのために 常に沿岸国の利害の対
立がおこりやすい。我が国を取り囲む広大な海も一見,自由の海でありな
がら,実は海で境界しているため 常に多くの沿岸隣国と対面する。 極めて
難しい立場場にある。決して当方から 押しつけがましい行為は、慎まなけれ
ばならない。しかし自国への影響は、何が何でも避けたいし、厳とした対応
で、正しい外交を展開して欲しいとの声が大きい。
・2024年総選挙)自民大敗(出典:JIJI)
⬛︎⬛︎6)「平和の海」
🔵いま日本では、当面する政権選択のために衆議院の総選挙が行われた。
ほとんどの政党の論点は、差し迫る米中の台湾問題を含め、憲法改正によ
る本格の国防など、私ども日本の伝統文化の美しい国をどう守るか。が大
きく問われる。
南の海の航路が、閉ざされることになれば、忽ち石油や自動車輸出の航路は、
閉ざされる事になる。日本の石油備蓄は、僅か6ヶ月分しかない。
このような厳しいエネルギー事情にも拘らず,抜本的な改善策を取らなかっ
た現自民公明政権に今回の選挙で国民の多くは,こぞってNOを突きつけた。
世界の平和に果たす、世界の海の役割は,あまりにも大きい。
そして失われた30年来、伸びない日本の経済構造にいま,大きな変革が
求められている。
いまは亡き元安部総理が推奨したインドを抱き込む「インド&アジア
太平洋戦略構想」が、大きく前進しつつあるという。
本格の保守を目指す政党が 大きく勢力を伸ばしてきた,。そして長らく政
権を維持して来た既成政党が、大きく後退した。
本来,航海の自由,航海の安全であるべきアジアの海が,世界の大国の覇権の
ために大きく揺らいぎつつあるいま、本当にこれでいいのか,という正論が
台頭しつつある。
極めて難しい局面ながら、
・積極外交や前向きの経済政策に転換する事、
・正当の保守を標榜する日本の政治勢力が、拡大しつつある事、
頼もしい限りだ。
「太平洋安保の時」「協調のアジアの海」と叫ばれる所以だろう。
世界の平和と共通の利便のために、アジアの海が、いつまでもいつまでも
平和の海であり続ける事を祈り続けたい。 (Yama)
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