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「21世紀はアジアとの時代」 (Jtiro🔴Jpn) SDGs.Webサイト(Editor: K.Yamada)

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■王国タイの教育制度

2020-10-06 | ●タイの教育

■■■■■■■■■■■中進国の罠■■■■■■■■■■■
■「
学歴社会
タイは、聞きしに勝る学歴社会である
教育制度は、日本同様、6,3,3,4制で,初頭教育と中学教育の9年間
が義務教育期間である。
ほぼ全ての村には小学校がある。多くのタムボン
には6歳から14歳までの学校があり、

全ての郡(アムプー)には12歳から17歳までの中学校がある。多くのところ
には15歳から入学
できる職業学校がある。

タイの教育制度(小学校から大学まで)


小学校では、生徒は8つの主要教科を各学期に習う。国語(タイ語)、算数、
理科、社会、体育、芸術・
音楽、技術、および外国語である。
16歳(マタヨム4)になると、生徒は1つか2つの選択教科を学ぶ。科学プロ
グラムと数学英語プログラムが人気である

外国語プログラム (中国語, フランス語, 日本語, 韓国語, ロシア語, スペイン
語 、
ドイツ語) や 社会科学プログラム(総合プログラムとも呼ばれる) もあ
る。 

初等レベル、中等レベルの双方に特別プログラムがあり、英語プログラム、
ギフテッドプログラムと
呼ばれる。
英語プログラムでは、生徒はタイ語と社会以外の全ての教科を英語で学ぶ。
特にほかの途上国と比較しても、タイのGDPに対する教育予算の比率は高
い方である。
教科書と教育資材の無償提供を,小学生の生徒にはタブレット
を提供している。

タイの学校制度
  (区分)             (年齢)            (就学率)   (資格)
●保育園 幼稚園        ・6歳未満        ・74%
●小学
(パトムスクサー)    ・満6歳~満15歳   ・104.8%
●中学(マタヨムスクサー)・
満12歳~満15歳   ・95.6% (前期)
              ・満16歳~満18歳    ・68.1% (後期)
大学
マハーウイティヤライ)          ・60.5%    (学士)
    (マハーウイティヤライ)                (修士)
    (マハーウイティヤライ)             (
博士)
                            (出所・タイ国教育相)

■「タイの大学事情
因みにタイの高校就学率は約85%、特に注目すべきは大学の就学率で
なんと51,3%で日本に
次いで高い。男性44,62%、女性58,24%と,女性の大
学就学率は日本を上回る。
ASEAN中進国としてのタイの面目躍如たる
ものがある。

タイの教育に関する管理は複雑であり,複数の教育を提供し標準を確立する
省庁、機関による重複を
引き起こしている。1980年, 教育大臣である 初期
教育に関する責任は  Ministry of Interior からMinistry of
 Education に移
管された。
大学管理省と教育省の双方が,教員養成活動に関わっている。

タイでは、人材採用の判断基準として、出身大学が大きく問われる。
ランキング上位の大学出身者の多くは、タイの著名企業ばかりか,日系企業
の幹部と
して活躍する人も多い。

因みに日本とタイの大学事情を比較すると、 
・日本は  国立大学86校、公立大学90校、私立大学606校, 合計728校
・東京139校 大阪56校 愛知52校 京都33校  
・学生数286万8千人(国立61万4千人 公立14万6千人 私立210万8千人)

・タイは、国立大学79校 私立大学71校 コミュニュ二ティカレッジ20校
・学生数170万6千人(国立約90%)

タイには公立私立あわせて160を超える高等教育機関がある。多くの公
立大学は研究目的で,
予算上政府支援を受けている。
定評のある公立,私立の大学が高等教育のために,大学庁の管轄下にある。
それらは医学、芸術、人文学、ITの分野に特化したカリキュラムを組んで
いるが、多くの学生は
欧米の教育機関で法律やビジネスを学び、海外やそ
のタイ現地法人で活かしたいと考えている。

タイの大学ランキングである。
(順位) (種別)  (大学名)        (所在地)       (特徴)
1位   国立  チェラロンコン大学       バンコク県   タイ最古の名門大学
2位   国立  マヒドン大学        バンコク県   医学で世界的な大学

3位   国立  チェンマイ大学       チェンマイ県  地方大学の雄
4位   国立  タマサート大学        バンコク県
5位   国立  カセサート大学       バンコク県   農業大学からスタート
6位    国立  コンケン大学        コーンケン県  東部タイの雄
7位    国立  キングモンクット工科大学  バンコク県 
8位    国立  プリンス オブ ソンクラー大学 ソンクラー県
9位    国立  モンクット王工科大学    バンコク県
10位  国立  スラナりー工科大学     ナコーンラーチャシーマー県

チェラロンコン大学は、タイの東大と言われ、常に1位を独占してきた。
マヒドン大学は1988年医療大学として設立された名門校で、特に医学部と
薬学部は
国際的にも知られる有名校だ。
3位のチュンマイ大学は、ロングスティでもおなじみの大学だが、3位とは
驚きのランクアップ
である。日本でいえば,京都大学というイメージだろう
か。
1964年タイの地方大学として一番古く設立された総合大学で、学生数
は3万人を超す。


タイの教育を司る中央官庁は、下記の様の大きく3つに分かれる。
文化省 2002年
  次官事務局 
  宗教局 
  芸術局  1911年
  文化振興局  1958年
  現代芸術文化事務局  2002年
高等教育・科学・研究・イノベーション 2019年
教育省 1892年
  次官事務局 
  国家教育審議会事務局 
  基礎教育委員会事務局  2002年
  高等教育委員会事務局 
  職業教育委員会事務局 


中進国の罠
日本と大きく異なるのは、日本は文部省で総轄する教育関連業務を3つの
省で分担する。国教ともいえる宗教文化を,専門で管理するという意図なのか。
タイは,アジアではデジタル分野に最も早く着目、イノベーションという意図
を明確にして
早くから行政的に力点を置いているのは、注目に値する。

2014年5月の軍事クーデター後、7月にプラユット暫定首相は国の12の値を
テレビ放送で"提唱"した。昨年の民政化後も、これは踏襲されている。
国体、宗教、王政の維持
公益のために正直、献身的、忍耐的、高貴であること
・親、保護者、教師への感謝
・学校、その他の方法での知識の探求
タイの常識と伝統の護持
道徳的であり、他人に寛容であること
国王を元首とする民主主義の正しい理解
規律を守り、法と年長者の尊重
国王の教えを守った良い行動の継続
国王の教えを守った足るを知る経済の実践
・心体双方の健康。宗教上の罪を犯さないこと
国の中で自分ができることを考えること
当局は公立学校と国家機関に、これを掲示するよう指導した。
国家機関は教育のため詩、歌、および12パートにわたる映画を製作した。
2014年の年末には情報技術・通信省(MICT)は12の価値を表示できるよう
LINEスタンプを製作したという。
                                         
暫定軍事政権は,去る5年前、今後20年でデジタル立国を目指し,イノベー
ション主導型の経済成長へと舵を切ることを宣言した。

そして2036年までに1人あたりのGDPを13,000ドルまで上げ、高所得国の
仲間入りを目指すとした。
そのため、特に重視する10分野を明確にした。
次世代自動車
・スマートエレクトロニクス
医療・健康ツーリズム
農業・バイオテクノロジー
・未来食品
ロボット産業
・航空・ロジスティック
バイオ燃料・バイオ科学
デジタル産業 ・医療ハブ

特にデジタル産業は「タイランド4.0」達成の鍵となるため「タイ・デジタ
ル経済社会開発20ヵ年計画」を策定。
新たに「デジタル経済社会開発庁」
を発足させた。
それから約5年が経つ。
政体は,暫定軍事政権から,見かけは公選政権に代わったが、中身は軍事政権
の趣に何ら変わらない。
今年になって,世界的なコロナウィールス危機に遭遇し,消費は勿論のこと、
観光や自動車生産は、極端に落ち込んだ。

 
                                ●
出典:ニッセイ基礎研究所
中進国タイが、先進国並みの優れた教育制度を持つことは、古くから知られ
ていたが、
そのタイが、いま大きな学生デモで揺れ動いている。彼ら学生た
ちの狙いは、自国の政体の改革である。

世界的なITスマホ時代を迎えて、世界の動向は,即座に若い人達にも伝わる。
タイの純粋な思考の持ち主の学生たちが,  自国の現状に疑問を抱いて不思議は
ない。
政体の改革を目指して烽火を挙げたのは,当然の事と言えるだろう。
中進国の罠は、想像以上に深い

教育は,人を育むと同時に国を育む。また同時に新しい世界を培う。世界の発展
のパワーは,人智しかないと言われる
所以だろう。同盟国タイの新しい明日に期
待したい。

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