JUNSKY blog 2015

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「出口のない海」 

2006-10-05 18:56:17 | 映画レビュー
映画 「出口のない海」 を見た。
公式ホームページ

六大学野球の投手であった主人公・並木浩二(市川海老蔵)が、特攻兵器「回天」の乗員に志願し、死に至る心の動きを丹念にフォローした作品である。
実際にあった歴史的事実であり、安倍晋三首相の言うように「後世の歴史家が判断する」ようなものではない。
僅か62年前に時の権力者によって起こされた「本当に起こったこと」なのだ。

回天での特攻に志願しなかった学友・小畑は、「海軍でも補欠だった」と嘆いて去ったが、輸送船で移動中に敵の攻撃を受け、亡くなる。

陸上競技でオリンピックを目指していた学友は、軍部による陸上競技部の廃止に愕然とし(憤り)、反動から海軍に志願する。

彼らは、敗戦を予測しながらも、恋人を守るため、家族を米英の攻撃から守るため、一緒に学んだ学友の仇を討つため、回天での特攻に志願したのである。

志願せずに居ても、そのうち学徒動員で「赤紙」が来て強制的に徴収される位なら、志願して上級将校として活きる(生きるではない)道を見つける。
小作農の子どもとして、社会の底辺での生活より「軍神」として死して郷里に花を咲かす。
など、
さまざまな、理由を見出して死地に向かうのである。

映画の中では、予科練として中学生が志願しているのに、大学生である自分達は如何にすべきか?と問う場面もあり、すでに中学生までもが戦力に込みこまれていたこと、
軍需工場で女子中学生も兵器生産に従事している模様なども再現されている。

この映画を撮り終わるころには、出演した青年達は、「今なら出撃できる」と高揚した気持ちを表明し脚本の山田洋次氏や監督を驚かせたと言う。

【公式ブログ】 (リンクが開くのにちょっと時間がかかる)も開設されているので、関心のある方は、こちらもどうぞ。

今週は、一日2回上映であるが、見に来る人が増えてきたのか、来週からは、レイトショーも含む一日4回上映に戻る。

この映画を見る前日、くしくもNHK
「その時、歴史が動いた」で、
戦火をこえた青春の白球
~学徒出陣前 最後の早慶戦~

が、放映された。 ここをクリック

映画では、明治大学の投手であったが、このNHK番組では、早慶戦を闘った、早稲田と慶応の野球選手や監督・顧問たちが主役であった。

学徒出陣を前にして、最後の「早慶戦」を実現しようと奔走する選手や周辺の人々の活動を取上げている。

NHKホームページからの一部引用
【アメリカ生まれの野球は敵性スポーツとして政府から弾圧を受ける。「野球の灯を消さない」。早稲田の顧問・飛田穂洲(すいしゅう) をはじめ関係者と選手は、必死の抵抗をつづける。
その努力もむなしく、昭和18年4月、東京六大学リーグに解散命令が出され、早慶戦も姿を消す。さらに9月には、法文科系学生の徴兵猶予解除が決定。選手たちは、学徒出陣することとなった。
そんな時、選手から声が上がる。「最後にもう一度早慶戦がしたい」。入隊を目前に控えた両チームはさまざまな壁を乗り越え“出陣学徒壮行早慶戦”を実現。この試合は、のちに“最後の早慶戦”として歴史に刻まれる。】


【早稲田顧問の飛田穂洲 (すいしゅう) の言葉
「舶来のものがいけないのなら、軍人は鎧 (よろい) を着て兜 (かぶと) をかぶり、槍 (やり) や薙刀 (なぎなた) で戦わなければならないのではないか」】

雨の中の「学徒出陣壮行会」の記録映像は、胸を突く。
この映像は、映画「出口のない海」、NHK「戦火をこえた青春の白球」でも同じように使われた。

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