オバマ大統領就任などの話題が優先して、すっかり影が薄くなっていたが、福岡県の大牟田界隈では深刻な話題である。
石炭が黒いダイヤと言われ炭鉱が羽振りを利かしていた頃から“城主”を勤めていた三井財閥であるが、三池炭鉱の閉山と伴に鉱山業から、機械製造(三井三池製作所)や非鉄金属(三井金属)など、さまざまな業種に転換しながら息をつないで来た。
その間に、三池闘争をはじめ、様々な人員削減とこれに伴う労働争議も展開された時代もあった。
三池闘争(1960年)から早くも約50年、今度はアメリカ発経済恐慌の煽りを受ける形で、三井金属が大規模人員削減を発表。
大牟田市内に拠点を置く関連企業8社・従業員2千人の内7百人を削減するという計画である。
総人員の35%、3分の1を超える削減である。
昨年来話題になってきた「派遣切り」「非正規切り」だけではなく、正社員も含む首切りが行われようとしている。
今回の業務縮小は、自動車関連部品などを手掛けていた同社グループの業態に、外需頼みの自動車産業の急速な転落の影響が直撃したことが、問題の核心のようだ。
しかし、1・2年前までは過去最高の利益を上げて来たのに、ちょっと景気が悪くなるといきなり従業員の首を切るなど、トヨタが引いた引き金は製造業の大企業を悪い意味で触発している。
(2009年1月23日/記)
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三井金属の関連8社、大牟田市で700人削減
熊本日日新聞 2009年01月23日
非鉄大手の三井金属が九月末までに従業員約四千人を削減する計画を受け、大牟田市の同社三池事務所は二十二日、同市内の関連会社八社(従業員約二千人)で約七百人の人員削減を行うことを明らかにした。
同事務所によると、半導体関連部品を生産する子会社エム・シー・エスの大牟田工場で七百九十人を百三十人に削減。ただ、削減人員二百四十人は業務の外注会社で雇用されるため、実質的な削減は四百二十人となる。
自動車部品や家電製造装置部品の製造・組立を手掛ける三井金属九州機工は、自動車部品製造部門を五月末で廃止し、従業員百七十七人を削減する。
さらに、その他六社で約百人を削減。削減数七百人のうち、六百人が非正規社員という。同事務所は「情報提供や個別相談など再就職の支援態勢を整えたい」としている。
大牟田市の古賀道雄市長は「雇用情勢の悪化を憂慮している。離職者からの相談に応じるとともに、関係機関と連携して雇用対策に取り組みたい」とコメント。
同市と経済圏を同じくする荒尾市の吉永一夫副市長も「削減される従業員の中には荒尾市民もいるだろう。市内の状況を整理して対策にあたりたい」と話した。(宮崎祥一郎)
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三井金属
亜鉛や金、銀などを扱う非鉄金属大手。
2007年3月期の連結決算は金属価格の上昇で売上高、純利益ともに過去最高を記録した。
しかしその後は、注力している半導体や電池などの材料を扱う電子材料事業が市況悪化によって減益傾向になっていた。
最近は特に薄型テレビなどの販売不振が響き、立て直しを迫られていた。
08年9月中間決算の売上高は2690億円、純利益は42億円だった。
熊本日日新聞(2009年1月20日)