和歌山カレー事件に対する最高裁判決は、高裁判決を支持し、林真須美被告に死刑の判決を下した。
確たる物証はないのに、状況証拠を積み重ねて証拠を『構築した』のである。捏造と言っても構わない。
最たるものが、カレーの鍋の横に居た。他に亜ヒ酸を入れることができる者が居ない。カレーから検出された亜ヒ酸が、林被告の自宅にあった亜ヒ酸と似ている。
というズサンな“証拠”である。
動機さへ何ら解明されていないが、動機などどうでもよいというのが最高裁の見解のようである。
「疑わしきは、被告人の利益に」の原則など葬り去られている。
こんな、状況“証拠”で死刑にされてはたまらない。
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NHKは、判決を伝える ニュース の中で、判決前に林被告に行った単独インタビューでの林被告の訴えをアナウンサーによる“代読で”短く伝えた。
11年前、和歌山市で夏祭りに参加した住民4人が死亡した毒物カレー事件で殺人などの罪に問われた林真須美被告に、最高裁判所は「無差別の大量殺人で、4人の命を奪いながら反省の態度をまったく示しておらず、責任はきわめて重い」として、死刑を言い渡しました。これにより、林被告の死刑が確定することになりました。
平成10年7月、和歌山市の夏祭りでカレーライスを食べた住民67人が猛毒のヒ素中毒になり、子どもを含む4人が死亡した毒物カレー事件では、林真須美被告(47)が殺人などの罪に問われました。
林被告は事件にはかかわっていないと無罪を主張しましたが、1審と2審は林被告が犯人だとして死刑を言い渡していました。
21日の判決で、最高裁判所第3小法廷の那須弘平裁判長は
「カレーに入れられたのと成分の特徴が同じヒ素が林被告の自宅から見つかっていることや、
林被告だけがカレーの鍋にヒ素を入れる機会があり、
ふたを開けたりする不審な動きが目撃されている
ことなどを総合すれば、林被告が犯人であることは疑いをはさむ余地がなく証明されている」と指摘しました。
さらに、被告の弁護士が「地域の人を殺害する動機がないことは犯人ではない何よりの証拠だ」と主張したことについて、
裁判長は「動機の解明がされていないことは林被告を犯人と認めることを左右するものではない」と指摘しました。
そのうえで、「無差別の大量殺人を行ったことは卑劣なうえ残忍で、何の落ち度もない4人の命を奪いながら反省の態度をまったく示しておらず、責任はきわめて重い」として、林被告の上告を退け、あらためて死刑を言い渡しました。
これにより、林被告の死刑が確定することになりました。
判決について、林真須美被告は、弁護士を通じて
「私はカレー毒物混入事件にはまったく関係していません。真犯人は別にいます。
すべての証拠がこんなにも薄弱であって、犯罪の証明がないにもかかわらず、どうして私が死刑にならなければならないのでしょうか。
裁判員制度でも私は死刑になるのでしょうか。
無実の私が、国家の誤った裁判によって命を奪われることが悔しくてなりません。1男3女の母親として、このえん罪を晴らすために、これからもこん身の努力をしていきたいと思います」
というコメントを出しました。
一方、最高検察庁の鈴木和宏刑事部長は、判決について「適正、妥当な判決である」というコメントを出しました。
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カレーの『番』を交代で行っていたのであるから、林被告が鍋の横に一定時間座っているのは当たり前の話であるし、たまに蓋を開けるのは焦げ付かないかを見るために誰でもすることであろう。
シロアリ駆除の亜ヒ酸など、シロアリ被害にあっている家庭ならば何処にでもある可能性がある。
他に入れることができる者が居ない、など噴飯物のこじ付けである。
動機が解明されていないことについては、被害者や遺族にも大いに不満が残っているようである。
結局、メディア・スクラムが造った犯人像に対して裁判所さえ影響を受けていると言わなければならない。
いわんや裁判員をや!
(一覧表は、asahi.com )による
松本サリン事件でも事実上メディアが犯人をでっち上げ、その後冤罪であることが解り、メディア・スクラムについての社内検討会が開かれ、反省記事が書かれた新聞社も幾つかあった。
しかし、その検証と反省がその後活かされる事はなく、藤里町の事件でも、相変わらずメディア・スクラムが連日続き、これに抗議する畠山被疑者の姿を『鬼の首でも取ったかのように』繰り返し繰り返し使用し、「朝ズバッ!」の、みのもんた氏を代表格として、畠山被疑者を犯人と決め付ける報道を続けた。
この映像は、最近の最高裁審理に向けても使用される異常さである。
このまま、裁判員制度が導入されれば、メディアスクラムが造り上げた“犯人”が、短時間の審理でメディアに影響された裁判官と裁判員によって冤罪で死刑を含む重刑に処せられてゆくだろう。
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和歌山毒物カレー事件
「再審で無罪勝ち取る」=弁護人と接見、動揺見せず-林真須美被告(時事通信) - goo ニュース
林被告、死刑確定へ 最高裁が上告棄却 カレー事件(朝日新聞) - goo ニュース
林被告の死刑確定へ=発生から11年、上告棄却-和歌山毒物カレー事件・最高裁(時事通信) - goo ニュース
なぜ娘は死んだのか=動機不明に「納得できない」-遺族ら傍聴・毒物カレー事件
時事通信 2009年4月21日(火)20:30
「なぜ娘は死んだのか」。和歌山市の毒物カレー事件で、一、二審の死刑判断を支持した21日の最高裁判決。家族や子供を失った遺族は「当然の結果」と評価したが、動機が分からないまま裁判が終わることに不満の声も。事件から10年9カ月。判決が確定しても心の傷が癒されることはない。
「今でも聞きたいんです。なんでああいうことをしたのか」。私立開智高1年だった長女鳥居幸さん=当時(16)=の母百合江さん(58)は事件の動機が知りたくて、一審公判から傍聴を続けた。
午後3時すぎ。最高裁小法廷で後回しにされた主文が宣告された瞬間、感極まったかのような声を上げて泣いた。
閉廷後、東京・霞が関の司法記者クラブで行われた記者会見では「この判決を聞くために頑張ってきた」と語ったが、「何で娘が死んだのか。動機が分からないままなのは納得できない」と不満もあらわに。判決をまな娘にどう伝えるのかを問われ、「報告はわたしの中ではつらいこと。長かったねと言うくらいです」と口をつぐんだ。
市立有功(いさお)小4年林大貴君=同(10)=の父雄二さん(54)は閉廷後、百合江さんの求めで力強く握手をした。「当然の結果をいただいた。再審請求などせず、判決に従ってほしい」。硬い表情で語った雄二さんは早期の刑執行を求め、「息子を一生忘れることはない」と涙を浮かべた。