憲法改正(4)
侘助 自民党の「憲法改正草案」は自民党が野党だった時期の総裁、谷垣禎一氏が中心になって作り上げられたもののようだ。
呑助 谷垣さんという人は自民党の中にあっては、ハト派というか、リベラルな感じの人ですよね。
侘助 そうだよね。良心的という感じがするね。宏池会のプリンスというイメージかな。その人が「慶安の御触書」と憲法学の泰斗、東大名誉教授の樋口陽一氏から言われるようなお粗末な憲法草案をまとめあげた。
呑助 恥ずかしい話ですね。
侘助 そうなんだ。谷垣氏は弁護士だから、「慶安の御触書」と言われてもやむを得ないなと心の中では思っているかもしれないけれど、そうじゃなく、自民党の大勢に従っただけだとうそぶいているのかもしれない。
呑助 今の自民党内あっては、良心派の人は生き残れない状況なんでしようかね。
侘助 どうなのかは、分からないが、大勢に真面目に沿って生きるだけの人なのかもしれない。大勢を見誤り、野党時代総裁として苦労したにもかかわらず、政権復帰後は総裁になることができなかった。本質は愚直で平凡な人なのかもしれないなぁー。
呑助 そこいくと安倍晋三という人は目端の利く人なんでしようかね。
侘助 馬鹿にしてはいけないと思うね。
呑助 なにしろ二度にわたって総理大臣を経験する政治家ですからね。
侘助 意図的意識的に「緊急事態」条項がすぐ必要だという認識を持っているわけではないという事なんじゃないかと思うんだ。升永弁護士さんも今の自民党政府に「緊急事態」を宣言する意図があるとは言っていない。
呑助 「緊急事態」条項は必要だと言う認識を安倍総理も谷垣幹事長も持っているということなんでしょうね。
侘助 そうなんだ。その認識というのは国民の基本的人権を大幅に制限する必要な時期があるだろうという認識なんじゃないかな。
呑助 独裁政治の必要性ですか。怖いですね。
侘助 「緊急事態」条項を憲法にない国はないと自民党議員の片山氏は参議院で安倍総理に質問していた。この質問は悪意に満ちたものなのか、無知なのか、分からないが、アメリカの憲法には「緊急事態」の条項はないようだ。イギリスの憲法にもないという話を升永弁護士さんは話していた。
呑助 ドイツやフランスの憲法にはあるが、米英にはないんですか。
侘助 そのようだよ。近代民主主義というのは独裁的な専制政治であった封建制を打倒するなかで形成されたきたものなんだ。
呑助 そうなんですか。
侘助 しかしね。会社の中には憲法はないと佐高氏が発言していた。資本主義社会にあってはこの経済の仕組み自身が独裁性というか、専制性のようなものを生み出しているんだという主張を私はマルクスの『資本論』を読んで理解した記憶があるんだ。
呑助 よく企業戦士なんて言いますね。
侘助 企業の中には民主主義はないよね。社長を従業員の投票で決め、給料は従業員の話し合いで決めるなんて言う話は聞いたことがないよね。