tppは日本の富をアメリカが奪う(2)
218号 ブログ原稿
TPPは日本の富をアメリカに売り渡す。(2)
侘助 国の財政を支えるのが税金だよね。この税金にはお金儲けになじまない業種を行う役割と同時に国民の所得を再分配する役割もあるんだ。
呑助 国民みんなが働いて共同の社会を作っているのだから、たくさんお金を儲けた人は税金をたくさん出すということなの。
侘助 昔、大蔵省主税局の役人が話していた。女性の人気作家と対談した時、税金が高すぎると文句を言われた。だから言い返した。あなたほど税金の恩恵を受けている人はいない。まだまだあなたの税金は安すぎるとね。
呑助 どうしてなんですか。
侘助 だって、そうでしよう。その女性作家の小説が売れるということは文字を読める国民がいるからこそなんじゃないかと。文字が読める国民をつくっているのは教育でしよう。国民教育の恩恵を受けているのがあなた、人気作家なんじゃないですか。税金の恩恵を受けている人気作家が少しばかり高い税金を払ったって当然のことでしようと、主税局の役人は言っていた。
呑助 なるほどね。言われてみると国民は皆、助け合って生きているという事ですか。
侘助 そうなんじゃないかな。けれどもね、1980代頃から、小さな政府ということを言うようになったんだ。
呑助 小さな政府とは何なんです。
侘助 近代国家が誕生した頃、国は経済活動に口出ししない方がいいということなんだ。夜警国家とも言うんだけれどね、社会の治安維持と国防さえ担ってくれればいいよと、いう主張なんだ。経済活動は自由に放任してもらいたいということかな。
呑助 経済活動を自由に行った方が確かに活性化するように思いますね。
侘助 資本主義社会が発展してくると、国の仕事が少しづつ増え始めたんだ。例えば教育期間も最初は小学校だけだったのが中学校になり、高校への進学率上昇し、大学への進学者が増大している。医療も増大している。更に老人の介護や年金などの福祉が増えている。
呑助 もともと税金とはそのようなものを充実するためのものなんでしよう。
侘助 そうなんだ。だけれども、例えば市営住宅とか、県営住宅というものがあるでしよう。一方には民間アパートとか、賃貸マンションのようなものがあるでしよう。住いというものは税金が保障するものなのか、どうか、難しい問題でしよう。曖昧だからこそ、公営住宅と民間賃貸住宅が共存している。
呑助 公営か、民営か、いろんな業種に広がっているように思うな。道路だって有料道路がありますからね。
侘助 そうなんだ。教育だって、私立学校が大きな社会的役割を果たしているからね。
呑助 税金がカバーする範囲を小さくしていこうというのが小さな政府ですか。
侘助 そうなんだ。健康保険も税金でカバーする範囲を狭くして、私費で治療する範囲を拡大してもいいじゃないかというのがtppの主張だ。
呑助 でも困るなぁー。健康保険で診てもらえる病気が少なくなると言うのは困りますよ。
侘助 そうでしよ。だから民間の健康保険に加入しましょうという訳なんだ。
呑助 私の友だちが前立腺癌になったんですよ。たまたまアメリカのガン保険に入っていたから、助かったって言っていましたよ。
侘助 アメリカの保険会社が自由自在に日本の保険業界に入ってきてもいいよと、いうのがtppのようだ。
呑助 小さな政府論の延長上にtppがあるんですね。
侘助 アメリカ企業の自由放任を認めるのがtppなんじゃないかな。
呑助 自由というのは強者にはいいですね。
侘助 規制緩和というのは自由放任を認めるということだよね。これは強者に都合がよく、弱者は食いつぶされる。