福島県で小児甲状腺癌が多発している
侘助 福島県に甲状腺癌を発症している子供たちが急増しているらしいね。
呑助 本当ですか。
侘助 本当らしいよ。新聞やテレビであまり報道されていないからね。
呑助 そうですね。新聞もテレビもよくは見ませんけれどね。あまり聞きませんね。
侘助 スクリーニング効果だと言うのを聞いたことがあるよ。
呑助 スクリーニング効果とは、何ですか。
侘助 福島県内ではすべての子供たちに集団検診をしているから甲状腺癌の子供が見つかったに過ぎない。福島県に甲状腺癌の子供が他県よりも多くても、それが原発事故の影響だということは疫学的には言えないと主張している自民党の議員がいたな。
呑助 集団検診の結果だということをスクリーニング効果と言うんですか。
侘助 どうして新聞やテレビ、政治家、知識人たちはカタカナ語を頻繁に使うのかね。日本語が使えない訳でもないのにね。
呑助 本当ですよ。疫学的に証明されていないということはどういうことなんですか。
侘助 医学という言葉は「基礎医学」とか「インド医学」、「社会医学」というように大きな概念なんだけれども、医学の中に「疫学」という分野があるんだ。それは人間の身体を観察し、調べ、そこに法則性のような関係の総体を学ぶ学問を疫学というようなんだ。原発事故の結果、放出された放射線を浴びたために子供たちに甲状腺癌が発症したメカニズムが解明されていない以上、福島原発事故の影響だという事は言えない。
呑助 水俣病でもそんなことがありましたね。
侘助 有機水銀が魚に溜まり、その魚肉を食べた人間に有機水銀中毒が起きるメカニズムが解明されるのに時間がかかったね。
呑助 そういえば、水俣チッソの会社は疫学的に解明されていないと漁民たちに償いを拒否していましたね。
侘助 歴史は繰り返すのかな。チェルノブイリ原発事故の影響で甲状腺癌が事故後四・五年後に多発していることが解っている。それでも福島県や日本政府は福島県に発症している小児甲状腺癌について、原発事故の影響だということは認めていないようだ。
呑助 何人ぐらいの子供に甲状腺癌が見つかっているんですか。
侘助 100人以上の子供たちに甲状腺癌が発症しているようだよ。
呑助 100人以上というのは多いんですか。
侘助 凄く多いということらしい。2013年11月12日、福島県の「県民健康管理調査」検討委員会が開かれ、小児甲状腺ガンの検査結果を発表した。甲状腺癌と診断が「確定」した子どもは、前回8月の18人から7人も増え25人になった。また、「がんの疑い」は33人(前回は25人)に増加し、合計で58人に増加したと発表している。
呑助 それは二年ちょっと前のことですね。
侘助 そうなんだ。2015年5月18日に発表された最新の福島県民調査報告書によると、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子供達は、3か月前…前回の117人から9人増えて合計126人になっているようだ。
呑助 倍増していますね。
侘助 岡山大学大学院教授の津田敏秀氏は2015年、10月6日付の国際環境疫学会の医学専門誌「エピデミオロジー(疫学)」に福島県が福島原発事故当時に18歳以下だった県民を対象に実施している健康調査の結果を分析したところ、甲状腺癌の発生率がナント! 国内平均の「50~20倍」に達していると述べている。
呑助 子供にそんなに甲状腺癌が発生しているんですか。
侘助 そうらしい。本当に恐ろしいことだと思うよね。真実を知るということは怖いとでもあるよね。早急に対策を取れということが津田氏の主張のようだ。