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「九十歳。何がめでたい」「晩鐘」/佐藤愛子          田添明美

2018年08月17日 07時56分06秒 | 「いたずら」田添明美

佐藤愛子に出会ったのは、10代後半か20代初めで「愛子」だった。
結婚後、遠い狭い道幅で交通量の多い危険な道を自転車で2週間に一度、図書館に通い。
佐藤愛子は、読んでいた。
最後に読んだのは、「これでおしまい」
私より以前から読者であった義母は、その題に
(明美ちゃん、もう、書かないのかしら?)と聞いた。
(彼女は、さっぱりした性分だから、書かないと書いたらもう、書かないでしょう)と私は断言した。
(そう)義母は、言った。

それから数年後、私は、「これでおしまい」と書きながら、彼女は書き続け、しかも賞迄取っている事を知った。
(お義母さん、すみません!彼女は、書いていました)と謝りたかったが、義母はその頃、佐藤愛子等記憶していなかった。

5年前位から、足の調子が悪くなり、図書館通いも止めた。
1〜2年前、ゴロウ・デラックスに彼女が登場し、録画を保護したが、機械が壊れ、保護は消去された。

今年、7月にツイッター・8月にフェイスブックに参加し、彼女を検索した結果、著書も見つけた。
「晩鐘」は文庫だったので、お得だろうとついでに買ったら、それが、88歳で書いて受賞した作品だった。。

エッセイも小説にも現れないのが、彼女の妙な色気と女性らしさである。
あの色香は、どこから来るのだろう?

以下、「九十歳。何がめでたい」より


私は犬を飼いたいと思っていない。飼いたくないのに(どこの何者ともわからぬ勝手者のために)
飼わなければならなくなっていることの理不盡な事態に、ハラワタが煮えくり返る思いだった。
しかし人恋しさに足もとにすり寄っているこの小さき者を、北狐の出没する荒野に放棄することは出来ない。
チクショウ!
と私は憤怒しつつ、「飼うしかない!」と決心したのだった。



 


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