耳が遠い
かたがわの耳まで二十歩
もうかたがわの耳まで百三十五歩
帆をはらみ
耳が とうとうとゆれている
とぅとぅ、と
耳が遠いので
うっかりする
と
うとうとしてくる
とうとうと耳鳴り(か
空耳(か
ぱたぱた
くるひ
さりひ
てるひくもりびゆきよきひ
その
まの
はばの
埋めきれぬ
かぎりなく ひ連なる、息づく、ふゞく、
せつなさの
その
まの
幅に
おす鶴のひとこえ
〈こぅ!
しろい息 ほっ
めす鶴のふたこえ
〈こぅ こぅ !
しろい息 ほっほっ
息がかそけく燃えている
鶴の頭がひとこえ、を叫ぶ
その
こえに群のすべてが飛び立つ
一斉に、
経つ
通り抜けないものに向かい、
通り抜けそうに
通り抜けていくのだ と
生きづく
鶴の
息が燃えている
鶴たちの火勢が清冽に穹を焦がす
こがれるように舞っていくのだ
遠い、
耳から耳へ 流れる、
おと
息のつらなり
ほっ ほっ)ほっ)ほっ)
通り抜けたろう
〈渡る
渡り
ふゞく
とわ
るび/永久
のつらなり、
H15.3.13
付記
「夏草」を投稿したら、
村上昭夫の「ねずみ」を思い出し、
調べたら、彼の作品は5作書き留めてあり。
読んでいたら、そのうちの「鶴」に触発され、詩を書いたのを
思い出しました。これは、入選作です。
この作品を最後に、2年間のワープロ通信・詩のフォーラムを辞し。
(ここには強力な書き手がおり、奥主栄・newR・マサミ・大村浩一・
川村透・北村守道・四方亮輔・高津奈江・野本京子・田代深子・阿ト理恵・
鵜飼千代子・大内美子さん等が、揃い、互いに書き合いました)
あらゆる詩誌に属さず、たった一人で。
2年前迄、井坂洋子さんに向け、月1度投稿しました。
伊坂さんは、どんどん落とし、どんどん選って下さいました。
お陰で、今の私があります。
そして、今、ブログとFBの方々に読んで頂き、幸せを
かみしめています。
付記・付記(訂正)
フォーラムを辞し、一人で書いていたら。
大村さんが(田添さん、フォーラムが潰れそうだから
書きに来て欲しい)と言って来て、了承し。
それから、潰れる迄、連日、書きました。
最後は、私含め3人位でした。
その時、これを書いたのです。
今までありがとう、
私は、これで、去るけれど
これからも、お互い書こうね
私からのあの時の、彼らへのメッセージでした。
井坂洋子さん・追記
井坂さんのボーダーラインは、的確だったと思う。
私は皆に苦言を呈した、井坂さんの言葉が好きだった。
(今月は、低調でした)
私は、くだらない詩の投稿の続投をした。
(これは、どうじゃっ)と出すと、
彼女はあの、作風で。
「受けて、たちます」と、殆どを佳作で入れ
(それでは、こういうのは?)と出すと、
入選にしたりした。
私は、工藤直子が好きらしい、私と同年齢の彼女を
笑わせたかった。
彼女は、常に「受けて、たちます」と迎えて下さった。
彼女でなかったら、私のくだらなさは、残らなかった
と思う。数々の選者の方々に、感謝するが。
井坂洋子さんには、別格1番に、感謝しています。
低調な文で、申し訳ありません。