けだるい午后、
耳を傾けている ビクター犬
ねむそうな顔で
首をかしげ、
口を開いた
蓄音機は 止まるまで
回っている
音楽が雑音 になったのは
いつからでしょう
ビクター犬は、耳を傾ける
音楽が 止んでも
誰かゞ 蓄音機の針を また
元に戻してくれる
ビクター犬は
座ったまゝ 身を乗りだす、
ねむそうな目で
歩道を見ている
だれが、ぼくを、つくったのだろう
ふわっ と
ビクター犬は 蓄音機に
鼻を触れる
蓄音機は のぞきこんでも
蓄音機だ
あ ねむいな
けれど、
蓄音機は 好きだ
と 呟き
ビクター犬は 仲間とともに、
みな一様に、
えいえんに、
西日さし明るむ 歩道を向き
座っている、
R3.6.16