◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/11月28日

2024-11-28 01:00:00 | Weblog
今日の秀句/11月28日(1句)

★京都への旅の支度や芭蕉の忌/廣田洋一
芭蕉忌は旧暦なら、今年は新暦の11月12日にあたる。京都はとくに、時雨の降る情趣ある季節。京都への旅は、聖地のようになっている嵯峨野の落柿舎を訪ねる予定も入っているだろう。芭蕉を偲びながら、芭蕉への敬意や、俳句への思いを新たにされたのだろう。(髙橋正子)

11月28日(5名)
廣田洋一
京都への旅の支度や芭蕉の忌★★★★
時雨忌や虚子生誕150年★★★
奥の細道そっと閉じたり芭蕉の忌★★★

多田有花
冬の夜に寄り添い城を見上げる人★★★
光の輪彼方にありぬ冬の城★★★
冬夜空真白き城の浮かびおり★★★

桑本栄太郎
枯葉舞いつむじ風巻く狭庭かな★★★
遠峰の鉄塔ニ三基冬の空★★★
木枯やビルの切り取る青き空★★★

小口泰與
眼間の稜線長き冬の山★★★
眦に冬翡翠の居りにけり★★★
魚を捕る冬翡翠をまのあたり★★★

弓削和人
茶の染みの忙しかりし古日記
「茶の染み」が「忙し」は主観的な表現で、わかりにくいです。(髙橋正子)

土沈み家庭菜園冬眠中
「冬眠」は、動物に対して用いられますが、菜園に用いたのは、新しい発見とも言えますが、子どもっぽい発想と思います。いろいろ表現を試みるのは良いと思いますが、観察はじっくりと。(髙橋正子)

陽をとらえ舞い散りひらり枯尾花 ★★★

今日の俳句
★枯蔦となり一本を捕縛せり/三橋鷹女(みつはしたかじょ)
一本の幹にからまっている蔦。緑に茂っているときは、「捕縛」の意識よりも緑の濃さに目がいく。枯蔦となると、紅葉した葉や枯れ萎んだ葉がところどころに残るものの、樹にからまっている具合が目に入る。拠っていながらも、その樹を捕縛している。蔦の強靭さを見て取った。人間関係もこういったことがありそうなので、面白い。(髙橋正子ー『現代俳句一日一句鑑賞』より)
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自由な投句箱/11月27日

2024-11-27 01:00:00 | Weblog
今日の秀句/11月27日(2句)

★みちのくに風花ちらと帰り継ぐ/弓削和人
「帰り継ぐ」は、同じ場所に何度も帰ることを意味するので、この度帰るみちのくには、風花がちらと舞っている。寒さに戸惑いながらも風花にみちのくの冬の初めを感じている。美しい句。(髙橋正子)

★山茶花の咲き始めたる日和かな/廣田洋一
日和の良さも、山茶花の咲きはじめの花の初々しさも、どちらも晴れやかに詠まれている。(髙橋正子)

11月27日(5名)
小口泰與
指先に痛さひろごる寒さかな★★★
沼風に重なり揺れる枯薄★★★
動かざる枯葉に朝日山の沼★★★

多田有花
一斉に雀飛び立つ枯葎★★★
冬の夜に光の木々の立ち並ぶ★★★
師走近し紅白の光の並木★★★

桑本栄太郎
ひと風に彩なし冬の紅葉散る★★★
赤と黄の落葉の土手や唐かえで★★★
交差点尾灯つらなり冬ざるる★★★

廣田洋一
山茶花の咲き始めたる日和かな★★★★
山茶花散る由緒の寺の墓原に★★★
山茶花の白くっきりと四ツ目垣★★★

弓削和人
いにしえの戦は枯野の城址かな★★★
涸渓や橋欄干に見下ろしつ★★★
みちのくの風花ちらと帰り継ぐ (原句)
「帰り継ぐ」は、何度も帰る意味なので、「みちのくの風花」より、「みちのくに」がよいのでなないでしょう。俳句では、「の」は便利に使われていますが、
よく吟味して使ってください。(髙橋正子)

みちのくに風花ちらと帰り継ぐ(正子添削)

今日の俳句
★冬天やポケットの中の両こぶし/大石和堂(おおいしわどう)🌸
 高い冬天に対して、ポケットの中で握りしめる己の両こぶしの確実さ、寒さを身に引き寄せて、確かに受け止める。(髙橋正子ー『現代俳句一日一句鑑賞』より)

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自由な投句箱/11月26日

2024-11-26 01:00:00 | Weblog
今日の秀句/11月26日(1句)

★着ぶくれて信号待ちのベビーカー/弓削和人
信号待ちで居合わせたベビーカー。ベビーカーの赤ん坊は、しっかりと着せられて着ぶくれている。親子のほのぼのとした愛情を感じる微笑ましい場面である。(髙橋正子)

11月26日(5名)
小口泰與
眦に冬翡翠の居りにける★★★
まなぶたを閉じ雪の浅間を眼間に★★★
上州の風のまにまに冬帽子★★★

多田有花
戦闘機西へ飛ぶなり冬の雨★★★
午後の陽の翳りやすさよ石蕗の花★★★★
短日の日差しいっそう眩しかり★★★

廣田洋一
満天星冬紅葉燃え立つ道の端★★★
大山の豆腐頂く冬紅葉★★★★
低き空どんよりとして冬めける★★★

桑本栄太郎
三島忌のあたり色葉や金閣寺★★★
天辺の早やも裸や銀杏黄葉★★★
谷あいの赤く色為し山ねむる★★★

弓削和人
着ぶくれて信号待ちのベビーカー★★★★
咳ひとつマスクをかける親子かな★★★
椅子を重ね空いたところの冬日かな ★★★

今日の俳句
★白き息はきつゝこちら振り返る/中村草田男(なかむらくさたお)
 誰かを見送りに出た時の情景とも考えられる。見送られる人は、いくぶん遠くまで去って行って、ふと後ろを振り返ったが、振り返りざまに、その人の吐く息が真っ白く見えた。白い息に人間の温もりがあり、その人とのつながりに別れがたいような気持ちさえ湧いている。暖房の行き届かなかった時代、白息に冬の厳しさと人間の温もりが感じられる。(髙橋正子ーー『現代俳句一日一句鑑賞』より)
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自由な投句箱/11月25日

2024-11-24 01:00:00 | Weblog
今日の秀句/11月25日(3句)

★冬霧のまつわる松の青青と/小口泰與
冬霧がまつわるというのであるから、青々とした松葉の間にも冬霧がこまやかに入り込んでいるのだろう。冬霧のなかの松の青々と、また堂々とした姿が目に浮かぶ。(髙橋正子)

★道の辺に残るは冬菊ばかりなり/多田有花
「菊」と言っても栽培の菊ではない。野菊などの冬菊であろう。ほかの花は枯れても、咲き残る冬菊の姿には、健気にも、毅然とした雰囲気が感じ取れる。女性の一面に通じるように思われる。(髙橋正子)

★冬ざれの野を抜け駅舎一新す/弓削和人
冬ざれの野を抜けて来て、人の住む町の駅舎がそれまでの景色と打って変わって目に映る。実際に新しくなった場合も、ただ目に新しく映った場合も考えられるが、「一新す」が重要なのだ。(髙橋正子)

11月25日(4名)

小口泰與
冬霧のまつわる松の青青と★★★★
黒雲の間遠に居るや日向ぼこ★★★
眼間に日の落ちにけり冬浅間★★★

多田有花
烏瓜冬木に残り吹かれおり★★★
道の辺に残るは冬菊ばかりなり★★★★
孤高なり風に耐えたる木守柿★★★

弓削和人
裸木は陽光を一身に浴びにけり★★★
冬ざれの野を抜け駅舎一新す★★★★
熊出るぞ日つまる道の鈴の音★★★★

桑本栄太郎
又ひらり銀杏落葉の散りにけり★★★
綿虫の想い出おもいふわふわり★★★
陽にあたり爪を切りいる小春かな★★★
 
今日の俳句
★ラガーらの影より抜けてジャンプする/守屋光雅(もりやみつまさ)🌸
 ラグビーは冬のスポーツ。選手らの体躯の猛々しさ、大地を鳴らしてボールを追う切迫のシーンを目の当たりにするスポーツだ。この句は、冬の日が濃く射すグランドの影の濃い塊からボールを追ってすっとジャンプする瞬間をとらえて、躍動感にあふれる。ラグビーという激しいスポーツのナイス・ショットである。(髙橋正子ーー『現代俳句一日一句鑑賞』より)

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自由な投句箱/11月21日~24日

2024-11-22 09:44:11 | Weblog
※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 

         🍂 🍂 🍂 🍂 🍂 🍂 🍂 🍂
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
  名前の右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
11月24日
★われを包む冬の大気のどこまでも  脇坂 公司(わきさか こうじ)🌸
11月23日
★行く馬の背の冬日差運ばるゝ    中村 草田男(なかむら くさたお)
11月22日
★峠見ゆ十一月のむなしさに     細見 綾子(ほそみ あやこ)
11月21日
★バスこみあう中猟銃の長き直線   川本 臥風(かわもと がふう)🍁



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今日の秀句/11月21日~11月24日

2024-11-22 09:38:38 | Weblog
11月24日(1句)

★初雪や山間部落平らかに/小口泰與
山間の部落のどこにも初雪が降って、しずかに、平らかな印象になっている。
作者の心のなかにも山間のしずかな部落が広がっている。(髙橋正子)

11月23日(4句)

★帆をたたみ湘南の海冬めける/廣田洋一
湘南の海と言えばヨットやサーフィン、海水浴で賑わう光景を想像する。今、ヨットは帆をたたみ、海からはヨットの帆や波の白い煌めきが消え、冬めいている。(髙橋正子)

★馬棚つづく空や浅間に冬来たる/小口泰與
放牧の牛馬は平地に下りたのであろう。馬棚が空へと続く様に伸びている。浅間に冬が来たことを思う。(髙橋正子)

★しぐれ去りわずかな虹を残しゆく/多田有花
冷たいしぐれが去り、うれしいことに「わずかな虹」を残してくれた。(髙橋正子)

★小春日や貨物列車のどこまでも/桑本栄太郎
貨物列車が走るのを見た人は誰でも思うだろう。いったいどこまで続くのだろうと。麗らかな小春日に長い貨物列車が通り過ぎるのを見ると、小春日和の彼方へ連れていかれる気持ちになる。(髙橋正子)

11月22日(1句)

★コンテナに冬陽が当たる貨物駅/多田有花
貨物駅にコンテナが並んでいる様子は壮観なのではと思う。冬陽が当たると、コンテナにがっしりと見え、存在感が増す。(髙橋正子)

11月21日(1句)

★知らぬ間に冬木となりぬ桜かな/桑本栄太郎
桜は花の時が最も注目されるが、花が終わり赤い蕊を降らすともう葉桜のきせつになる。夏日蔭を作ってくれたと思うと、紅葉がはじまり、冷たい風と共に葉を散らす。気づくと葉がすっかり落ちて冬木となっている。月日の過ぎ去る速さに気づくときでもある。(髙橋正子)
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11月21日~11月24日

2024-11-22 09:34:30 | Weblog
11月24日(3名)

多田有花
ぶらりゆけば石蕗の花咲く旧家かな★★★
柿剥かれ冬陽の中に吊るされる★★★
冬菊を倒れぬように束ねおり★★★

小口泰與
浅間へと日の沈みけり寒牡丹★★★
妻の帰り待ちわぶ犬や霙空★★★
初雪や山間部落平らかに★★★★

桑本栄太郎
南座の大屋根とがり時雨れけり★★★
しぐるるや山の端青く晴れ来たる★★★
石垣の蔦の緋色や冬もみじ★★★

11月23日(5名)

廣田洋一
帆をたたみ湘南の海冬めける★★★★
街路樹の枝の先々冬芽立つ★★★
万両のたわわに実りめでたけれ★★★

小口泰與
動かざる枯葉に朝日沼真中★★★
水仙のラッパの調べ風の中★★★

馬棚つづく空や浅間の冬景色(原句)
馬棚つづく空や浅間に冬来たる(正子添削)
「冬景色」をご自分の思ったこと、見たこと、感じたこと、聞こえたこと、などでいうのが俳句なので、「冬景色」と言い捨てたところが惜しいですね。
添削の句は、浅間に冬が来たことを実感している句です。(髙橋正子)

多田有花
遠山は陽の中にあり時雨雲★★★★
しぐれ去りわずかな虹を残しゆく★★★★
丁寧に冬菜囲われ畑にあり★★★

桑本栄太郎
ふと気づき真夜の目覚めや虎落笛★★★
小春日や貨物列車のどこまでも★★★★
あやとりの遊びきりなく一葉忌★★★

弓削和人
小春日の記念撮影湖澄めり★★★
冬晴れて湖の藍濃し魚いずこ★★★★
短日の観光バスの湖周かな ★★★

11月22日(3名)

小口泰與
目の前を過行く汽車や雪浅間★★★★
暖かき十一月の有難き★★★
隼の獲物目掛けてまっしぐら★★★

多田有花
コンテナに冬陽が当たる貨物駅★★★★
真っ先に冬の朝日が当たる家★★★
冬晴れにぱりっとシーツ洗い上げ★★★

桑本栄太郎
知らぬ間に誰か採りたる花梨の実★★★
小春日や煙りたなびく里の田に★★★
手のひらに綿虫ふわり乗せ見たる★★★

11月21日(5名)

廣田洋一
雲水の駅頭に立つ一茶の忌★★★
一茶忌や難民保護の募金会★★★
綿虫のひとかたまりに飛び来たる★★★

多田有花
冬の海光る彼方に友ヶ島★★★
街を出て電車冬紅葉の中へ★★★
さっきまで時雨があったらしき街★★★

小口泰與
目の前を飛び去る鷹のまぎれ無し(原句)
目の前を飛び去るは鷹まぎれ無し(正子添削)
雪浅間空の青さの勝りける★★★
あけぼのの浅間の雪のまさやけし★★★

桑本栄太郎
知らぬ間に冬木となりぬ桜かな★★★★
かわたれの闇に綿虫浮かびけり★★★
ひら仮名の歌碑に酔い痴れ八一の忌★★★

弓削和人
雪囲をととのえる人ちらほらと★★★
鉛筆の文字薄かりし神の留守★★★
膝毛布朝明け待ちて筆握り★★★
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自由な投句箱/11月11日~11月20日

2024-11-11 19:49:01 | Weblog
※当季雑詠3句(秋の句・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 

         🍂 🍂 🍂 🍂 🍂 🍂 🍂 🍂
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
  名前の右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

11月20日
★足袋裏を向けおうて炬燵の親子かな   臼田 亞浪(うすだ あろう)🍁
11月19日
★蔦枯れて一身かんじがらみなり     三橋 鷹女(みつはし たかじょ)
11月18日
★大き落葉すこしづつ地を吹かれ進む   川本 臥風(かわもと がふう)🍁
11月17日
★ゆらぎつつ澄みつつ冬の泉湧く     吉田  晃(よしだ あきら)🌸
11月16日
★自転車の籠に立ちたる葱の白      碇   英一(いかり えいいち)🌸
11月15日
★干し柿を移す朝日の来る方へ      古田 けいじ(ふるた けいじ)🌸
11月14日
★妻病みて籠の大根の重かりし      前田 たかし(まえだ たかし)🌸
11月13日
★冬晴れを愛す厠の窓からも       谷野 予志(たにの よし)
11月12日
★月白やふわりと跳べるトウシューズ   石井 秀子(いしい ひでこ)🌸
11月11日
  亞浪先生逝去
★この冬空の下どこにも先生亡し     川本 臥風(かわもと がふう)🍁
コメント (39)
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今日の秀句/11月11日~11月20日

2024-11-11 19:47:42 | Weblog
11月20日(1句)
黄をかざし日蔭なればや石蕗の花/桑本栄太郎
「日蔭なればや」は、「日蔭であるからこそ」の意味。石蕗の花の黄色は枯れの進む冬景色のなかで特に目を引く黄色であるが、日蔭では特に石蕗の花の風情がいい、と言うのだ。(髙橋正子)

11月19日(1句)

★夜明前寒気放てる星一つ/廣田洋一
冬の夜明け前の美しさの極みが「寒気放てる星一つ」で表現されている。遠い星を見て「寒気放てる」の実感が伝わる。(髙橋正子)

11月18日(1句)

★初冬の松どっしりと龍野城/多田有花
松は一年中色を変えないように思えるが、やはり、季節ごとの趣は違っている。初冬の松、寒さに向けて気構えが感じられる。色も緑を少し失い、古風な感じが、龍野城を趣ある城に仕立てている。(髙橋正子)

11月17日(1句)

活発な冬翡翠や湖眠る/小口泰與(原句)
泰與さんはアマチュア写真家としてご活躍ですが、俳句と写真は似ているようでん、違うところがあります。原句は、光景が静止していて、翡翠の動きが感じられません。冬も活発な翡翠を表現するには、添削のようにするとよいと思います。
湖眠る冬翡翠の活発に/小口泰與(正子添削)

11月16日(4名)

★駅出でて時雨に濡れし上野かな/廣田洋一
時雨が降る時分の上野駅の風情がよく出ている。昭和的な雰囲気がまだ残る上野である。(髙橋正子)

★冬虹の程なく消える山の池/小口泰與
山の池の上の生まれた冬の虹は、「程なく」消えた。虹は儚いというけれど名残りを惜しむように「程なく」消えたのである。ここに作者の心情が読み取れる。(髙橋正子)

11月15日(1句)

★鳰のいて葦のまにまにに顔さらす/小口泰與
鳰は水に潜っては、潜ったところから離れて浮き出る。潜水の名手と言っていい。脚が体の後ろの方についていて、櫂の役目を果たすという。葦の間に間に浮いて顔をさらしているところは画になるのだろう。(髙橋正子)

11月14日(2句)

★冬紅葉映せる川面平らかに/廣田洋一
冬紅葉が色を極めるころ、静寂な時間が訪れる。川面は平らかに、冬紅葉を映して、時を止めているかのようである。(髙橋正子)

★白き実を鴉ついばむ冬初め/桑本栄太郎
「白き実」で思い出すのは、ナンキンハゼの実だが、そうなのか、どうか。「白い実」の白と「鴉」の黒の印象が、「冬初め」の気候に印象に合っている。(髙橋正子)

11月13日(1句)

★オカリナのようには鳴らずひょんの笛/桑本栄太郎
「ひょんの笛」をご存じだろうか。句会仲間に旧家の人がいて、庭の木のひょんの笛をもってきて見せてくれた。
イスノキの葉っぱにある種のアブラムシが卵を産み付け、葉が丸く固く木のように変形し、その中に幼虫が育ち、抜け出たあとに穴があく。これが木の上で風に吹かれると「ひょう」と言う音を出す。

穴に息を入れ吹くと笛のような音がでるので、江戸時代から子供のおもちゃになったようだ。オカリナに似た音だが、オカリナを吹くようにはいかない。音は面白くも淋しくもある。(髙橋正子)

11月12日(1句)

★故郷の土間に置かれし茎の桶/廣田洋一
「茎の桶」は、茎漬をする桶のことで、茎漬は、大根や蕪の葉や茎に塩を振り重石をのせて数日すると発酵した少し酸味のある漬物のこと。冬の間の食事には欠かせない、楽しみな漬物である。それが故郷の土間に置かれている。故郷の冬の生活を懐かしんだのであろう。(髙橋正子)

11月11日(1句)

★冬の薔薇庭の手入れの鋏音/多田有花
「薔薇」と「鋏音」の取り合わせに快感がある。鋏音からは冷たい鉄の出す小さい音、薔薇からは寒さに耐えながら、美しさを保とうとする姿がイメージできる。(髙橋正子)

コメント (12)
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11月11日~11月20日

2024-11-11 19:44:46 | Weblog
11月20日(4名)

小口泰與
寒波来ぬ上州見事晴渡り★★★★
目陰して浅間の雪を確かめし★★★
我が声の岩を射落とし神渡し★★★

多田有花
初冬の玄関に白筋アマリリス★★★
実南天色を深める街角に★★★
冬浅し醤油饅頭売る老舗★★★

桑本栄太郎
朝の日に綿虫浮かぶ散歩かな★★★
カリカリと種の干乾び末枯るる★★★
黄をかざし日蔭なればや石蕗の花★★★★ 

弓削和人
窓硝子せんべい汁の湯気の粒★★★★
初雪を獣の足あと知らせけり★★★★
湖の浪打つ巌白き鳥★★★
 
11月19日(4名)

小口泰與
冬翡翠の煩悩此処に在りしかな★★★
曲がごとのうつつに覚めし隙間風★★★
目陰して冬の浅間を確かめし★★★

廣田洋一
夜明前寒気放てる星一つ★★★★
緑濃きセーターを着て外出す★★★
マフラーを二重に巻きて顎埋まる★★★

多田有花
しぐれおる龍野に醤油ソフト食ぶ★★★
時雨あがる醤油蔵の煉瓦煙突★★★★
冬菊に小さき蕾数多あり★★★

桑本栄太郎
木枯や水色空のせまり来る★★★★
鼻ふさぎ横向きにゆく冬一番★★★
終活の頃となりたる落葉散る★★★

11月18日(3名)

小口泰與
仲間らに寒波来ること仄めかす★★★
水中よりすいっと抜ける冬翡翠★★★
ほろほろと枯葉舞い落つ池の朝★★★

多田有花
冬霧を眼下に見るか朝霞城★★★
初冬の松どっしりと龍野城★★★★
発酵ランチ食べに入れば初しぐれ★★★

桑本栄太郎
木枯やしがみつきたるフレディ君★★★
日を透きて火炎と想う冬もみじ★★★
散り積もる葉を吹き飛ばす冬一番★★★

11月17日(4名)
小口泰與
活発な冬翡翠や湖眠る(原句)
泰與さんはアマチュア写真家としてご活躍ですが、俳句と写真は似ているようでん、違うところがあります。原句は、光景が静止していて、翡翠の動きが感じられません。冬も活発な翡翠を表現するには、添削のようにするとよいと思います。
湖眠る冬翡翠の活発に(正子添削)

冬ばらの燃え立つ赤の焔かな★★★
沼廻る冬翡翠の羽音かな★★★

多田有花
冬紅葉見あげ龍野神社へと★★★
冬浅き紅葉始まる聚遠亭★★★
ちらほらと御涼所の冬紅葉★★★

廣田洋一
一茶忌や難民保護の募金箱★★★
綿虫や払いてもまた目の前に★★★
山茶花や大きな墓のひとところ★★★

桑本栄太郎
 <京都四条大橋界隈>
背ナに京車夫の街ゆく冬うらら★★★
せせらぎの落葉散り敷く高瀬川(原句)
せせらぎに落葉散り敷く高瀬川(正子添削)
外つ人のベビーカー押し冬の京

11月16日(4名)
廣田洋一
日当たり良き庭につつじの帰り花★★★
駅出でて時雨に濡れし上野かな★★★★
大綿のひとかたまりに飛び来たる★★★

小口泰與
冬虹の程なく消える山の池★★★★
行くほどにすそ野の長し冬赤城★★★
目の前の長きすそ野や小春空★★★

桑本栄太郎
朝しぐれ峰の彼方の日差しけり★★★
嶺の端を超えて里へとしぐれ雲★★★
冷えまさる曇り空なる村しぐれ★★★

多田有花
冬はじめ銀杏色づく大阪に★★★
くっきりと入日が照らす冬紅葉★★★★
柿の実の枝に残れる十一月★★★
「柿の実の枝に残れる」は季語「十一月」を説明した形になっています。これは季語の使い方として避けるのが良いと思います。(髙橋正子)

11月15日(4名)

多田有花
塩を振り南瓜の種を炒る初冬★★★
診察を終えれば夕暮れ日短か★★★
帰路につく冬の紅葉仰ぎつつ★★★

小口泰與
銀鱗を光らす沼や冬木立★★★
空風に慣れるも仕事嫁ぎ人★★★
鳰のいて葦のまにまにに顔さらす★★★★

桑本栄太郎
三階の眼前はかつら黄葉かな★★★
くもりても更に明るき銀杏黄葉★★★
北山のくもり来たるや一ト時雨★★★

廣田洋一
新堂の赤銅光る十一月★★★
その奥に楸邨の墓帰り花★★★
寒禽の鳴き移りたる法の庭★★★

11月14日(4名)

廣田洋一
冬紅葉映せる川面平らかに★★★★
産土の社に一樹冬紅葉★★★
松の色変わらず冴えて十一月★★★

小口泰與
大鷹や葦に逃げ込む鳥一羽★★★
初冬の水面賑わす水輪かな★★★
山の沼冬翡翠の水輪かな★★★

多田有花
もぎたての蜜柑に残る陽の温み★★★
滑り台何度も滑り冬ぬくし★★★
白菜を刻み味噌汁に入れる★★★

桑本栄太郎
白き実を鴉ついばむ冬初め★★★★
冬蝶の躊躇い舞いぬ日向かな★★★
ゑのころの枯れて群れ居り街の墓地★★★

11月13日(4名)

小口泰與
寒暁の沼や水音絶え間なし★★★
沁み渡る沼へ朝日や冬の鯉★★★
風も無き沼へ枯葉の限りなし★★★

多田有花
おはようの看板初冬の小学校★★★
路地を曲がれば冬の小菊かな★★★
大公孫樹色づき染めし冬はじめ★★★

廣田洋一
そこはかと甘き香りや冬薔薇★★★
冬薔薇一つちょこんと丸まりて★★★
丹沢の稜線すらり山眠る★★★★

桑本栄太郎
落葉して緋色極むる唐かえで★★★
日に向い塀より出ずる石蕗の花★★★
オカリナのようには鳴らずひょんの笛★★★★

11月12日(4名)

小口泰與
山の幸干して秋風ほしいまま★★★
鳥声や上つ枝の熟柿風の中★★★
魚跳ねし秋翡翠の沼ほとり★★★

多田有花
小六月土手に咲きおり姫女苑★★★
百葉箱冬の紅葉をしたがえて★★★
校庭にコスモス揺れて冬浅し★★★

桑本栄太郎
白き実を鴉ついばみ冬晴るる★★★
あおぞらに雲見当たらぬ小春かな★★★★
冬蜂と云えど日差しの目の前に★★★

廣田洋一
点々と燃えたつ如く冬紅葉★★★
故郷の土間に置かれし茎の桶★★★★
十一月友はコロナに罹患せり★★★

11月11日(4名)

小口泰與
早朝の秋翡翠の狩猟かな
渓流の波のほぐれし秋日和
紅葉の妙義に登り浅間観る

多田有花
小春日の鳶ゆっくりと旋回す★★★
冬浅き真昼の土手を歩きけり★★★
冬の薔薇庭の手入れの鋏音★★★★

桑本栄太郎
あおぞらに柚子の色づく狭庭かな★★★
カサコソと枯葉競いぬ坂の風★★★
亜浪忌のかつら黄葉の散り敷きぬ★★★

廣田洋一
街中をライトアップや十一月★★★
まだまだ色付き足らぬ冬紅葉★★★
法輪の煌めく塔や冬紅葉★★★
コメント (1)
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