◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/8月11日-20日

2014-08-12 10:03:56 | Weblog
[8月20日/2句]
★青山椒こぼれる香り笊に盛り/河野啓一
山椒の青い実が採れるころになった。ごみなどと選り分けて、水洗いし笊にあげておくと、山椒の香りが辺りに立ち込め、実の青さにも増して、すがすがしい。(高橋正子)

★長雨のふと途切れては虫時雨/福田ひろし
しとしとと降る秋の長雨。ふと気付けば雨音に代わり、虫がしきりに鳴いている。自然界はすっかり秋になっている。(高橋正子)

[8月19日]
★紅蜀葵木陰を照らすその色よ/河野啓一
紅蜀葵の赤いいろは、緑濃い夏の風景のなかで目立つ。木陰のような薄暗がりでは、特にその色は印象的だ。(高橋正子)

[8月18日]
  鳥取へ盆帰省
★発電塔のプロペラゆるく秋暑し/桑本栄太郎
風力発電のプロペラがゆっくり回るのは、風が吹かないからで、秋暑しをいやでも感じさせる。(高橋正子)

[8月17日/2句]
★奥利根の更なる奥や法師蝉/小口泰與
奥利根のさらに奥に行くと法師蝉が鳴くばかり。「つくつくほうし」の鳴き声も哀調を帯びてくる。(高橋正子)

★かなかなの鳴く森を抜け薄い雲/小西 宏
ひぐらしの鳴く森を抜け、空を見上げると薄い雲が流れている。ひぐらしの「かなかな」の哀愁を帯びた透明感のある声と空の薄雲に通じ合うものがある。(高橋正子)

[8月16日]
  鳥取へ盆帰省
★渋滞の道路を挟み稲穂波/桑本栄太郎
自動車道は田んぼを貫いていることが多く、渋滞をしていても車窓からは稲穂の波が見られ、故郷の秋を感じさせてくれるのは幸せだ。故郷へ向かう懐かしい気持ちがさらに増してくる。(高橋正子)

[8月15日]
★青柿の並びさわさわ風に揺れ/河野啓一
青い柿の葉のなかにある青い柿の実。風が吹くと青柿がさわさわ揺れ、新涼のさわやかさを目にみせてくれる。(高橋正子)

[8月14日]
★蝉時雨その真ん中に座りけり/福田ひろし
情景は、「蝉時雨が四方八方から聞こえる」なのだが、「蝉時雨の真ん中に座る」と作者の行為を中心に捉えて、作者の存在感が強く打ち出された。(高橋正子)

[8月13日]
★浮雲のほのと明るし赤のまま/小口泰與
赤のままのやさしい抒情と、丸みを帯びた浮雲のほのと明るい情景がよくマッチしている。(高橋正子)

[8月12日/2句]
★青空の野山にひびき威し銃/桑本栄太郎
高く澄んだ青空の下の野山にこだまする威し銃。田の明るさと静かなさびしさをより深く感じさせる威し銃だ。(高橋正子)

★胸青きみんみん蝉の声高し/小西 宏
みんみん蝉の透き通った羽には、緑の筋が走っている。その緑の筋も魅力だが、青光りする胸にも
はっとさせられる。その胸を膨らませて声高く鳴くみんみん蝉が、いまだ「少年」を魅了する。(高橋正子)

[8月11日]
★嵐去り虫の音聞こえ初めにし夜/多田有花
嵐が去ると、季節がひとつ新しくなる。夜、静かに耳澄ませば、虫の音が聞こえる。聞えはじめた虫の音に秋の訪れを思う。はっきりとした句だ。(高橋正子)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

8月11日-20日

2014-08-12 05:11:49 | Weblog
8月20日

●河野啓一
青山椒こぼれる香り笊に盛り★★★★
山椒の青い実が採れるころになった。ごみなどと選り分けて、水洗いし笊にあげておくと、山椒の香りが辺りに立ち込め、実の青さにも増して、すがすがしい。(高橋正子)

水の辺を風吹き抜けて深緑★★★
雪の下葉も花も今盛りなる★★★

●多田有花
すぐそばでつくつくぼうしが鳴き始む★★★★
見上げれば朝の光に山澄みぬ★★★
秋めきてくっきり見える男鹿島★★★

●小口泰與
あけぼのの野川の風と虫の声★★★
眼間の雲遁走すほうせん花★★★★
あけぼのの田に限りなき露の玉★★★

●福田ひろし
八月の屋根たたきたる温き雨★★★
野分過ぎ夕空一朶の黒き雲★★★
長雨のふと途切れては虫時雨★★★★
しとしとと降る秋の長雨。ふと気付けば雨音に代わり、虫がしきりに鳴いている。自然界はすっかり秋になっている。(高橋正子)

●桑本栄太郎
秋めくや日差しと影の濃くなりぬ★★★★
嶺の端の雲の黄金や秋入日★★★
真夜の闇騒がせ秋の夜立ち来ぬ★★★

8月19日

●古田敬二
そこここに色ある楓秋に入る★★★
信号を待てば背中に吹く新涼★★★
庭に立ち虫の初音を妻と聴く★★★★

●小口泰與
えびずるや瀞の常陰(とかげ)へ浮子を打つ★★★★
歳月やちんちん電車霧に消ゆ★★★
時無しの利根の波間や秋の駒★★★

●多田有花
宵闇に踊りの歌が流れ出す★★★
秋茄子に味噌だれたっぷりかけて食ぶ★★★★
初秋の城を映せるドアミラー★★★

●福田ひろし
降りて照るやはりアジアの八月よ★★★

生温き雨のぼとりと秋暑し★★★
墓参り柏手を打つ子を叱る★★★

●桑本栄太郎
花びらの雨滴きらめき白木槿★★★★
畦豆や野辺の朝の耀きて★★★
新涼の窓の夜風にもの想う★★★

●河野啓一
紅蜀葵木陰を照らすその色よ★★★★
紅蜀葵の赤いいろは、緑濃い夏の風景のなかで目立つ。木陰のような薄暗がりでは、特にその色は印象的だ。(高橋正子)

鴨の子の群れて耀く疏水の水★★★
秋の風さやかに午後の美術展★★★

●小西 宏
本抱えDVD借り秋休み★★★
蜩に夕の山並み雲澄めり★★★★
サンゴ礁に白波を聞き天の川★★★

8月18日

●小口泰與
民宿の卓袱台古りぬ秋時雨★★★
山を分く坂東太郎男郎花★★★★
三山も靄にただよう酔芙蓉★★★

●河野啓一
四方山の話弾みて盂蘭盆会★★★★
蓮池や楽土の灯しほの紅く★★★
新涼の蝉の声聞く朝かな★★★

●桑本栄太郎
 鳥取へ盆帰省
発電塔のプロペラゆるく秋暑し★★★★
風力発電のプロペラがゆっくり回るのは、風が吹かないからで、秋暑しをいやでも感じさせる。(高橋正子)

糸とんぼ雨の墓石につらなりて★★★
追憶をたどり絆や盆の客★★★

●小西 宏
カンナ朱の立つ広き葉に青空に★★★★
故郷の新しき名の甲子園★★★
鴉ゆく空あかあかと秋の暮★★★

8月17日

●小口泰與
奥利根の更なる奥や法師蝉★★★★
奥利根のさらに奥に行くと法師蝉が鳴くばかり。「つくつくほうし」の鳴き声も哀調を帯びてくる。(高橋正子)

蜩や利根の瀬頭波やわし★★★
藤袴浅黄斑の飛び違う★★★

●古田敬二
夕焼けも秋の実りの色となり★★★★
新涼に行く散歩道新しく★★★
森戦ぐそこから我に涼あらた★★★

●迫田和代
白い雲ポカリ浮かんだ秋の空★★★★
懐かしい仏も集まる盂蘭盆会★★★
心にも走馬灯あり闇の中★★★

●多田有花
太陽の見えぬ日続く盆休み★★★
つくつくぼうし主役となりぬ蝉時雨★★★
新しき寝具が届く初秋に★★★★

●桑本栄太郎
<盆帰省の日本海>
長芋の砂地畑や盆の海★★★★
盆波のサーファー独り波の上★★★
潮騒の聞こえ寄せ来る盆の海★★★

●小西 宏
【原句】かなかなと鳴く森を抜け薄い雲
【添削】かなかなの鳴く森を抜け薄い雲★★★★
ひぐらしの鳴く森を抜け、空を見上げると薄い雲が流れている。ひぐらしの「かなかな」の哀愁を帯びた透明感のある声と空の薄雲に通じ合うものがある。(高橋正子)

蜩の清き身をもて森ゆらす★★★
秋茄子を肴に政治談議かな★★★

●高橋秀之
伏見から見渡す京と秋の山★★★
法師蝉聞きつつ歩く下り道★★★★
鳴く声の途切れることなし秋の蝉★★★

8月16日

●小口泰與
青空へ一朶の雲や秋薊★★★
湯の町の長き石段秋めける★★★★
横丁の灯ともりけり虫の声★★★

●多田有花
土砂降りの中を出かける墓参り★★★
彫像の如くに盆の守宮かな★★★
茄子の馬岸辺の波に洗われて★★★★

●河野啓一
緑赤黄とり合わせたる夏料理★★★★
大文字ほのお見納め霊送る★★★
青葦の濡れて戦ぐや川尻に★★★

●桑本栄太郎
<鳥取へ盆帰省>
渋滞の道路を挟み稲穂波★★★★
自動車道は田んぼを貫いていることが多く、渋滞をしていても車窓からは稲穂の波が見られ、故郷の秋を感じさせてくれるのは幸せだ。故郷へ向かう懐かしい気持ちがさらに増してくる。(高橋正子)

トンネルの入り口飾り葛垂るる★★★
百日紅咲く石州瓦の赤き屋根★★★

8月15日

●小口泰與
夕さりの城址に立つや法師蝉★★★
秋日射す茄子の茎の撓みけり★★★
今朝赤城山(あかぎ)紫紺や利根川(とね)の風さやか★★★★

●河野啓一
青柿の並びさわさわ風に揺れ★★★★
青い柿の葉のなかにある青い柿の実。風が吹くと青柿がさわさわ揺れ、新涼のさわやかさを目にみせてくれる。(高橋正子)

暮れ初めて夕立ちは星の涙雨★★★
白き香を雨に滲ませ花蜜柑★★★


●小西 宏
残暑などどこ吹く風と百日紅★★★
蜩の寝転んでいま青き空★★★
孫と見るのび太の恋の秋清し★★★★

8月14日

●小口泰與
色鳥や一朶の雲へ朝日差し★★★★
止め腹の鮭を吊るすや潮の風★★★
秋鯖をでんと我が前夕餉かな★★★

●福田ひろし
蝉時雨その真ん中に座りけり★★★★
情景は、「蝉時雨が四方八方から聞こえる」なのだが、「蝉時雨の真ん中に座る」と作者の行為を中心に捉えて、作者の存在感が強く打ち出された。(高橋正子)

熱帯夜途切れ安らぐ子の寝息★★★
もつれ飛ぶ蜻蛉二匹の速さかな★★★

●小西 宏
ひぐらしの切り裂き流る森の揺れ★★★
秋の蚊のわが手に触れて小さきこと★★★
虫の音の公園夜のサイクリング★★★

●高橋信之
丘の家に盆来て盆の瓜なすび★★★★
丘の家は、風がよく通い、陽もよく当たり、空に近い。そこに盆が来て、瓜やなすびの馬が霊迎えのために置かれている。盆の瓜なすびが「明らか」だ。(高橋正子)

丘の坂上がれば盆の瓜なすび★★★
盆が来て吾に父あり母ありき★★★

8月13日

●小口泰與
浮雲のほのと明るし赤のまま★★★★
赤のままのやさしい抒情と、丸みを帯びた浮雲のほのと明るい情景がよくマッチしている。(高橋正子)

とんぼうやつと迫りたる浅間山★★★
野路の秋背後気にするチワワかな★★★

●多田有花
盆花をおのおのカートに積み並ぶ★★★
開き初む白蓮に盆の朝日さす★★★
シベリアの脱出記読む盂蘭盆会★★★★

●小西 宏
草の原踏めばバッタの空青し★★★★
父さんと走るサッカー盆の入り★★★
蜩のひとり鳴くこそ秋澄めれ★★★

●高橋信之
三角に切られ西瓜の立ち並ぶ★★★★
葡萄の粒の一つ一つに灯を映し★★★
鮎すらりとして黄緑が皿に載る★★★

●高橋正子
白皿に山河の色の鮎並び★★★★
鮎の姿がありありと眼に浮かんでくる。山河の色をして、天然の姿を見せてくれるのだ。(高橋信之)
       
黒々と葡萄の粒が粉をふく★★★
西瓜切って西瓜の匂いを囲む子ら★★★

8月12日

●小口泰與
虫の音や小犬と語る独り酒★★★
湯の町の検番消ゆる露の秋★★★
検番のいにしえ語り秋扇★★★

●桑本栄太郎
青空の野山にひびき威し銃★★★★
高く澄んだ青空の下の野山にこだまする威し銃。田の明るさと静かなさびしさをより深く感じさせる威し銃だ。(高橋正子)

嵐去り月中天に満ちにけり★★★
走りゆく雲輝かせ盆の月★★★

●河野啓一
野分過ぎ青空覗く木の梢★★★★
萩の寺ようやく去りぬ雨嵐★★★
かささぎの渡せる橋を探す夜★★★

●古田敬二
観音像をまわりて戻るオニヤンマ★★★
蓮の葉に花びら水玉ゆったりと★★★
花びらと光る水玉蓮の葉に★★★★

●佃 康水
打球追う子らへ湧き出づ赤蜻蛉★★★
夏休み父の手借りて逆上がり★★★★
朝の陽へ白さ眩しむ花木槿★★★

●小西 宏
胸青きみんみん蝉の声高し★★★★
みんみん蝉の透き通った羽には、緑の筋が走っている。その緑の筋も魅力だが、青光りする胸にも
はっとさせられる。その胸を膨らませて声高く鳴くみんみん蝉が、いまだ「少年」を魅了する。(高橋正子)

初秋の朝のジョギング並び合い★★★
朝の陽の塩辛とんぼ水澄めり★★★

8月11日

●小口泰與
浮雲を放つ浅間山(あさま)や秋桜★★★★
「放つ」という表現に、浮き雲の軽さ、浅間山の雄大さが読み取れる。浮き雲を放つ浅間山を向こうにして秋桜がそよそよと揺れている。すっかり秋だ。(高橋正子)

次々に県境違う七変化★★★
コスモスや雲育て上ぐ浅間山★★★

●多田有花
嵐去り虫の音聞こえ初めにし夜★★★★
嵐が去ると、季節がひとつ新しくなる。夜、静かに耳澄ませば、虫の音が聞こえる。聞えはじめた虫の音に秋の訪れを思う。はっきりとした句だ。(高橋正子)

枝あまた山路に落ちし台風過★★★
蓮池の畔を巡る秋日傘★★★

●古田敬二
コーヒーは少し熱めに今朝の秋★★★★
今朝の秋の爽やかさに、朝一番に飲むコーヒーは、少し熱めに淹れた。この少し熱めの温度が、心身に快い。(高橋正子)

開ける窓少しだけにし夜の秋★★★
カーテンをふうわり押して秋が来る★★★


●桑本栄太郎
対岸のはるか遠くや秋出水★★★
嵐去り今夜はスーパー満月に★★★
野分凪ぎ青き実の散るバス通り★★★★

●黒谷光子
捨て舟の一艘囲み葦の花★★★★
止まりたる木肌の白さ秋の蝉★★★
夕暮れの声こと更に秋の蝉★★★

●小西 宏
扇風機まわして街の工場の音★★★
家おおう藍朝顔にガラスきらめく★★★★
嵐去り月昇りくる屋根の影★★★
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする