◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/12月21日~31日

2014-12-30 07:46:30 | Weblog
[12月31日]
山茶花へ朝陽明るし今日が来る/古田敬二
山茶花の花へ朝日が射すと、今日が明るく、溌剌とやって来たと思う。山茶花の花の明るさがよい。(高橋正子)

[12月30日]
注連かざる江戸よりつづく太柱/小口泰與
代々続く家の太柱に注連が飾られ、風格のある注連飾りとなった。新年のめでたさも一層である。(高橋正子)

[12月29日]
寒柝や高き子の声まぎれ居り/祝 恵子
凍てつく寒い夜に打ち鳴らされる寒柝の音は、もの寂しさを感じさせる。その拍子木の音に、子どもの高い声で「火の用心」と元気に叫んでいるのがまぎれている。微笑ましく、ほっと心和むのだ。(高橋正子)

[12月28日]
★松積んで軽トラがゆく年の暮/多田有花
歳晩の風景としてめでたい。軽トラックに乗るほどの松の枝。常盤の緑がいきいきとして弾んでいるようだ。(高橋正子)

[12月27日]
★雪山を間近く仰ぐ頂に/多田有花
山に登り頂に立つと、雪山は、頂よりもさらに高く聳え間近に見える。山に登りさらなる雪山が身近に迫り、すばらしい。(高橋正子)

[12月26日]
★冬山の襞ひと所へ夕日差す/小口泰與
凛とした冬山の襞のひと所を浮かびあがらせ、今日の日を終える夕日が力強い。(高橋正子)

[12月25日]
★菜を刻むその音すらも歳の暮/河野啓一
冬至を過ぎ、ほんのわずかに日は長くなってきているが、暮れ方はやはり歳晩の感じが強まる。夕餉の仕度の菜を刻む音にも「年の暮」が感じ取れる。(高橋正子)

[12月24日]
★今着きしカードも飾るクリスマス/川名ますみ
クリスマスの楽しさは、クリスマスに纏わるいろいろなものを飾る楽しみにもある。クリスマスに合わせて届いたカードも早速飾ると、楽しさがまた加わる。(高橋正子)

[12月23日]
★木枯らしや友の訃報のメール鳴る/古田敬二
木枯らしが吹き、寒さが募る日、携帯電話のメール着信音が鳴る。予期せぬ着信音に何か予感を感じてメールを開けたのでは。着信音は、自然の深くから鳴って来たように思われる。(高橋正子)

★括られし白菜畑の畝真直ぐ/小川和子
白菜がしっかりと玉を巻いた畝がまっすぐに続く。冬の清潔さを思わせる風景だ。(高橋正子)

[12月22日]
★冬至真昼海の輝きの極む/多田有花
一年で一番昼が短い冬至だが、真昼に海を見れば、海は力強く輝いている。太陽はその力を真昼に集中させている。冬至を詠んだ句では珍しい。(高橋正子)

★花八手食器の触れあう厨窓/桑本栄太郎
八手は、厨の窓の下あたりによく植えられている。厨の窓からは、食器の触れ合う音が聞こえる。食器の音から湧くイメージは白い磁器だが、花八つ手の白い花と静かに響きあっている。(高橋正子)

[12月21日]
★乗り換えの国ざかい駅雪深し/福田ひろし
乗り換えで立ち降りた駅は国ざかい。思わぬ雪の深さに、国を境に、こんなにも雪の降りようが違うものかと感慨も深む。(高橋正子)

★コンクリの坂に冬樹の影を踏む/小西 宏
コンクリートの坂道は冬の日にからりとして、木の影がくっきりと映っている。ありありとした木の影を踏み上る坂道がなにか面白い。(高橋正子)
コメント (12)
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