7月31日(1句)
★髪切りて溌剌として夏の女/廣田洋一
髪を短く切ると女性も、活発に、生き生きとした様子に見える。特に、夏は短い髪は涼しげもあって、逆に女性を印象付けることもある。「夏の女」はまさにそれだろう。(高橋正子)
7月30日(1句)
★滝落ちて水分石の思うまま/小口泰與
水分石は、滝石に組まれ水を分けるもの、水位を知るためのものなどあって、策定者の美的、思想的な要素があって、配置される。そういったことはともかく。滝の水がたっぷりと落ちて、水分石は思うままに水を分けている。涼しい景色だ。(高橋正子)
7月29日(2句)
<水陸両用バス スカイダック台場 豊洲・東京Viewコース>
★夏の潮洗い流してバスとなる/多田有花
水陸両用バスという珍しいものに乗られた。海を走るときは、船。陸にあがればバス。陸にあがると、夏潮を洗い流す。夏潮を洗い流して身代わりする様子が、潔い。(高橋正子)
★きりぎりす風の音色を伝え居り/桑本栄太郎
くさむらのなかで、きりぎりすが鳴いている。姿が見えないので、風と運ばれて来るきりぎりすの声は、さながら、風の音色を伝えているようだ。その発見が新しい。(高橋正子)
7月28日(1句)
★揚花火消えぬ間次の大花火/廣田洋一
花火が揚がり、揚がった花火は落ちかかると、次にはさらに大きな花火が揚がり、観客をどよめかせる。一つの花火と、次に打ち上げられた花火の関係の微妙さに面白みがある。(高橋正子)
7月27日
該当句無し
7月26日(1句)
<白洲次郎・正子旧宅~武相荘>
★武相荘の庭を引き締め夏木立/多田有花
武相荘に限らないと思うが、夏木立が凛と立つと庭が引き締められる。白洲次郎・白洲正子の生活の仕方がわかるような旧宅である。(高橋正子)
7月25日(1句)
★海辺にて黄色弾ける花蘇鉄/廣田洋一
海の色と蘇鉄の花の黄色のコントラスト南国的な夏らしいイメージを醸している。蘇鉄は恐竜時代からの生き残りの植物で、やはり、そういった時代を彷彿させる。(高橋正子)
7月24日(2句)
★青空へ鮎釣る長竿のびにけり/小口泰與
鮎釣りの醍醐味は鮎を釣り上げることは、もちろんだが、川や渓流の風景を楽しむことにもある。鮎を釣る長い竿が青空にグーンとのびる。そのしなやかさがいい。(高橋正子)
★雨空を紅く照らせり凌霄花/廣田洋一
陰鬱な雨空が続くころ、凌霄花が、咲くとあたりを紅く照らしてくれる。雨の憂さも吹っ切りそうなあかるい凌霄の花だ。(高橋正子)
7月23日(1句)
★風鈴はかんかん石や昼も夜も/小口泰與
かんかん石は、讃岐石(サヌカイト)。緻密な石でたたくとかんかんと高い澄んだ音色がする。風があれば、昼も夜もいい音色を響かせてくれる。風のある涼しい住まいに、なお風鈴が涼しそうな音色で鳴っているのだ。(高橋正子)
7月22日
該当句無し
7月21日(1句)
★通り雨いまだ温もる日除かな/小口泰與
通り雨が過ぎ、あたりはひんやりと涼しくなったが、日除に触れてみると、太陽の熱を持ってまだ温かい。通り雨くらいでは、日除の熱は冷めな。(高橋正子)