◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/7月1日~7月10日

2023-07-02 10:20:15 | Weblog
※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子


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今日の秀句/7月1日~7月10日

2023-07-02 10:19:25 | Weblog
7月10日(1句)

★那智の滝注連縄揺らし落ちにけり/廣田洋一
滝は夏の季語。滝の冷気は特別である。那智の滝は、滝自体がご神体なので、その前に注連縄が張られている。落差133mの滝が落ちると、水飛沫や冷気の動きで風が起こる。(髙橋正子)

7月9日(1句)

★孫ら来る祇園祭のあといくつ/桑本栄太郎
遠く離れて住む孫が祇園祭にやってくる。あといくつ寝たら会えるのか、と素直な気持ちが詠まれているのがいい。孫たちも京都行を楽しみにしていることだろう。(髙橋正子)

7月8日(1句)

★冷麦の赤を取り合ひ昭和の日/廣田洋一
白い冷麦に赤や緑、黄色の色がついたのが、少し交じっていて、昭和の子供は色のついたのを当たりくじのように欲しがった。やっぱり赤が人気だったか。大勢で暮らした昭和が懐かしく思い出される。(髙橋正子)

7月7日(1句)

★青空へ紐を結びぬ竹簾/川名ますみ
竹簾を吊るすときに、実際は、窓枠の出っ張りなどに紐を結んで吊るすが、青空を見ながら吊るすと、「青空へ」紐を結んでいるかのように見える。夏の青空と簾が絵のように思える。(髙橋正子)

7月6日(1句)

★のっぱらやさやかに揺らぐ花菖蒲/弓削和人
「のっぱら」に切字「や」がついて、アンバランスな感じがしないでもないが、野原に花菖蒲が揺れているのが、目にさやかに映る。これは、箱根の仙石原にあるようなノハナショウブなのか。(髙橋正子)

7月5日(1句)

★あき缶の口に滲み入る岩清水/弓削和人
飲み干したあき缶に、岩清水を入れて飲もうというのだ。あき缶の小さい飲み口から滲みいる清水のつめたさは感激もの。岩清水のあたりの涼気が想像できる。(髙橋正子)

7月4日(1句)

★あおぞらの視界ぐるりと梅雨の晴れ/桑本栄太郎
ぐるりと見まわす視界のかぎり、青空が広がる。梅雨の晴れ間の力強く、涼し気な空の青。元気がでる。(髙橋正子)

7月3日(1句)

★終電の駅に降り立ち夏の星/廣田洋一
「夏の星」は、すずしそうな輝きが特徴である。終電まで乗り、疲れ気味に駅に降り立つと、空には涼しそうな星が輝いている。涼しそうな星の美しさに心が洗われる思いだ。(髙橋正子)

7月2日(1句)

★雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉/弓削和人
糸蜻蛉はあまりに姿がかすかなので、水面に生まれている水輪は、小さい雨の作る水輪と思ったが、よく見ると雨ではなく糸蜻蛉がいて出来た水輪だったということ。率直な見方に詩情がある。(髙橋正子)

7月1日(3句)

★一時の風の中なる油蝉/小口泰與
いかにも暑そうに鳴く「油蝉」と「風」の取り合わせがよく、一服の清涼剤のような風が吹き抜け、心まで涼しくなる句。(髙橋正子)

★丹沢の雲の晴れたり梅雨夕焼/廣田洋一
丹沢の山々にかかる雲が晴れて夕焼けが広がる。晴れ晴れとした梅雨夕焼に、新しい世界が目の前に広がるようだ。(髙橋正子)

★七月や早やも祇園を想う朝/桑本栄太郎
葵祭から祇園祭へと京都の夏は祭で賑わう。七月になれば、コンチキチが耳に聞こえ、やきらびやかな鉾や山車の姿が目に浮かぶということだろう。「祇園を想う」に祇園の街の華やぎや祭を心待ちにする京都人の思いをみる(髙橋正子)

コメント (7)
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7月1日~7月10日

2023-07-02 09:46:36 | Weblog
7月10日(4名)

小口泰與
満緑や雲ひとはけの妙義山★★★
猫車芋いっぱいや夏の朝(原句)
涼しそうな句ですね。この句の主題は「芋」で「芋」の季語は秋で、「夏の朝」とは季重なりです。(髙橋正子)

日を返す咫尺の沼や時鳥★★★

廣田洋一
那智の滝注連縄揺らし落ちにけり★★★★
旅人の滝の行者と変身す★★★
冷麦をすいすい啜る真昼かな★★★

桑本栄太郎
初蝉の鳴き初めすぐに止みにけり★★★
舞い来ては躊躇い居りぬ揚羽かな★★★
坂道の石垣つづき苔茂る★★★

弓削和人
濃紫雨後に栄えたる鉄線花★★★
夏がすみ展望台の湖畔かな★★★
蜻蛉生まる野芥子に六肢つかまれリ★★★

7月9日(3名)

小口泰與
突然の雨や忽と雹となり ★★★
噴煙の棚引く先や二重虹★★★
郭公や丈夫の妻の頼もしく★★★★

廣田洋一
草取るや庭の黒土甦る★★★
鍔広の帽子かぶりて草を取る★★★
堰落ちる川に虹立つ朝かな★★★★

桑本栄太郎
雨上がり溽暑となりぬ河原町★★★
くちなしの花の朽ち来てなほ匂う★★★
孫ら来る祇園祭のあといくつ★★★★

7月8日(3名)

小口泰與
雷鳴や家ぬちの音絶ちにける★★★
草草や沼の谷蟇日を受けて★★★
翡翠の一亥だにも来ぬ小沼★★★

廣田洋一
冷麦の赤を取り合ひ昭和の日★★★★
なだらかな坂を下りて沙羅の花★★★
焼酎で乾杯したる夕べかな★★★

桑本栄太郎
涼風の吹き抜けるいたる雨の午後★★★
黒蟻の慌て走りぬ雨催い★★★
ひと仕事ごとに水飲む溽暑かな★★★

7月7日(5名)

小口泰與
上州の山の蒼さや鮎遡上★★★
あけぼのの只中の声翡翠よ★★★
忽然と蝦蟇の合唱沼の朝★★★

桑本栄太郎
日盛りやホースの水に鴉どち★★★★
くちなしの花の朽ちたる垣根かな★★★
星合の夕となれども雨催い★★★

廣田洋一
揚羽蝶晴れたる空を低く飛び★★★★
七夕や子らの健康願ひたり★★★
駅出でて短冊飾る七夕かな★★★

川名ますみ
①青空へ紐を結びぬ/竹簾★★★★
「竹簾を掛けようとして紐を結ぶときに、青空に簾を掛けるかのように高いところに紐を結んだ。」という行為の楽しさが詠まれている。
②青空へ紐を結びし竹簾
「高い青空に紐を結んだ竹簾」ですよ。竹簾が主題。
①と②とどちらが面白いですか。技術的にはどちらも同じようですが、読んで①と②とどちらが面白い、楽しそう、ですか。(髙橋正子)

窓拭けば遠き万緑迫りくる★★★★
受診日や寝間着にレース羽織り出づ★★★

青空へ紐を結びし竹簾

弓削和人
湖や街灯うるむ夕すずみ★★★
風青し無人のままのコンバイン★★★

石仏の背をおおいたる雲の峰(原句)
「おおう」は適切でしょうか。(髙橋正子)
石仏の背より湧きたる雲の峰(正子添削)

7月6日(3名)

廣田洋一
千切りの野菜を添へて冷し麦★★★
冷麦に一本の赤妻は亡く★★★
梅雨晴間草花香る楸邨忌★★★

桑本栄太郎
梅雨晴れや草の匂いと土匂う★★★
硝子戸の向こうに舞いぬ揚羽蝶(原句)
硝子戸の向こうを舞いぬ揚羽蝶(正子添削)
みどり為す龍田川とや夏の川★★★

弓削和人
遊泳のしきりのさきや黄泉の湖★★★
一息と床をしとねに午睡かな★★★
のっぱらやさやかに揺らぐ花菖蒲★★★★

7月5日(4名)

小口泰與
日を受けし翡翠沼の指呼に居り★★★
裂帛の鴉の鋭声夏木立★★★
沼の樹や翡翠の声聞こえきし★★★

廣田洋一
ビーチパラソル砂浜埋める家族連れ★★★
汗流れ拭ひもせずに鉾廻し★★★
ナイターや終わらぬうちに帰宅せり★★★

桑本栄太郎
午後よりの雨模様なる梅雨深し★★★
昨日とは嘘のようなり梅雨寒し★★★
荒梅雨や樋より垂るる音激し★★★

弓削和人
あき缶の口に滲み入る岩清水★★★★
桑の実の紅口つけてなつかしや★★★
遊覧船さゆらぐ旗の夏の湖★★★

7月4日(5名)

小口泰與
ご先祖へ朝の誦経や明易し★★★★
夕涼や祖母の手ずれの黄八丈★★★
翡翠の魚を獲りしやたまさかに★★★

多田有花
飛ぶために生まれし吾ぞ夏燕★★★
とうきびの花の仲良く背くらべ★★★
蓮咲けばそこに極楽浄土あり★★★

廣田洋一
鱧見つけ直ぐ注文の小料理屋★★★
山裾に枝を広げし合歓の花★★★
親水公園出水後しばし閉ざされぬ★★★

桑本栄太郎
朝なれば花びら赤く月見草★★★
あおぞらの視界ぐるりと梅雨の晴れ★★★★
耳奥の音の微かや初蝉に★★★

弓削和人
海開く埃を払う着替え小屋★★★
白き花アヤメの筋に黄ちらり★★★
垣の苔滴るたびにてかりけり★★★

7月3日(5名)

小口泰與
電線をつつと駆ける夏雀★★★
日盛や沼は黄金の面を持ち★★★
日を受けし翡翠沼の指呼にあり★★★

廣田洋一
夕焼けの残れる空に一番星★★★
終電の駅に降り立ち夏の星★★★★
松葉菊なだれ咲きたる門の前★★★

桑本栄太郎
バンザイの小枝両手に今年竹★★★
若竹の節の白さよ天を衝く(原句)
原句では、「天を衝く」の主語が「若竹の節の白さ」となっています。(髙橋正子)
天と衝く若竹節の真白さよ(正子添削)

山裾の鉄砲百合や山の畑★★★

多田有花
ほととぎす遠く近くに繰り返し★★★★
ひまわりやすっと背筋を伸ばし見る★★★
造成地に公園新し夏の朝★★★

弓削和人
キブシより小さき木漏れ日梅雨曇★★★
県民の森を標すは紫蘭かな★★★
朽ち果つる橋の新緑なりにけり ★★★

7月2日(5名)

小口泰與
確かなる山女の影や峡の子等(原句)
俳句の形式としては問題ないですが、「山女の影」と「峡の子等」の関係がわからないのが問題です。意味が通じることがまず大事です。(髙橋正子)
確かなる山女の影に峡の子等(正子添削)

羅を無造作に着て確かなり★★★
時鳥田は蒼蒼と風を呑む★★★

廣田洋一
海紫陽花水辺の岩間に咲きにけり★★★
群をなし透き通りをり海月かな★★★★
黒潮に乗りて来たれる海月かな★★★

桑本栄太郎
藻の花やせせらぎ浅き高瀬川★★★
街角に祇園囃しの四条かな★★★★
日盛や外つ人ならぶラーメン店★★★

多田有花
雨上がりの靄の晴れゆく半夏生★★★★
七月や韓国料理を食ぶ夕べ★★★
夏の夕ぴりりと辛きキムチかな★★★

弓削和人
やわらかき羽出し発ちぬ天道虫★★★

雨に似せ水輪のひとつ糸蜻蛉(原句)
「似せ」と糸蜻蛉に主体をもたせるより、情景の写生の方が、イメージがはっきりし、句に品も生まれると思います。(髙橋正子)

雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉(正子添削)

青すすき揺れぬばかりの風吹きぬ★★★

7月1日(5名)

小口泰與
一時の風の中なる油蝉★★★★
会議終う麻の背広の皴の数★★★★
逞しき利根の流れや鮎育つ★★★

廣田洋一
七月や雨音高く始まりぬ★★★
七変化待ちたる雨を吸込みぬ★★★
丹沢の雲の晴れたり梅雨夕焼★★★★

多田有花
ねずみもちの花やまわりの田は失せて★★★
百合の香の庭の外まであふれ出す★★★
のうぜん花焼き板壁の家の前★★★

桑本栄太郎
いつまでも夢のつづきや夜立来る★★★
七月や早やも祇園を想う朝★★★★
降り止みて又も降りだす梅雨荒るる★★★

弓削和人
梅雨寒や熱き珈琲求めたり(原句)
「求めたり」とした下五は大事です。コーヒーを飲んだ時の感じが伝わるとよいと思います。(髙橋正子)
梅雨寒や熱き珈琲胃に落とす(正子添削例)

水切ってはや食膳の冷奴★★★★
香水をのこす車両や人の去り(原句)
「香水をのこす」では、香水瓶を残す意味になりかねません。正しくは「香水の香(り)」です。(髙橋正子)
香水の香りのこるや車両無人(正子添削例)
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