◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/11月1日-6日

2014-11-10 07:04:49 | Weblog
[11月6日]
★破蓮の濠にあおぞら戻りけり/内山富佐子
破蓮の濠は、曇れば蕭条とした感じに、青空になれば、濠に青空が映りからっとした感じになる。「濠にあおぞら戻り」がうまい。(高橋正子)

★鮃そぎ明日立冬の静かさに/川名ますみ
透明感のある白い鮃の身がそがれ、明日は立冬という日の俎板にある。その存在感。(高橋正子)

[11月5日]
★紅葉の鍋割山(なべわり)も雨貯えし/小口泰與
鍋割山は、神奈川の丹沢山系や群馬県など、日本にいくつかあるようだ。鍋を割って伏せたような山か。その名前に昔話の雰囲気がある。雨が降るたびに季節が進み、紅葉の山となり、落ち葉の重なる沢道を歩けば、水が滲んでくる。「雨貯えし」が句を膨らませた。(高橋正子)

★獅子の舞う稲刈り終えし家の庭/祝恵子
農家の家々を訪ねて獅子舞がくる。稲刈りを終え、収穫への感謝と無病息災を願っての獅子舞であろう。獅子舞が来て一連の農作業が終わり、冬を迎える落ち着いた気持ちが読める。(高橋正子)

[11月4日]
秋高し一朶の雲を探しおり/福田ひろし
雲一つなく高かく晴れた空を見渡し、素晴らしさに感嘆すると同時に、どこかに一朶の雲がぽっかりと浮いているのではと思う。それほどまでに晴れているのだ。私もときにこのようなことがある。(高橋正子)

[11月3日]
★竹の春透けて樹林の明るさよ/祝恵子
周囲が秋色に染まるころ、竹は明るい葉をそよがせる。「竹の春」だ。周囲の樹林を明るくさせ、凋落の季節にほっとする明るさを与えている。(高橋正子)

★蕎麦刈るや山の夕日を巻きこみて/佃 康水
傾斜する山の蕎麦畑には、夕日が一茎一茎に絡むようあたる。蕎麦を刈るときは、「夕日を巻き込みて」、夕日ごと刈る感じだ。丁寧によく観察された句だ。(高橋正子)

[11月2日]
洛西の山里
★溝川の楽を聞き居り石蕗の花/桑本栄太郎
溝川の流れに沿うように石蕗の花が咲いている。流れの音を「楽」と聞き、今花咲くことを楽しんでいる石蕗の花だ。(高橋正子)

[11月1日]
★店々にハロウィンの子ら声高く/内山富佐子
アメリカのハロウィンでは、仮想した子どもたちは、家庭を回ってお菓子などをもらうが、日本では、商店街を回って「トリック オア トリート」と言ってお菓子をもらうようだ。晩秋の楽しい行事だ。(高橋正子)

★名城を丸ごとつつむ空高し/福田ひろし
晴れわたる秋空の中に堂々と聳える名城。空は、名城をすっぽりと包んで高くある。正岡子規にも郷里松山の城を詠んだ句がある。「松山や秋より高き天守閣」(高橋正子)
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11月1日-6日

2014-11-10 07:02:02 | Weblog
11月6日(8名)

●小口泰與
ひつじ田へ土鳩の群や朝まだき★★★★
朝露やまみえし朝日あかあかと★★★
夕暮の野川の鷺や冬支度★★★

●内山富佐子
破蓮の濠にあおぞら戻りけり★★★★
破蓮の濠は、曇れば蕭条とした感じに、青空になれば、濠に青空が映りからっとした感じになる。「濠にあおぞら戻り」がうまい。(高橋正子)

日の中に桜葉舞いて十一月★★★
お受験に幼キリリと秋麗ら★★★

●福田ひろし
朝寒や部屋に一筋陽の入りて★★★★
まぼろしの白銀の月息白し★★★
秒針のこちこち刻む夜寒かな★★★

●桑本栄太郎
<京都御所開放参観>
色変へぬ松のみどりの御苑かな★★★
すめらぎの在(ま)さぬ御所とや暮の秋★★★
秋日さす緑青あおき紫宸殿★★★★

●中野けいこ
焼き芋やくもりめがねを拭きもせず★★★
負け試合秋の夕日を背に受けて★★★
十三夜単身赴任の夫の背★★★★

●川名ますみ
鮃載せ夜食の飯をかがやかす★★★
潮汁掬うおたまに秋ともし★★★

鮃そぎ明日立冬の静かさに★★★★
透明感のある白い鮃の身がそがれ、明日は立冬という日の俎板にある。その存在感。(高橋正子)

●多田有花
一生に一度の後の十三夜★★★
冬隣る月の明るきテニスコート★★★
姿見を磨いて秋を惜しみけり★★★★

●早瀬鞘
学び舎が銀杏に染まる齢経る★★★
愛し君の林檎のほっぺ冬来たる★★★★
秋の香に憶える檸檬色の恋★★★

11月5日(7名)

●小口泰與
秋の山茜の雲のまつわるる★★★
鶺鴒や川原は風の吹くままに★★★

紅葉の鍋割山(なべわり)も雨貯えし★★★★
鍋割山は、神奈川の丹沢山系や群馬県など、日本にいくつかあるようだ。鍋を割って伏せたような山か。その名前に昔話の雰囲気がある。雨が降るたびに季節が進み、紅葉の山となり、落ち葉の重なる沢道を歩けば、水が滲んでくる。「雨貯えし」が句を膨らませた。(高橋正子)

●桑本栄太郎
 阪急河原町駅
紅葉見の人をはきだす地下出口★★★
 高槻平野~大山崎
秋夕焼け野から山へと送電塔★★★★
十字架の山粧いし天王山★★★

●河野啓一
秋の園幼子たちのかくれんぼ★★★★
黒大豆引いて枝ごと茹でにけり★★★
赤とんぼ止まれや止まれこの指に★★★

●黒谷光子
通る度見上ぐ神社の薄紅葉★★★★
薄もみじ真昼の日差しを零しおり★★★
山茶花の早も散り敷き樹下真白★★★

●多田有花
頂に座る頃なり秋深し★★★
青空と敗荷映す池の面★★★★
免許証更新にゆく冬近し★★★

●祝恵子
獅子の舞う稲刈り終えし家の庭★★★★
農家の家々を訪ねて獅子舞がくる。稲刈りを終え、収穫への感謝と無病息災を願っての獅子舞であろう。獅子舞が来て一連の農作業が終わり、冬を迎える落ち着いた気持ちが読める。(高橋正子)

押し花を選び貼りゆく冬隣★★★
巻き初む白菜続く畑の列★★★

●小西 宏
野葡萄の蔓まだ低く実も生らず★★★
家々の庭に錦秋少しずつ★★★
夫婦して梯子立ち上げ柿收む★★★★

11月4日(6名)

●小口泰與
我を見る犬の眼差し秋の暮★★★
眼間を霧に襲わる山路かな★★★
湯の町を包む朝靄虫の声★★★★

●多田有花
窓鳴らす風の音聞く冬隣★★★
いびつさを剥けば芳醇ラ・フランス★★★
晩秋の静かな日差しの中歩く★★★★

●桑本栄太郎
<河原町~四条大橋>
大橋をわたり南座秋しぐれ★★★
顔見世の早やも看板南座に★★★
せせらぎの底に色葉や高瀬川★★★★

●福田ひろし
秋高し一朶の雲を探しをり★★★★
雲一つなく高かく晴れた空を見渡し、素晴らしさに感嘆すると同時に、どこかに一朶の雲がぽっかりと浮いているのではと思う。それほどまでに晴れているのだ。私もときにこのようなことがある。(高橋正子)

阿蘇の野の社の水のさやかなり★★★
朗々と秋風に乗る祝詞かな★★★

●小西 宏
錦秋の市民公園フラフープ★★★
大欅ここぞとばかり紅葉す★★★★
コンビニのドアに黄菊の棚並ぶ★★★

●川名ますみ
横たわる鮃に秋の灯の一条★★★★
厨房に無言のひらめ暮の秋★★★
秋高し鮃の血抜き跡の紅★★★

11月3日(7名)

●小口泰與
鶺鴒や岩に次々渦纏う★★★★
鯉こくや小諸の城の夕紅葉★★★
見晴るかす靄につつまる夕紅葉★★★

●祝恵子
秋桜ポーズは決まり女学生★★★
竹の春透けて樹林の明るさよ★★★★
周囲が秋色に染まるころ、竹は明るい葉をそよがせる。「竹の春」だ。周囲の樹林を明るくさせ、凋落の季節にほっとする明るさを与えている。(高橋正子)

机上には鉛筆削りと柿ころぶ★★★

●多田有花
初めての動画を作る夜半の秋★★★★
秋深し試行錯誤が面白し★★★
昼間から飲んで街ゆく秋曇★★★

●佃 康水
 廿日市自然観察の森
(紅まんさくは県の天然記念物) 2句
紅葉して紅まんさくのハート型★★★
しろがねの葉裏光りて朴落葉★★★

蕎麦刈るや山の夕日を巻きこみて★★★★
傾斜する山の蕎麦畑には、夕日が一茎一茎に絡むようあたる。蕎麦を刈るときは、「夕日を巻き込みて」、夕日ごと刈る感じだ。丁寧によく観察された句だ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
野分めく音に目覚める夜半かな★★★
大風の青き深空や文化の日★★★★
釣り人の湾処(わんど)に黙や鴨来たる★★★

●黒谷光子
秋しぐれ法衣を吊るす衣紋掛★★★
湖北路に文士の講演文化の日★★★
晩秋の両手に包む抹茶碗★★★★

●小西 宏
黄落の桂疎林を柔き風★★★
春は花今は紅葉の桜かな★★★
戦艦の街や南京黄櫨(なんきんはぜ)紅葉(もみじ)★★★★

11月2日(4名)

●小口泰與
白波のほぐれて黙の紅葉かな★★★
大沼の雑魚の群や秋澄めり★★★★
カーテンのほのと揺れたり湖の霧★★★

●河野啓一
天平の古きを偲ぶ秋祭り★★★
宮跡に飾る菊花の香りかな★★★
竿揺れてパクリとパンを運動会★★★★

●小西 宏
隔つ樹に糸を渡して秋の蜘蛛★★★
去年(こぞ)生まれし鴨帰り来て葦の茎★★★★
団栗の音聞きながら雨宿り★★★

●桑本栄太郎
 洛西の山里独り吟行
溝川の楽を聞き居り石蕗の花★★★★
溝川の流れに沿うように石蕗の花が咲いている。流れの音を「楽」と聞き、今花咲くことを楽しんでいる石蕗の花だ。(高橋正子)

人住まぬごとく静もり里の秋★★★
山茶花の坂の垣根の寺苑かな★★★

11月1日(5名)

●内山富佐子
店々にハロウィンの子ら声高く★★★★
アメリカのハロウィンでは、仮想した子どもたちは、家庭を回ってお菓子などをもらうが、日本では、商店街を回って「トリック オア トリート」と言ってお菓子をもらうようだ。晩秋の楽しい行事だ。(高橋正子)

干し柿の秋色カーテン雁木下★★★
新蕎麦を求めゆく道紅葉道★★★

●迫田和代
霧の中飛び込んでいく母の訃に★★★★
散る前の桜紅葉を心根に★★★
青い空赤白揃って渡り鳥★★★

●小口泰與
白樺の林に楓紅葉かな★★★
見晴るかす白樺林秋の空★★★
あけぼのの岸辺の紅葉靄に揺れ★★★★

●福田ひろし
名城を丸ごとつつむ空高し★★★★
晴れわたる秋空の中に堂々と聳える名城。空は、名城をすっぽりと包んで高くある。正岡子規にも郷里松山の城を詠んだ句がある。「松山や秋より高き天守閣」(高橋正子)

雨やみて十一月の町静か★★★
秋出で湯とりわけ太き息を吐く★★★

●桑本栄太郎
秋天の飛行機雲や二本の線★★★
青空にまぶしき銀杏黄葉かな★★★
園児らの花に語るや秋麗ら★★★★
コメント
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