[11月6日]
★破蓮の濠にあおぞら戻りけり/内山富佐子
破蓮の濠は、曇れば蕭条とした感じに、青空になれば、濠に青空が映りからっとした感じになる。「濠にあおぞら戻り」がうまい。(高橋正子)
★鮃そぎ明日立冬の静かさに/川名ますみ
透明感のある白い鮃の身がそがれ、明日は立冬という日の俎板にある。その存在感。(高橋正子)
[11月5日]
★紅葉の鍋割山(なべわり)も雨貯えし/小口泰與
鍋割山は、神奈川の丹沢山系や群馬県など、日本にいくつかあるようだ。鍋を割って伏せたような山か。その名前に昔話の雰囲気がある。雨が降るたびに季節が進み、紅葉の山となり、落ち葉の重なる沢道を歩けば、水が滲んでくる。「雨貯えし」が句を膨らませた。(高橋正子)
★獅子の舞う稲刈り終えし家の庭/祝恵子
農家の家々を訪ねて獅子舞がくる。稲刈りを終え、収穫への感謝と無病息災を願っての獅子舞であろう。獅子舞が来て一連の農作業が終わり、冬を迎える落ち着いた気持ちが読める。(高橋正子)
[11月4日]
秋高し一朶の雲を探しおり/福田ひろし
雲一つなく高かく晴れた空を見渡し、素晴らしさに感嘆すると同時に、どこかに一朶の雲がぽっかりと浮いているのではと思う。それほどまでに晴れているのだ。私もときにこのようなことがある。(高橋正子)
[11月3日]
★竹の春透けて樹林の明るさよ/祝恵子
周囲が秋色に染まるころ、竹は明るい葉をそよがせる。「竹の春」だ。周囲の樹林を明るくさせ、凋落の季節にほっとする明るさを与えている。(高橋正子)
★蕎麦刈るや山の夕日を巻きこみて/佃 康水
傾斜する山の蕎麦畑には、夕日が一茎一茎に絡むようあたる。蕎麦を刈るときは、「夕日を巻き込みて」、夕日ごと刈る感じだ。丁寧によく観察された句だ。(高橋正子)
[11月2日]
洛西の山里
★溝川の楽を聞き居り石蕗の花/桑本栄太郎
溝川の流れに沿うように石蕗の花が咲いている。流れの音を「楽」と聞き、今花咲くことを楽しんでいる石蕗の花だ。(高橋正子)
[11月1日]
★店々にハロウィンの子ら声高く/内山富佐子
アメリカのハロウィンでは、仮想した子どもたちは、家庭を回ってお菓子などをもらうが、日本では、商店街を回って「トリック オア トリート」と言ってお菓子をもらうようだ。晩秋の楽しい行事だ。(高橋正子)
★名城を丸ごとつつむ空高し/福田ひろし
晴れわたる秋空の中に堂々と聳える名城。空は、名城をすっぽりと包んで高くある。正岡子規にも郷里松山の城を詠んだ句がある。「松山や秋より高き天守閣」(高橋正子)
★破蓮の濠にあおぞら戻りけり/内山富佐子
破蓮の濠は、曇れば蕭条とした感じに、青空になれば、濠に青空が映りからっとした感じになる。「濠にあおぞら戻り」がうまい。(高橋正子)
★鮃そぎ明日立冬の静かさに/川名ますみ
透明感のある白い鮃の身がそがれ、明日は立冬という日の俎板にある。その存在感。(高橋正子)
[11月5日]
★紅葉の鍋割山(なべわり)も雨貯えし/小口泰與
鍋割山は、神奈川の丹沢山系や群馬県など、日本にいくつかあるようだ。鍋を割って伏せたような山か。その名前に昔話の雰囲気がある。雨が降るたびに季節が進み、紅葉の山となり、落ち葉の重なる沢道を歩けば、水が滲んでくる。「雨貯えし」が句を膨らませた。(高橋正子)
★獅子の舞う稲刈り終えし家の庭/祝恵子
農家の家々を訪ねて獅子舞がくる。稲刈りを終え、収穫への感謝と無病息災を願っての獅子舞であろう。獅子舞が来て一連の農作業が終わり、冬を迎える落ち着いた気持ちが読める。(高橋正子)
[11月4日]
秋高し一朶の雲を探しおり/福田ひろし
雲一つなく高かく晴れた空を見渡し、素晴らしさに感嘆すると同時に、どこかに一朶の雲がぽっかりと浮いているのではと思う。それほどまでに晴れているのだ。私もときにこのようなことがある。(高橋正子)
[11月3日]
★竹の春透けて樹林の明るさよ/祝恵子
周囲が秋色に染まるころ、竹は明るい葉をそよがせる。「竹の春」だ。周囲の樹林を明るくさせ、凋落の季節にほっとする明るさを与えている。(高橋正子)
★蕎麦刈るや山の夕日を巻きこみて/佃 康水
傾斜する山の蕎麦畑には、夕日が一茎一茎に絡むようあたる。蕎麦を刈るときは、「夕日を巻き込みて」、夕日ごと刈る感じだ。丁寧によく観察された句だ。(高橋正子)
[11月2日]
洛西の山里
★溝川の楽を聞き居り石蕗の花/桑本栄太郎
溝川の流れに沿うように石蕗の花が咲いている。流れの音を「楽」と聞き、今花咲くことを楽しんでいる石蕗の花だ。(高橋正子)
[11月1日]
★店々にハロウィンの子ら声高く/内山富佐子
アメリカのハロウィンでは、仮想した子どもたちは、家庭を回ってお菓子などをもらうが、日本では、商店街を回って「トリック オア トリート」と言ってお菓子をもらうようだ。晩秋の楽しい行事だ。(高橋正子)
★名城を丸ごとつつむ空高し/福田ひろし
晴れわたる秋空の中に堂々と聳える名城。空は、名城をすっぽりと包んで高くある。正岡子規にも郷里松山の城を詠んだ句がある。「松山や秋より高き天守閣」(高橋正子)