◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

4月21日~30日

2016-04-21 09:45:49 | Weblog

4月30日(5名)

●谷口博望(満天星)
くれなゐの花とは言へず榛の花★★★
あちら向く瑠璃色深き翡翠かな★★★★
青鷺の長き口嘴遠眼鏡★★★

●迫田和代
春風と伴に競いて山歩き★★★
目をみはる鮮やか色新緑の★★★★
しゃぼん玉吹いてる心は空にあり★★★

●小口泰與
産土の浅間山雪解や農具市★★★★
ゆさゆさと千本桜雨の中★★★
初雷やいまだ目覚めぬ葡萄の木★★★

●桑本栄太郎
藁屋根の軒の深きや燕来る★★★★
曇りても眼に染む窓の若葉かな★★★
暮れなずむ西空赤く四月尽★★★

●河野啓一
子の年を振り返り居て鯉幟★★★★
鯉幟が泳いでいるのを見て、人はいろいろ思うだろう。あの家には男の子が生まれたのだな。何人子供がいるのだろうか、など。啓一さんは、ご自分に男の子が生まれたころを思い出し、その子の今の歳を振り返った。短くはない歳月だ。(高橋正子)

窓開けて涼風入れてドライブに★★★
藤棚に人影も見ず昼下がり★★★

4月29日(4名)

●谷口博望(満天星)
春惜しむ鴨の帰りし被爆川★★★
若葉風つがう椋鳥道連れに★★★
くれなゐの翼果飛び立つ若楓★★★★

●小口泰與
さえずりや雲に従う湖の色★★★★
山風や火の見櫓の烏の巣★★★
花楓二羽の雀の声高し★★★

●河野啓一
葱ぼうず身じろぎもせず春送る★★★★
葱ぼうずとなった葱は愚直なほど直立。身じろぎもしない。そして春を見送っている。ユーモアとどこかペーソスがある。(高橋正子)

陽光を青葉に貯めて柿若葉★★★
庭隅の紫蘭を摘んで活けてみる★★★

●桑本栄太郎
登校の児童一列花みづき★★★★
蕗を茹で灰汁(あく)か香りか匂い立つ★★★
学び舎の午後のチャイムや葱坊主★★★

4月28日(3名)

●谷口博望 (満天星)
銀杏咲き原爆像に日がこぼれ★★★★
マロニエ咲いて平和通りのど真ん中★★★
蝮より河童に見える蝮蛇草★★★

●小口泰與
たんぽぽや日は榛名嶺へ近寄らず★★★★
「日は榛名嶺へ近寄らず」の表現から、太陽が榛名山よりもはるか高く昇っている真昼間を思う。その裾野にたんぽぽが輝いて咲いているのどかな、時を止めたような風景。(高橋正子)

山頂や風に交りし花見鳥★★★
桃花菜小布施の里の繚乱と★★★

●桑本栄太郎
雨垂れの音を聞きつつ春惜しむ★★★★
惜別の音となりたる春の雨★★★
曇りても眼に染む窓の若葉かな★★★

4月27日(4名)

●谷口博望 (満天星)
ジャスミンの異国の匂い懐かしき★★★★
萎れたる展示のあとの牡丹かな★★★
道行の一人静は子を孕み★★★

●河野啓一
天守閣花終わりたる夕雲雀(原句)
花終わり天守の空の夕雲雀★★★★(正子添削)
天守を彩っていた桜が終わり、春もいよいよ酣。天守の空に雲雀が囀り、夕方の空が静かにも大いに楽しくなった。(高橋正子)

鴉追い子雀にやるパンの屑★★★
芦原に響くや淀の揚雲雀★★★

●小口泰與
雨後の庭白磁の如き落花かな★★★
畦塗や川沿い走る足尾線★★★
木の芽漬山家の壁の弓と槍★★★★

●桑本栄太郎
木斛の花や雨降る日もすがら★★★
緋と燃ゆる雨の霧島つつじかな★★★★
雲破れ日射し来にけり菜種梅雨★★★

4月26日(6名)

●谷口博望 (満天星)
八時十五分の鐘や棕櫚の花★★★★
八時十五分は、広島に原爆が投下された時刻だが、今も八時十五分に鐘が鳴らされているのだろうか。棕櫚はヤシ科の常緑高木。初夏の空高くに、黄白色の肉穂花序の花を垂れる。美しい花ではないが、空に鳴り響く鐘の音と共に、時代を忍ばせる雰囲気がある。(高橋正子)

遠くより離れて見たり朴の花★★★
花海桐患者行き交ふホスピタル★★★

●小口泰與
さらさらと坂駆け下る落花かな★★★
古草や榛名山(はるな)の入日はなやぎぬ★★★
若草や田川ぐいっと流れ来る★★★★

●河野啓一
家ごとの深き春見て戻り来る★★★
紅かなめ陽を反したる春ともし★★★
陽を集め水を集めて松葉独活★★★★

●桑本栄太郎
淀川の橋のあまたや春入日★★★★
みどり濃き河川公園芝青む★★★
緋と燃ゆる駅の霧島つつじかな★★★

●廣田洋一
海べりのビル霞みをるアルジェの朝★★★★
霞む海日を浴びて波光りけり★★★
海べりの道走りぬけ朝霞★★★

●川名ますみ
鉄線の花も莟も空を向く★★★★
鉄線の莟は、空を目指しているように思える。平らな花は空の中の花であろうとする。濃紫の鉄線は、春の空に似合う色であり、作者が投影された花であるように思う。(高橋正子)

莟より鉄線の花びらの端★★★
鉄線のつぼみの割れて濃紫★★★

4月25日(8名)

●廣田洋一
道の端ひと際高く薊咲く(原句)
道端にひと際高く花薊★★★(正子添削)

薊咲く工事現場の憂ひ顔(原句)
薊咲く工事現場を憂うかに★★★(正子添削)

タンポポの種ゆつくりと飛んでをり★★★★

●谷口博望 (満天星)
リュック背に鶯聞いて森に入る★★★★
ジャスミンや異国のホテル懐かしき★★★
花銀杏恋の成就は風まかせ★★★

●小口泰與
蒼天を映す水面や花林檎★★★★
ほろほろと桜散る朝鳥の声★★★
花楓新家の嫁の初々し★★★

●小川和子
道明寺菓子の香ほのと八重桜★★★
花吹雪舞うを行き交う人と愛づ★★★
まさしくも大地の匂う草を引く★★★★

●桑本栄太郎
乙訓の丘に夕日や花大根★★★
高槻の車窓過ぎゆくれんげ草★★★★
<熊本地震追悼句>
心せよ火の国雨のつつじ咲く★★★

●河野啓一
湖見ゆる丘の畑の梨の花★★★
朝風に揃いてそよぐ鯉幟★★★★
シャボン玉はかなき虹の美しき★★★

●佃 康水
菩提寺の牡丹や色を競い合い★★★ 
土塊を咥え反転つばくらめ★★★

山藤や木々に絡まり空へ揺れ★★★★
藤は、蔓を伸ばし花をつける。絡まる支柱がいるが、山藤はそばの木々に絡まり、力強く空へ向かい伸び花を付ける。意外にもたくましい藤の花は、目にさわやかで快い。(高橋正子)

●古田敬二
山の色映す田の面や初蛙★★★
美濃の山映す田の面や初蛙★★★★
青空の木の芽めがけて山斜面★★★

4月24日(4名)

●小口泰與
竹の秋田川の水の豊かなる★★★★
竹は春に葉を降らす。田植えが始まるころ、田川には水が奔放に走り、水の豊かさを知る。それが竹の秋の季節だ。(高橋正子)

朝礼や花吹雪舞う分教場★★★
みとりごの泣声は歌桃の花★★★

●谷口博望 (満天星)
ハンカチの花やいつかの夢の空★★★★
花筵弁当開く母と子と★★★
一木の花となるかに藤の花★★★

●河野啓一
キンセンカなお盛りなり春深き★★★★
チューリップ散り終え春を惜しみけり★★★
馬酔木また来る春を待つばかり★★★

●桑本栄太郎
時おりは母の恋しき春の雲★★★★
じゅりじゅりと歓喜の歌や燕来る★★★
大根の花や憂いの雨催い★★★

4月23日(6名)

●谷口博望(満天星)
遠足の女教師は子を叱り★★★
野遊びの金髪少年目立ちけり★★★
遠眼鏡見てて楽しき春小げら★★★★

●小口泰與
畑人へ鋭声発せし雉子かな★★★★
あけぼのの轍あふるる落花かな★★★
境内の足跡も無き花吹雪★★★

●迫田和代
白い雲ゆったり流れる春の空★★★
生まれた仔馬柔らそうに春の草★★★
葉桜の土手道ひかる緑色★★★★

●河野啓一
さわやかな緑の芽吹き朝の庭★★★
ゆたけくて玄関飾る君子蘭★★★
葉桜や若葉の風とともに伸び★★★★

●桑本栄太郎
すかんぽの赤き穂の伸ぶ雨催い★★★★
「スイバ」のことを「すかんぽ」と呼ぶ地方もある。スイバの赤い穂が野原に目立つころは、雨催いの天気が続く。曇り、時ににわか雨、曇りのち雨、などの天気予報も毎日のようだ。穀雨のころの季節がよく詠まれている。(高橋正子)

棚下にすわり眠気や虻の昼★★★
御衣黄の花の終いや紅乗せて★★★

●多田有花
深き頂を通り過ぎる風★★★
青き島浮かべ晩春播磨灘★★★
八重桜絶え間なく散る正午かな★★★★

4月22日(6名)

●河野啓一
チャイム鳴る届く朝の筍が
チャイム鳴り朝の筍届けらる★★★★(正子添削)
仔雀と親雀かなベランダに★★★
スイートピーそっと入れたる乳母車★★★

●谷口博望(満天星)
楪の若葉に花の咲きにけり★★★
竹の子の天をもにぎるきおいあり★★★★
緑立つアメリカ楓に昼の月★★★

●小口泰與
たんぽぽの開くや今朝の鳥の声★★★★
あけぼののあえかに雨の赤八汐★★★
山桜愛車に犬と妻を乗せ★★★

●桑本栄太郎
乳母車の通りゆく日や躑躅燃ゆ★★★★
躑躅があかあかと燃え咲くところを乳母車が通り過ぎる。燃える躑躅の強さ、乳母車のやさしさ。その二つが生命の強さとやさしさを象徴している。(高橋正子)

あおぞらの葉蔭にありぬ花楓★★★
御衣黄の花の終わりや紅乗せて★★★

●川名ますみ
白きまま葉を載せており八重桜★★★
麻服の皺まっすぐに母立ちぬ★★★
若芝にパンダの親子背を汚し★★★★

●古田敬二
一直線丘の上なる初燕★★★★
一直線鳥影引いて初燕★★★
自由という弧を描きつつ燕飛ぶ★★★

4月21日(7名)

●満天星
石楠花の葉は羽根となり宙を飛ぶ★★★
フルートの優しき音色花梨咲く★★★★
花咲きしアベマキの木に川鵜啼く★★★

●古田敬二
人待てば窓外春光美人過ぐ★★★★
大玻璃戸春の陽受けて美人行く★★★
美人過ぐ窓外春の陽受けて★★★

●小口泰與
ピィーと鳴く鳥の数多や朝桜★★★★
淡雪や子猫の肉球ぽにょぽにょと★★★
遅桜棚田へ水のごうごうと★★★

●廣田洋一
藤一樹塀の外まで房垂らす★★★★
参道を吹き抜く風に藤の花★★★
日を浴びて紫匂ふ藤の棚★★★

●佃 康水
火の国の地震を憂うや朧の夜★★★★
このたびの熊本の地震は一週間以上も続く、これまで経験のない地震。こんな地震災害がある夜でも、朧月が美しくかかっている。それを感じる心が、被災者や被災地を憂う心をなお深くしている。難しい題材だが、自然な詠みに心情がくみ取れる。(高橋正子)

蛇の目傘貰う大輪緋の牡丹★★★
トロ箱の苗運ばるる穀雨かな★★★

●桑本栄太郎
花みづき団地の窓をかざりけり★★★
生垣を越えて実の付くゆすらうめ★★★
わらわらと風の木蔭や花は葉に★★★★

●河野啓一
北摂の地は耀きてつつじ咲く★★★
藤の花今日は家内の誕生日★★★★
雨呑みて尾のしだるるや鯉幟★★★
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●自由な投句箱/4月11日~20日●

2016-04-11 10:32:19 | Weblog

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
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今日の秀句/4月11日~20日

2016-04-11 10:31:36 | Weblog

[4月20日]

★タンポポの種飛ぶ吾も旅支度/廣田洋一
タンポポの種も飛び立つから私もそろそろ旅へ。ひょうひょうとした軽さがいい。(高橋正子)

★子ら遊び踏みし跡ある蓮華草/祝 恵子
蓮華草が咲いている田や野を見つけると、入って遊んでみたくなるのは大人になっても変わらないだろう。子どもなら、実際に実行する。やっぱり入って遊んだのだという作者の思いと、子供たちのほほえましさ。(高橋正子)

[4月19日]

★森が鳴る音に包まれ春山路/多田有花
風のある日、春の山路に入ると、風がごうごうと吹いている。森が鳴っている。それほど山中に風が吹いているとは想像しにくいが、森を吹く風の量には驚く。(高橋正子)

[4月18日]

★紫雲英咲く畔道高き鳥の声/河野啓一
この句は、「紫雲英咲く畔道」と「高き鳥の声」に分かれ、いわゆる句またがりの句。紫雲英の花が畦道に咲き、鳥が元気よく鳴いている。半日をこんなところで過ごしたら、どんなに良いだろうか。日本の長閑な大切な風景。(高橋正子)

[4月17日]

★八重桜のつくる木陰に縦列駐車/多田有花
八重桜が咲くころは春の酣。気温も上がり、日の光も強くなる。八重桜が木陰を作るところへ車が縦列に並ぶ。気候条件だけでなく、人が八重桜の下に車を止めたい気持ちもあるだろう。それで、こんな光景になった。(高橋正子)

[4月16日]

★銀杏の芽已にその葉のかたちして/川名ますみ
銀杏の芽吹きはほかに木々に少し遅れる。桜が散るころになると、成長した銀杏の葉と同じ形の小さな葉が芽吹く。小さな葉が成長した葉そっくりで、かわいくほほえましい。(高橋正子)

[4月15日]

★ふらここを漕ぐ子らよ跳べ高みまで/小川和子
ふらここ、つまり、ぶらんこを子どもたちが漕いでいる。だんだんと勢いづくのを見ているうちに、高い空まで漕いでくれよ、空の中の子どもとなってくれよと、思いが膨らみ、やがて子どもは、幼いころの自分と重なる。(高橋正子)

[4月14日]

★花弁を浮かべて光る苗代田/廣田洋一
苗代に張られた水に桜の花びらが浮かび、陽を受けてまっ平らに光っている。散った花、太陽に光る苗代の水。季節の繊細な変わり目がよく表現されている。(高橋正子)

★谷深し桜一片散る速度/古田敬二
谷に散る桜の一片の行方を見ておれば、谷が深いことゆえの速度が面白い。一片の散る花びらに谷がますます深く、大きな自然が思える。(高橋正子)

[4月13日]

★ 鳥引くと便り来たれり薩摩より/河野啓一
「薩摩」という地名が効いた。鳥引くという「便り」であれば、南のくにの「薩摩」がいい。「春来る」のいい便りが届いたのだ。「鳥引く」は「鳥帰る」のこと。(高橋信之)

[4月12日]

★下りゆくだらだら坂や揚ひばり/桑本栄太郎
だらだらと長閑に下ってゆく坂道に、下って行く人とは逆に、ひばりが鳴きながら空へ揚がってゆく。揚げひばりの声は、西洋の詩人には歓喜の歌と聞こえる。よい洛西の散策だったと思われる。(高橋正子)

[4月11日]

★初つばめ畦川の水走り出す/小口泰與
つばめが来たうれしさが、生きいきとした季節が来たうれしさが、「畦川の水走り出す」によく表されている。畦川は田んぼを巡って流れている浅い小さな小川。田植えの準備が進んで、水が走り出している。
いい季節だ。(高橋正子)
コメント (11)
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4月11日~20日

2016-04-11 10:28:25 | Weblog

4月20日(7名)

●谷口博望(満天星)
カラフルな雨傘さして牡丹咲く★★★
白牡丹めしべは紅の実を孕み★★★
松の花池に揺蕩う影に鯉★★★★

●小口泰與
里山の鳥を産み出す桜かな★★★
木のもとへ画布をたてけりしゃぼん玉★★★★
のどけさやチップスターのまるき筒★★★

●廣田洋一
花の毬ときに重たき八重桜★★★
校庭に子らの声湧く八重桜★★★

タンポポの種飛ぶ吾も旅支度★★★★
タンポポの種も飛び立つから私もそろそろ旅へ。ひょうひょうとした軽さがいい。(高橋正子)

●古田敬二
丘に来て蒲公英の絮街へ吹く★★★★
遠望のビルへ蒲公英の絮を吹く★★★
蒲公英の絮吹く平和の落下傘★★★

●河野啓一
春光の野山に街に煌めきて★★★
千里丘陵筍掘りの季節かな★★★
藤棚の花穂短くて少し揺れ★★★★

●祝恵子
子ら遊ぶ踏みし後あり蓮華草(原句)
子ら遊び踏みし跡ある蓮華草★★★★(正子添削)
蓮華草が咲いている田や野を見つけると、入って遊んでみたくなるのは大人になっても変わらないだろう。子どもなら、実際に実行する。やっぱり入って遊んだのだという作者の思いと、子供たちのほほえましさ。(高橋正子)

日の当たり蚕豆厚く膨らみぬ★★★
からまりて鉄線のぼり花を待つ★★★

●桑本栄太郎
詰草を手に園児等の散歩かな★★★★
木蔭なる三葉つつじや風の道★★★
丁度良き木蔭となりぬ藤の棚★★★

4月19日(8名)

●河野啓一
見上げれば燃え盛りいて樟若葉★★★
町並みを吹き抜けてゆく若葉風★★★★
草の芽の伸び極まりて春は逝く★★★

●小口泰與
星おぼろ百年続く銘菓かな★★★
遅き日や俳句俳句の我が時間★★★
揚ひばり農に昭和を生きし祖父★★★★

●満天星
花あけび紫色を実に託し★★★★
葉桜に椋鳥の群れ闊歩して★★★
さみどりのアメリカ楓に昼の月★★★

●廣田洋一
道の端赤く染めたる躑躅垣★★★★
道野辺の日陰に浮きし白躑躅★★★
たんぽぽの黄に染まりたる狭庭かな★★★

●多田有花
森が鳴る音に包まれ春山路★★★★
風のある日、春の山路に入ると、風がごうごうと吹いている。森が鳴っている。それほど山中に風が吹いているとは想像しにくいが、森を吹く風の量には驚く。(高橋正子)

春荒れに落ちたる枝を踏み歩く★★★
横笛を吹く人桜の下にあり★★★

●桑本栄太郎
青空の木洩れ日眩し藤の棚★★★★
御衣黄の八重の桜や女子寮に★★★
堰水の飛沫まぶしき春の昼★★★

●川名ますみ
ダリアの芽触れてみよとて差し出さる★★★
母が持つ鉢のダリアの芽を触る★★★★
ダリアの芽硬きが土の中にあり★★★

4月18日(5名)

●小口泰與
朝日差す渦巻く瀞へ落椿★★★★
初花の一房落とす鳥の声★★★
順光の桜の映ゆる空の色★★★

●谷口博望(満天星)
大島てふ白と緑の遅桜★★★★
初めての黄花木蓮かぐわしき★★★
ペンギンの吾子抱えたる水芭蕉★★★

●廣田洋一
葉に隠れひっそり咲きし灯台躑躅★★★
蕗の葉の裏返りおる露天風呂★★★★
川風に花弁の幕はためけり★★★

●河野啓一
紫雲英咲く畔道高き鳥の声★★★★
この句は、「紫雲英咲く畔道」と「高き鳥の声」に分かれ、いわゆる句またがりの句。紫雲英の花が畦道に咲き、鳥が元気よく鳴いている。半日をこんなところで過ごしたら、どんなに良いだろうか。日本の長閑な大切な風景。(高橋正子)

桜鯛跳ねる間もなし網の中★★★
夏めきて日ごと若葉の濃くなりぬ★★★

●桑本栄太郎
赤信号の交差点なり虻の昼★★★
エントランスに引越し荷物や花みづき★★★★
しべ降りて赤き地道の散歩かな★★★

4月17日(6名)

●小口泰與
揚ひばり長き裾野へ雲の影★★★★
山桜岩を越えゆく濁り水★★★
さえずりやキャンピングカーの展示会★★★

●河野啓一
能勢街道農産物盛る道の駅★★★
蚕豆をさっぱり茹でて缶ビール★★★★
いかなごのくぎ煮のかおり魚の棚★★★

●谷口博望 (満天星)
大いなる果実夢見る花梨かな★★★
蕾むまま黄心樹の花散り初みぬ★★★
矢返りを忘れし頃の初燕★★★★

●廣田洋一
葉桜や若き命の息吹かな★★★
葉桜や若かりし日々思い出す★★★★
葉桜やその葉に隠す恋心★★★

●桑本栄太郎
かさこそと春の落葉やうすみどり★★★
グランドの部活の声や花は葉に★★★
花みづき園児帰園のころとなる★★★★

●多田有花
八重桜のつくる木陰に縦列駐車★★★★
八重桜が咲くころは春の酣。気温も上がり、日の光も強くなる。八重桜が木陰を作るところへ車が縦列に並ぶ。気候条件だけでなく、人が八重桜の下に車を止めたい気持ちもあるだろう。それで、こんな光景になった。(高橋正子)

春荒れや地震襲いし地を思う★★★
春嵐去り白雲の疾走す★★★

4月16日(7名)

●廣田洋一
春深し二日がかりの地震生れる★★★
これは大地のテロなりや春の地震★★★
春寒し揺れる大地に夜を明かす★★★★

●迫田和代
葉桜になった土手道人まばら★★★★
囀りで地震の二ユース木の上で★★★
春野より明るく響く春の歌★★★

●小口泰與
花吹雪鯉のあぎとう夕まずめ★★★
里山の初花囃す風の中★★★
山里の田川や今朝の雪解風★★★★

●河野啓一
種まきや勿忘草の昔かな★★★
ようやくに萌え出すあかね樟若葉★★★★
故郷の庭遠くなり勿忘草★★★

●川名ますみ
銀杏の芽已にその葉のかたちして★★★★
銀杏の芽吹きはほかに木々に少し遅れる。桜が散るころになると、成長した銀杏の葉と同じ形の小さな葉が芽吹く。小さな葉が成長した葉そっくりで、かわいくほほえましい。(高橋正子)

よりひらき陽を浴びむとす白躑躅★★★
通院にカメラ携え木の芽晴★★★

●桑本栄太郎
<新山口駅前>
笠ふかき山頭火の像春愁う★★★★
其中庵の案内看板春の昼★★★
地酒とて”山頭火”とや春の駅★★★

●谷口博望(満天星)
著莪の花筧の音に震いたり★★★★
大輪のポピーの花や紙の様★★★
二年越しの再会やリラの花★★★

4月15日(5名)

●河野啓一
柿若葉きずな保ちつ空に伸び★★★
やわらかな朝の光や木々芽吹く★★★
雪柳門辺に揺らせ静かなる★★★★

●小口泰與
一輪の花の開花を見つけたり★★★
初花や今朝の赤城の彫り深し★★★★
肩に背負うギターケースや春の鳥★★★

●桑本栄太郎
<新山口駅にてS・L見学>
野に山に汽笛遠のく春思かな★★★
幼子の機関車見学春うらら★★★★
機関車の前でピースや春の昼★★★

●小川和子
ふらここを漕ぐ子らよ跳べ高みまで★★★★
ふらここ、つまり、ぶらんこを子どもたちが漕いでいる。だんだんと勢いづくのを見ているうちに、高い空まで漕いでくれよ、空の中の子どもとなってくれよと、思いが膨らみ、やがて子どもは、幼いころの自分と重なる。(高橋正子)

朝風に息づきおりし花林檎★★★
珈琲店出でて目に染む花みづき★★★

●多田有花
四手桜ふたたび雨となる気配★★★
桜散るころの一夜の雨嵐★★★★
心地よし霞桜に吹く風は★★★

4月14日(4名)

●小口泰與
畑人も知らぬ畷の雉子の巣★★★
春の夢のれんの紺の薄れけり★★★
揚ひばりテラスに二つ寝椅子かな★★★

●廣田洋一
花弁を浮かべて光る苗代田★★★★
苗代に張られた水に桜の花びらが浮かび、陽を受けてまっ平らに光っている。散った花、太陽に光る苗代の水。季節の繊細な変わり目がよく表現されている。(高橋正子)

苗代のさみどり清く伸びにけり★★★
懐かしや友の掻きたる苗代田★★★

●古田敬二
谷深し桜一片散る速度★★★★
谷に散る桜の一片の行方を見ておれば、谷が深いことゆえの速度が面白い。一片の散る花びらに谷がますます深く、大きな自然が思える。(高橋正子)

鳥影の梢に動けば桜散る★★★
雨あがる芽吹きの森のまぶしくて★★★

●桑本栄太郎
<京都から山口へ新幹線車窓>
草青む中洲さざれや吉井川★★★
岡山を出でてうす紅桃の花★★★★
トンネルを出でてトンネル山笑う★★★

4月13日(4名)

●谷口博望(満天星)
水色の蕊爽やかに花水木★★★★
八重桜白腹も来て見上げたる★★★
花蘇芳の向こうに翡翠ビデオ撮る★★★

●小口泰與
渡良瀬川(わたらせ)の菜の花明り蒼き空★★★★
もくれんの雀や朝の地震定か★★★
青柳を借景として桃の花★★★

●桑本栄太郎
麗かに街道ゆけば虫篭窓★★★
街道の郷倉(ごうぐら)白く桃の花★★★★
ふるさとは遠くになりぬ啄木忌★★★

●河野啓一
鳥引くと便り来たれり薩摩より★★★★
「薩摩」という地名が効いた。鳥引くという「便り」であれば、南のくにの「薩摩」がいい。「春来る」のいい便りが届いたのだ。「鳥引く」は「鳥帰る」のこと。(高橋信之)

先達の足跡踏んで芽吹き山★★★
落ち椿直ぐに鳥来る門辺かな★★★

4月12日(5名)

●谷口博望(満天星)
糸桜番う軽鴨睦みつつ★★★
美しきうなじを見たり花海棠★★★
晩鐘や桜蕊踏む散歩道★★★★

●小口泰與
あけぼのの風にほぐるる楓の芽★★★★
青柳や川瀬にまじる鳥の声★★★
朝寝せりもろ鳥の鳴く雑木山★★★

●河野啓一
さみどりの聖火や空の欅若葉★★★
保育園定数足りず柿若葉★★★
芽吹く木に眩しき朝日鳥の声★★★★

●廣田洋一
紅色の鈴垂れしごと花海棠★★★
海棠や読経の声に眼を覚まし★★★★
紅さして濁世受け入れ花海棠★★★

●桑本栄太郎
<同期四人による洛西散策>
数条の飛行機雲や花菜晴れ★★★
街道の辻の古木た桜散る★★★

下りゆくだらだら坂や揚ひばり★★★★
だらだらと長閑に下ってゆく坂道に、下って行く人とは逆に、ひばりが鳴きながら空へ揚がってゆく。揚げひばりの声は、西洋の詩人には歓喜の歌と聞こえる。よい洛西の散策だったと思われる。(高橋正子)

4月11日(4名)

●谷口博望(満天星)
烏来るメタセコイヤの巣の中へ★★★
蒲公英の綿毛さわれば風に飛ぶ★★★★
花曇朽木に今日も翡翠来る★★★

●小口泰與
初つばめ畦川の水走り出す★★★★
つばめが来たうれしさが、生きいきとした季節が来たうれしさが、「畦川の水走り出す」によく表されている。畦川は田んぼを巡って流れている浅い小さな小川。田植えの準備が進んで、水が走り出している。
いい季節だ。(高橋正子)

山風を含みあえかな牡丹の芽★★★
揚ひばり田川の流れらんらんと★★★

●廣田洋一
花びらの波を打ちつつ道渡る★★★★
ザリガニを捕りたる池や春惜しむ★★★
赤白黄整列しをるチューリップ★★★

●河野啓一
松原に句碑ある浜辺春の潮★★★
空高く伸び行く欅若葉かな★★★★
今は昔浜寺公園貝拾い★★★
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●自由な投句箱/4月1日~10日●

2016-04-10 09:53:31 | Weblog

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
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