◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/4月1日~10日

2016-04-01 09:55:46 | Weblog

[4月10日]

★目の慣れて早や手に余る蕨狩り/佃 康水
蕨狩りに出かけてたが、はじめのうちは、蕨もなかなか見つからない。しばらくすると、辺りに目が慣れて、そこにも、ここにもと蕨が見つかる。あっという間に手に握れないほどになっている。楽しい蕨狩りだ。(高橋正子)

★鯉幟少し泳ぎて風を待つ/廣田洋一
鯉幟は、風を待って泳ぎだす。風が少し吹けば少し泳いで、さらに大きな風を待つ。大空を勇ましく泳ぎたい鯉幟。(高橋正子)

[4月9日]

★蘖の大地の力まのあたり/満天星
木の切り株や根元から緑の若芽がどんどんと芽生える様子を見ていると、木の力というよりも、木が水や栄養を吸い上げる大地の力をまのあたりに見る思いだ。(高橋正子)

[4月8日]

★いずこにも花びらのある山路かな/多田有花
山路を辿る。どこの山路を通っても、花びらが散っている。辺りのどこかに桜の花がさいているのだ。遠くから山桜を眺めれば、絵に描いたように山にピンクが点在するが、山路に入れば、花びらが散っているのだ。(高橋正子)

[4月7日]

★若者の闊歩するかな柿若葉/河野啓一
柿若葉が黄緑の柔らかな葉を広げるころ、若者たちの服装も軽快になり、新生活を踏み出すものもいて、街を闊歩する姿も多くみられる。すがすがしい青年らしさがあっていい。(高橋正子)

[4月6日]

★新調の軽ろきシューズや揚ひばり/桑本栄太郎
新調されたものを身に着けるのはうれしいものだが、「揚ひばり」がその気持ちをよく表していて、明るい実感が伴っている。(高橋正子)

[4月5日]

★母逝きて七回忌とう花に集う/小川和子
この句の季語は、「花」であり、俳句で「花」といえば、「桜の花」をさす。「桜の花」には、日本人特有の価値観、日本民族特有の美意識がある。「もののあはれ」などといった無常観で、「いっせいに咲いてすぐに散ってゆく桜の花」である。母の七回忌の供養に相応しい「花」となったことであろう。(高橋信之)

[4月4日]

★花菫低く咲かせて風清し/小川和子
「花菫」を上手く捉えた。「風清し」がいいのだ。作者の内面をいい風が吹きすぎた。(高橋信之)
(高橋信之)

[4月3日]

★咲き満ちる桜を鳥の枝移り/佃 康水
「咲き満ちる桜」と「枝移りする鳥」とのいい取り合わせだ。正に春爛漫の景である。(高橋信之)

[4月2日]

★海風と伴に匂えるミモザの香/迫田和代
「海風」と伴にあれば、「ミモザの香」に広がりがあり、深みがある。いい句だ。(高橋信之)

[4月1日]

★利根川の渦巻く瀞や花辛夷/小口泰與
とうとうと流れる利根川にも瀞があって、水流に渦巻いている。その渦からは、風もまいあがっているだろう。そこに辛夷が咲き、花びらを震わせている。瀞の渦の強さ、辛夷の花の繊細さがいい景色をなしている。(高橋正子)
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4月1日~10日

2016-04-01 09:55:03 | Weblog

4月10日(7名)

●谷口博望(満天星)
色恋うて土手に花咲く紫荊★★★
ツツピンと甘茶所望の四十雀★★★
花吹雪鴨の帰りし城の堀★★★★

●小口泰與
うぐいすやささら波たつ山上湖★★★
次次に雲影行くや木瓜の花★★★★
我を見て飛びつく犬や桃の花★★★

●古田敬二
合格の孫へ花束風光る★★★★
空に揺れ楢の梢に芽吹き風★★★
春遅き鈴鹿の風の強く吹く★★★

●廣田洋一
鯉幟少し泳ぎて風を待つ★★★★
鯉幟は、風を待って泳ぎだす。風が少し吹けば少し泳いで、さらに大きな風を待つ。大空を勇ましく泳ぎたい鯉幟。(高橋正子)

チューリップ花弁一つ残しをり★★★
口説かれて喜び顔や春の風★★★

●河野啓一
うす赤く芽吹きて庭のきんもくせい★★★
花冷えの名残りやタオル膝に掛け★★★
白蓮の旬日見ざるに散り果てし★★★★

●佃 康水
目の慣れて早や手に余る蕨狩り★★★★
蕨狩りに出かけてたが、はじめのうちは、蕨もなかなか見つからない。しばらくすると、辺りに目が慣れて、そこにも、ここにもと蕨が見つかる。あっという間に手に握れないほどになっている。楽しい蕨狩りだ。(高橋正子)

五橋へと誘う街道花の雲★★★
紅枝垂背にポーズとるランドセル★★★

●多田有花
さくらさくら散りやまず散りやまず★★★★
回り道して花びらの散る中を★★★
花びらを浴びたくて通る花の下★★★

4月9日(4名)

●河野啓一
しっかりと雨にも耐えて花満開★★★
柿若葉早も小鳥がやってきて★★★
渦潮をどんと乗り越え桜鯛★★★★

●小口泰與
畑人へ鋭声ひと声雉子かな★★★
山風の古墳を囃す蓬かな★★★
眼間は奇岩の山や蛙の子★★★★

●迫田和代
何となく思い出の寺仏生会★★★
風と雨土手の桜よさようなら★★★★
仏生会背中合わせの稚児の列★★★

●満天星
蘖の大地の力まのあたり★★★★
木の切り株や根元から緑の若芽がどんどんと芽生える様子を見ていると、木の力というよりも、木が水や栄養を吸い上げる大地の力をまのあたりに見る思いだ。(高橋正子)

姿なき鶯鳴いて天の声★★★
初蝶の音符のやうに飛び行けり★★★

4月8日(3名)

●河野啓一
雨風にしっかと耐えし花仰ぐ★★★★
畑隅に揺れて輝く花大根★★★
チューリップ次はこの色植えようか★★★

●小口泰與
小刻みに翅をふるいつ雀の子★★★
靴先に落花のせたる朝かな★★★
春蝉や湖曇れども波まぶし★★★★

●多田有花
いずこにも花びらのある山路かな★★★★
山路を辿る。どこの山路を通っても、花びらが散っている。辺りのどこかに桜の花がさいているのだ。遠くから山桜を眺めれば、絵に描いたように山にピンクが点在するが、山路に入れば、花びらが散っているのだ。(高橋正子)

満開の桜に別れを告げる雨★★★
春落葉踏んで城主の墓の前★★★

4月7日(6名)

●小口泰與
山独活や川瀬にまじる鳥の声★★★★
花の雲野点の人の紺がすり★★★
畑人も野良着を脱ぎて花の友★★★

●廣田洋一
躑躅花遠慮深げに咲きにけり★★★
雨空を明るくしをる躑躅かな★★★★
黒黴や黴の字の中入り込み★★★

●河野啓一
はんなりと霞める丘の花の雲★★★
曇り空背にし跳ねるや柿若葉★★★

若者の闊歩するかな柿若葉★★★★
柿若葉が黄緑の柔らかな葉を広げるころ、若者たちの服装も軽快になり、新生活を踏み出すものもいて、街を闊歩する姿も多くみられる。すがすがしい青年らしさがあっていい。(高橋正子)

●桑本栄太郎
初つばめ鳴いて祇園の軒端かな★★★★
むらむらと何か背筋に木の芽どき★★★
宇宙人と見ゆやマスクの花粉症★★★

●高橋秀之
机の上観葉植物新芽ふく★★★★
岸壁に春の嵐の波高く★★★
休み今日で終了ほっとする★★★

●満天星
山路来て羊歯の萌えたる茶屋の裏★★★
寄り添うて城の石垣菫草★★★
はなももやヒロシマの街展望す★★★★

4月6日(6名)

●古田敬二
春愁の理由の一つに戦争法★★★
山笑う飛騨川沿いに列車行く★★★
桜には青空似合うと妻がいう★★★★

●小口泰與
石仏の見えし棚田や春の鳥★★★★
熊ん蜂黄な粉を付けし顔とかお★★★
夜桜や相馬が原も静もれる★★★

●廣田洋一
街路樹を取り巻き咲けり犬ふぐり★★★★
隣家より広がり来たり犬ふぐり★★★
星空の青く光りていぬふぐり★★★

●河野啓一
チューリップ赤三本で庭の華★★★
日を溜めてスノーフレーク揺れており★★★★
深草にスノーフレーク埋まりそう★★★

●桑本栄太郎
新調の軽ろきシューズや揚ひばり★★★★
新調されたものを身に着けるのはうれしいものだが、「揚ひばり」がその気持ちをよく表していて、明るい実感が伴っている。(高橋正子)

鉄塔と競い居りたり花の雲★★★
うつすらと田中に淡き紫雲英かな★★★

●多田有花
佇んで散る花びらを見上げおり★★★
見上げれば天を覆いし楓の芽★★★★
側溝に飛び込むところ初燕★★★

4月5日(6名)

●小口泰與
茎立や咫尺の丘の夫婦松★★★★
針金を落とす鴉や春の昼★★★
水温む犬の蹠のあたたかき★★★

●小川和子
この花が山吹ですかと訊ねられ★★★
咲き満ちて雪積もるごと桜散る★★★

母逝きて七回忌とう花に集う★★★★
この句の季語は、「花」であり、俳句で「花」といえば、「桜の花」をさす。「桜の花」には、日本人特有の価値観、日本民族特有の美意識がある。「もののあはれ」などといった無常観で、「いっせいに咲いてすぐに散ってゆく桜の花」である。母の七回忌の供養に相応しい「花」となったことであろう。(高橋信之)

●河野啓一
花びらの透き通りたる雨上がり★★★★
堀端の桜花見んとて集まれり★★★
あちこちに花満開の天守閣★★★

●廣田洋一
雪柳雪崩のごとくなぞへ揺れ★★★
夜道にて白く浮かぶは雪柳★★★★
雪柳小さき笑顔連ねをり★★★

●桑本栄太郎
風に乗り風に彷徨い紋黄蝶★★★
茎の伸び春風纏う仏の座★★★★
たんぽぽの絮の旅立つ構えかな★★★

●古田敬二
夕暮れの風にゆらゆら雪柳★★★
まぶしさを風に揺らして雪柳★★★
鳩啼いて芽吹きの一日暮れにけり★★★★

4月4日(6名)

●小口泰與
菜の花や腰に付けたる万歩計★★★★
春出水工業団地すぐそこに★★★
黒塀をとんとんとんと春の禽★★★

●満天星
居残りの金黒羽白桜雨★★★
桜雨大きはなびら手のひらに★★★★
雨降れば、快い驚きがある。それも自身の五体での体験であれば、なおさらである。眼で見て、手のひらに触れての「大きはなびら」の快い驚きである。(高橋信之)

手のひらの睫毛の長き桜蕊★★★

●廣田洋一
はらはらと花弁の散るホームかな★★★
雨の朝桜降り止む並木道★★★
雨空に色濃くなりし桜かな★★★★

●小川和子
たおやかに瑞枝の揺るる糸ざくら★★★
花菫低く咲かせて風清し★★★★
「花菫」を上手く捉えた。「風清し」がいいのだ。作者の内面をいい風が吹きすぎた。(高橋信之)

花冷えの空へと深し樹木林★★★

●桑本栄太郎
白れんの朽ちて旅立つ芸大生★★★★
うぐいすの方言なるや”ホーケチョビー”★★★
東京の空の曇りや連翹忌★★★

●川名ますみ
壕端のしろつめくさの辺り浮く★★★
さくら撮るスーツそちこち昼休み★★★★
曇天へ辛夷の白のひいやりと★★★

4月3日(6名)

●古田敬二
白きものモンシロ木蓮雪柳★★★
新しき空へ広がり楢芽吹く★★★★
高山へ行く鉄路脇山桜★★★

●小口泰與
山茱萸へ太き雨脚斜にさせし★★★
花と桃声おろしたる小舟かな★★★★
中七の「おろしたる」は、主題の「花と桃」を楽しくさせている。作者の楽しい思いでもある。下五の「小舟」であるのも「花と桃」に似つかわしい。(高橋信之)

白石川(しらいし)の花見舟をや仕立てける★★★

●廣田洋一
目出度しや後期高齢者となりにけり★★★
ふらここや花弁留まりて風を待つ★★★★
ぶらんこや高く漕がんと地に向かふ★★★

●河野啓一
春風や河内平野の若ごぼう★★★★
春朝餉茶がゆでありし日曜日★★★
花の雨宴の日には上がれよと★★★

●桑本栄太郎
風に乗り風に流さる紋黄蝶★★★
座り込み畑の仕事や蝶の昼★★★
野道ゆく親子ふたりや春休み★★★★

●佃 康水
咲き満ちる桜を鳥の枝移り★★★★
「咲き満ちる桜」と「枝移りする鳥」とのいい取り合わせだ。正に春爛漫の景である。(高橋信之)

青き踏み広島城の鳥探る★★★ 
川堤さくらさくらへ人移る★★★

4月2日(4名)

●小口泰與
輪になりし赤白帽よ花の昼★★★★
下五の「花の昼」がいい。やさしさのある句だ。季語の「花」がこの句のしっかりとした主題となっている。(高橋信之)

園児らの駆け来る丘や花の昼★★★
餌台を襲う羽音や春火鉢★★★

●迫田和代
窓を開け眼でする散歩の艶やかさ★★★
人溢れ川土手の桜今見ごろ★★★
海風と伴に匂えるミモザの香★★★★
「海風」と伴にあれば、「ミモザの香」に広がりがあり、深みがある。いい句だ。(高橋信之)

●廣田洋一
纏振り春通り初め段葛★★★
巫女二人掃き清めける春の塵★★★
川沿いの桜並木を乳母車★★★★
「川」、「桜」、そこには乳飲み子もいて、みずみずしく、そして大きな句となった。(高橋信之)

●桑本栄太郎
ムスカリの花壇に憂う保育園★★★
大根の打ち棄てられて茎立ちぬ★★★★
「打ち棄てられて」いても、命のあるものには、勢いがあって、成長するのだ。(高橋信之)

韮の愁いを翳す野面かな★★★

4月1日(4名)

●小口泰與
利根川の渦巻く瀞や花辛夷★★★★
とうとうと流れる利根川にも瀞があって、水流に渦巻いている。その渦からは、風もまいあがっているだろう。そこに辛夷が咲き、花びらを震わせている。瀞の渦の強さ、辛夷の花の繊細さがいい景色をなしている。(高橋正子)

市中はシャッター街や鳥雲に★★★
近づきて見る雪しろの瀞の渦★★★

●廣田洋一
春四月見慣れぬ人の多き朝★★★★
四月馬鹿その前の日に入社式★★★
四月馬鹿笑い出すのがちと遅れ★★★

●谷口博望(満天星)
鯱の尾鰭は天へ鳥交る★★★
花曇城の石垣翡翠飛ぶ★★★★
囲碁の才なくてやめれぬ四月馬鹿★★★

●桑本栄太郎
身を寄する祇園の軒や花の雨★★★
花あはれ散るべくもなく雨しとど★★★★
万愚説かさね早くも孫三歳★★★
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