◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

4月11日~20日

2019-04-14 12:05:12 | Weblog

4月20日(4名)

小口泰與
我が郷は赤城根っこしつばくらめ★★★
さえずりや浅間南面斑なり★★★
松籟に乗りてふわりと雀の子★★★★
「ふわりと」が子雀のかわいらしさをよく表現している。松籟との取り合わせも、すっきりとしていていい。

多田有花
<湖北・海津大崎三句>
お花見や湖北の駅に降り立ちぬ★★★
満開の桜湖岸を縁取りぬ★★★★
奥琵琶湖残雪の山遠望す(原句)
一読してイメージが纏まりにくいので、添削しました。
残雪の山遠望に奥琵琶湖★★★★(正子添削)

廣田洋一
厚化粧の熟女の如し八重桜★★★
斎場や塀際に散る八重桜★★★
桜並木どんじり締める八重桜★★★

桑本栄太郎
ぐずぐずの飛行機雲や春の空★★★
それぞれの花色選び蝶の昼★★★★
蝶が花から花へ飛ぶ真昼。見ておれば、それぞれの蝶は、それぞれの花色を選んでいるように、同じ色の花から花へ移る。蝶と私との楽しい昼。(高橋正子)
散りしきる傍へ咲き初む八重桜★★★

4月19日(4名)

小口泰與
うぐいすや棚田の水の満ちにける★★★★
棚田に水が満たされ、田植えの準備が次第に整う頃、田水を震わすようにうぐいすが美声を響かせる。山田ののどかな風景がこれからも続くことを祈りたい気持ちになる。(高橋正子)
菜の花や千曲流るる詩の里★★★
青空へ万朶の花や鳥の声★★★

多田有花
頂の小楢の芽吹き銀色に★★★★
芽吹きが「銀色に」というのが、いい。芽吹いたばかりは、緑ではなく、銀色。ういういしさに輝いている。(高橋正子)

囀りの山より見やる沖青し★★★★
坂下る桜吹雪を浴びながら★★★

廣田洋一
白藤や斎庭を香り満たしをり★★★
房の先未だ開かぬ藤の花★★★
小さき風ゆったり揺れる藤の房★★★★

桑本栄太郎
放課後のドッジボールや春嵐★★★★
若芝の足裏(あうら)ふかふか跳ねいたり★★★
入園のすでに過ぎたりすみれ咲く★★★

4月18日(4名)

多田有花
風のたび空へ花びら放ちおり(原句)
花びらからみれば、「放ちおり」ではなく、「放たれる」ではないでしょうか。
風のたび空へ花びら放たれり★★★★(正子添削)
咲き満ちた花も散り始める時期が来て、風が吹くたびに花が枝から放たれる。さびしさも微かに花が散る。(高橋正子)

花吹雪視線あげれば遠き島(原句)
「花吹雪」と「視線あげれば」の情景がよくわからないです。
花吹雪視線の先の遠き島★★★★(正子添削)

絶え間なく花びら降り注ぐ山路★★★

小口泰與
わたらせのトロッコ列車桃の花★★★
せめぎ合う激しき鋭声百千鳥★★★
うぐいすやボート漕ぎ行く山上湖★★★★

廣田洋一
ちょんちょんと何か啄む雀の子★★★
丸まりて辺り見回す雀の子★★★★
鳥かごには落ち着かざりし雀の子★★★

桑本栄太郎
さくら蘂降るや地道の川辺行く★★★
川に添い鳶の高舞い風光る★★★★
すかんぽの赤き穂が伸び夕暮るる★★★

4月17日(5名)

小口泰與
溶岩原の広漠とあり麦青む★★★★
溶岩原は、広漠として、麦が青んでいる。心が伸び伸びする景色だ。群馬県は国内でも最大の麦の産地と聞く。その産地もこんな景色から生まれるものであろう。(高橋正子)

噴煙の韋駄天走り花りんご★★★
たんぽぽや赤城七峰靄の中★★★

多田有花
青空に映えし桜と甍かな★★★★
鳥になり潜り込みたし花のなか★★★
すでに風心地よきかな花の下★★★

廣田洋一
奈良漬や吉野の山の別れ霜★★★★
𠮷野に遊んだ。終霜の時期は、京都で4月9日といわれるが、吉野の山の別れ霜も、おおよそその頃であろうか。桜が満開の季節と重なるかよくわからないが、下千本、中千本、奥千本と咲く桜の楽しみのなかに、奈良漬の添えられた食事は、渋くていい味わいかも。奈良の奈良漬は特別美味しい印象がある。(高橋正子)

霜の別れとつくに済ませ湘南は★★★
白々と別れ霜なり狭庭かな★★★

桑本栄太郎
花屑の祇園白川勇歌碑★★★
花屑の酔いたるようにうすき紅★★★
笹の葉の天より降りぬ竹の秋★★★★
竹は、春に葉を入れ替えて落とす。それを竹の秋というが、歩いていると、高いところからひらひらと竹の葉が舞い落ちる。軽い竹の葉は、天から降ってくるように思える。(高橋正子)

古田敬二
蒼天がこぼすネモフィラ紫に★★★
蒼天の色がこぼれてネモフィラに★★★★
ネモフィラはオオイヌノフグリを大きくしたような青い花。公園や丘陵などに一面に植えられ、今や親しい花となっている。蒼空の色とグラデーションをなして、見事でいる。「蒼天の色がこぼれ」たのだと思える。(高橋正子)

残る鴨二匹そろいて水脈を引く(原句)
残る鴨二羽がそろいて水脈を引く★★★★(正子添削)

4月16日(5名)

小口泰與
うぐいすや暁の厨の忙しかり★★★
夕映えの一朶の雲や花あんず★★★
洋洋と榛名湖蒼き春日傘(原句)
洋々と榛名湖蒼し春日傘★★★★(正子添削)

多田有花
花びらの先に伸び行く飛行機雲★★★
桜咲く絶えず小鳥をとまらせて★★★★
桜の密を吸いに小鳥がやってくる。満開の花には、入れ替わり小鳥がやってくる。「絶えず」やってくる。うららかな春の日が快い。(高橋正子)

こんな見事な桜をひとりで見る★★★

廣田洋一
白き紐ゆらゆら揺れる雪柳★★★
零れさうでこぼれぬ花や雪柳★★★★
せせらぎのたゆみなき音雪柳★★★

古田敬二
春水分け真鯉緋鯉が餌による★★★★
塗りたての畔真昼の日を返す★★★★
田を打ち終わりいつでも植えられるようになると、田の水が漏れたりしないように、田の泥土で塗り固める。塗ったばかりの畔は日をてらてらと日を返して、見事である。この見事さは、営々と続いて来たもの。(高橋正子)

走り去る車の風やすみれ咲く★★★

桑本栄太郎
花屑の酔いたるようにうすき紅★★★
せせらぎへ枝の残花や高瀬川★★★
花屑の風にたゆとうにわたずみ★★★★

4月15日(5名)

小口泰與
山風に白波立ちて蝌蚪の紐★★★
背景は真っ青な空嶺桜★★★★
いざ跳ばん草掴みたる初蛙★★★

多田有花
静かなる古刹は花にあふれおり★★★★
古刹の桜は大木であろう。訪れる人もなく、ただ花があふれる古刹。静かさがあふれ咲く桜を引き立てている。その花をひとりじめして楽しむ作者が見える。(高橋正子)
山桜その大きさを見上げおり★★★
花は咲く誰も訪ねぬ山中に★★★

廣田洋一
人気無き通りにかさと春落葉★★★
滑り台順番待ちの春落葉★★★
二三枚川に浮かびし春落葉★★★

古田敬二
青空へ揺れて楢の木芽吹きけり★★★
芽吹き盛ん相生山の膨れけり★★★★
調べると、相生山は名古屋市にある標高60mほどの低山とある。市民の緑地として整備され自然もゆたか。オオタカの巣も見られると言う。生活の中に楽しめる相生山の木々が芽吹き山が膨らむ。これからいい季節が待っている。(高橋正子)

豆の花豆にならんと咲きにけり★★★

桑本栄太郎
建仁寺土塀の中に花かりん★★★
花屑の舞いて立ち居りつむじ風★★★
花虻や幼き日々の母想う★★★★

4月14日(5名)

小口泰與
欅大衆の山風を鷲づかみ
「欅大衆」は「欅大樹」の間違いでしょうか。

夜桜や二人乗りたる観覧車★★★★
傘寿にて趣味は二つよ亀の鳴く★★★

廣田洋一
行き付けの書店閉じられ春惜しむ★★★
春惜しむ丹沢の山煙りをり★★★★
道端に咲く花々に春惜しむ★★★

多田有花
廃線の枕木のそばすみれ咲く★★★★
すみれ咲くアスファルトに咲く花として★★★
青空に花見の歌の聞こえ来る★★★

桑本栄太郎
山並の京へとつづく花の雲★★★
土手草の青む車窓や阪急線★★★★
からし菜の中州占めたり桂川★★★

古田敬二
初燕池の賑わい始まれる★★★
初燕鏡のような水面に(原句)
初燕鏡のような水面を★★★★(正子添削)
今年また無人駅舎につばくらめ★★★

4月13日(5名)

古田敬二
飛花落花飛騨川の峪崖深し(原句)
飛騨川の峪崖深し飛花落花★★★★(正子添削)
友見舞う窓辺に飛び交う初燕★★★★
満開を見上げる空の飛行体★★★

多田有花
山頂まで三葉躑躅の道をゆく★★★
ものの芽の彼方に山の連なりが(原句)
「が」で止めたところは、落ち着きが悪いです。
ものの芽の彼方や山の連なれり★★★★(正子添削)

山ひとつ登って下りる谷朧★★★★

小口泰與
遠山はまだ銀嶺や桜狩★★★★
花筵ギター片手に乾杯す★★★
うとうとと辞書に顔伏し亀鳴けり★★★

廣田洋一
仔馬跳ね草露跳ねる牧の朝★★★★
大流星しっかり継ぎし仔馬かな★★★
馬の仔の額の白は母親似★★★

桑本栄太郎
平成の御代を惜しめり花吹雪★★★
散り敷きてなほ蘂酔ふや花あはれ★★★
休日の園の花壇にチューリップ★★★★

4月12日(5名)

古田敬二
陽光の入り陽に続く春の海★★★
にぎやかに満開近きシデコブシ★★★★
白々と街路両側シデコブシ★★★

多田有花
のどけしや残る枕木踏みつゆく★★★
トンネルを出れば鉄橋風光る★★★★
遠目にも大きく見えて江戸彼岸★★★

廣田洋一
覚ましを止めて遠ざけ朝寝かな★★★
大朝寝時計は鳴らず烏も鳴かず★★★
朝寝など許されぬ旅吉野山★★★★

小口泰與
上り簗越後魚沼魚野川★★★★
水荒き春の魚野川(うおの)の簗場かな★★★
春なると決まって出づる恙かな★★★

桑本栄太郎
校門の花や早くも花吹雪★★★★
花屑の舞いて立ち居りつむじ風★★★
赤白黄斑もありぬチューリップ★★★

4月11日(4名)

多田有花 
うららかや廃線跡をハイキング★★★
渓流と桜を愛でしハイキング★★★
トンネルの闇の向こうに春の昼★★★★

小口泰與
砂びの穴の五六個牡丹百合★★★
咲き満ちて烈風にあう杏かな★★★
利根川の煌煌とせる桃の花★★★★

廣田洋一
うつすらと白き流れや春の雲★★★
ビルの窓白く光れる春の雲★★★★
逆上がりやつと出来たり春の雲★★★

桑本栄太郎
坂道をたゆとう歩む花の屑★★★★
花びらの舞いて散り初む花あはれ★★★
風吹かば誰れぞ留めん花吹雪★★★
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自由な投句箱/4月1日~10日

2019-04-07 11:02:03 | Weblog

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
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今日の秀句/4月1日~10日

2019-04-07 11:01:28 | Weblog

4月10日(1句)

★空堀にたんぽぽ溢れ彦根城/桑本栄太郎
花冠の大阪大会で、琵琶湖・長浜を案内いただいたとき、湖畔から彦根城を眺めた。空堀は見なかったが、彦根城の空堀にたんぽぽが咲いて、春の季節ならは特にであろうが、今は昔を思い知らされる。(高橋正子)

4月9日(1句)

★の花競ひて天に伸び行けり/廣田洋一
松の花がたくさん、密に伸びている様子は、春空へ伸びるのを競っているようにも思える。それだけ勢いのある松の花だ。(高橋正子)

4月8日(1句)

★咲き満ちし花を散らせる禽の数/小口泰與
もとの句は、「咲き満ちて花を散らす」のが「禽(の数)」となって、句意が通りにくい。
咲き満ちた花を散らすのは、風ではなく、花の蜜を吸いに来た禽たち。いろんな禽がいるのだろう。豪華な景色だ。(高橋正子)

4月7日(2句)

★はくれんの飛び立つ如し不動堂/多田有花
飛び立とうとするような純白のはくれんに不動堂が取り合わされて、構成のしっかりした句になっている。(高橋正子)

★いずこかに鳥の巣の有り声高し/廣田洋一
高いところから盛んに鳥の声が聞こえる。この声高さは、鳥の巣がきっと近くにあると思える。春なればこその朗さ。(高橋正子)

4月6日(1句)

★たそがれて残花散り行く街の角/廣田洋一
たそがれの街を残花が散ってゆく。街角にきてそうなのだ。花の哀愁とでも言うのだろうか。(高橋正子)

4月5日(3句)

★清明の水吸う苔のふくらみぬ/廣田洋一
「清明の水」と言われ、冷たく清らかな水が思える。その水を含んで苔がふくらむ。清明の日より万物は明るく潤っていくように思える。(高橋正子)

★おにぎりを頬張るごとに山笑う/小口泰與
縁先でも、野山でもいい。塩味の効いたおにぎりの美味さ。頬張るごとに山が笑う。健康な句だ。(高橋正子)

★あぜ道の吾に鳴くなり揚雲雀/桑本栄太郎
もとの句には「一人」があった。吾に鳴くのであるから、仮に周りに人がいたとしても、雲雀が高くより鳴声を落としてくれるのは、「吾一人」にである。揚雲雀とつながる嬉しさ。(高橋正子)

4月4日(1句)

★花を見て仁王像見て山に向かう/多田有花
仁王像があるのは、寺であろう。山すその寺の桜花、そして仁王像。花の匂わしさ、仁王像の力強さがうまくマッチして英気を養ってくれるようだ。そして山へ向かう。その溌剌さがいい。(高橋正子)

4月3日(1句)

★花冷やもてなしの茶を頂きぬ/廣田洋一
花冷」という寒さに、もてなされた茶のあたたかさ。花の季節の麗しさが加わり一服の茶にしみじみと心和む。(高橋正子)

4月2日(1句)

★木の芽時溶岩台地のうるおえり/小口泰與
溶岩が流れ出て作られた台地。そんな台地も木の芽時の雨にうるおい萌える気配がある。(高橋正子)

4月1日(2句)
★染井吉野咲き初む高き一枝より/多田有花
高い枝、空に一番触れる枝から咲き始めた桜。さきがけの瑞々しさに触れた嬉しさ。(高橋正子)

★植込みのつつじ咲き初む駅舎かな/桑本栄太郎
「つつじ」と「駅舎」の取り合わせがリアル。日常という現実感の強さに惹かれた。(高橋正子)
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4月1日~10日

2019-04-07 10:50:45 | Weblog

4月10日(4名)

多田有花
朝日さすやまとごころの山桜★★★
少年の手足は長く伸びて春★★★★
快晴の空に舞いおり初燕★★★

小口泰與
湖釣の竿に魚信(あたり)や春炬燵★★★

砂浴びの雀や風の黄水仙(原句)
砂浴びの雀と風の黄水仙★★★★(正子添削)
砂浴びの雀と風の黄水仙は、同じくらいの意味の重みがあります。片方だけに「かな」を付けると句がまとまらなくなります。

耕しの鍬振り上げて禽を追う★★★

廣田洋一
雨に打たれ花弁一つ零れけり★★★
道の端ぱつと明るく躑躅咲く★★★
紅躑躅広く見えたる狭庭かな(原句)
紅躑躅狭庭の広く見えしかな★★★★(正子添削)
「広く見えた(る)」ことに心が動いたのではないでしょうか。「かな」は、感動の中心につけてください。

桑本栄太郎
<彦根城三題>
空堀にたんぽぽ溢れ彦根城★★★★
花冠の大阪大会で、琵琶湖・長浜を案内いただいたとき、湖畔から彦根城を眺めた。空堀は見なかったが、彦根城の空堀にたんぽぽが咲いて、春の季節ならは特にであろうが、今は昔を思い知らされる。(高橋正子)

生きてなお散る時想う花の宴★★★
天守より眼下に春の淡海かな★★★

4月9日(3名)

小口泰與
ほわほわと赤子指差す桜かな★★★
あと一杯止むや目の前桜餅★★★
春灯やカメラの前の吾子二人★★★

多田有花
五重塔春しぐれあがる青空に★★★
リズムが整っていないのが難点です。

花時の中金堂から南円堂★★★★
花満喫そば定食で締めくくる★★★

廣田洋一
下枝の若葉鮮やか桜かな★★★★
花吹雪風にあおられ散り散りに★★★
松の花競ひて天に伸び行けり★★★★
松の花がたくさん、密に伸びている様子は、春空へ伸びるのを競っているようにも思える。それだけ勢いのある松の花だ。(高橋正子)

4月8日(4名)

小口泰與
咲き満ちて花を散らせる禽の数(原句)
咲き満ちし花を散らせる禽の数★★★★(正子添削)
もとの句は、「咲き満ちて花を散らす」のが「禽(の数)」となって、句意が通りにくい。
咲き満ちた花を散らすのは、風ではなく、花の蜜を吸いに来た禽たち。いろんな禽がいるのだろう。豪華な景色だ。(高橋正子)

はくれんや池を賑わす鯉の群★★★
咲き満ちて花二三片散りにけり★★★

多田有花
春雨の二月堂から大鐘へ★★★
桜咲く大仏殿に来ています★★★
柱くぐり再誕生の春となる★★★

廣田洋一
虚子の忌や「一日一句」開きたる★★★★
花祭り釈迦駅中に立ちたまふ★★★
天を指す御手にも甘茶かけにけり★★★

桑本栄太郎
外灯の電線うなる春疾風★★★
たぷたぷと波の岸辺に春嵐(原句)
たぷたぷと岸辺の波や春嵐★★★★(正子添削)
「たぷたぷと」が修飾しているのが「岸辺」となって、句意が分かりにくいです。

風に躍る下枝や花の冷え★★★

4月7日(4名)

多田有花
はくれんの飛び立つ如し不動堂★★★★
飛び立とうとするような純白のはくれんに不動堂が取り合わされて、構成のしっかりした句になっている。(高橋正子)

しぐれくる枝垂桜や二月堂★★★
衆生われ春の坂道を下る★★★

廣田洋一
巣造りの枝を咥へし小鳥かな★★★
高枝に鳥の巣一つかけられし★★★
いずこかに鳥の巣の有り声高し★★★★
高いところから盛んに鳥の声が聞こえる。この声高さは、鳥の巣がきっと近くにあると思える。春なればこその朗さ。(高橋正子)

小口泰與
まっさおな空に下校や花ミモザ★★★★
竹秋や割れ煎餅の量り売り★★★
夕暮の魚籠よりこぼる蕗のとう★★★

桑本栄太郎
京なれや源平桃の鴨川に★★★★
せせらぎの祇園白川花かがり★★★
自由とは斯くも哀しき放哉忌★★★

4月6日(4名)

多田有花
ウエディングドレスを乱し春疾風★★★★
春疾風に押されつ鶯塚古墳★★★
広々と若草山の春の芝★★★

小口泰與
赤城嶺のなで肩にして笑いける★★★
若柳や小舟を担ぐささら波★★★
落椿雀の嘴の光おり★★★★

廣田洋一
残花なほとどまる道を出勤す★★★
たそがれて残花散り行く街の角★★★★
雨雫朝日に光る残花かな★★★

桑本栄太郎
川べりを埋めて花見の地道かな★★★
堰水の音を聞きつつ花見人★★★★
愛の巣の軒の内なりつばめ来る★★★

4月5日(4名)

多田有花
春の鹿寄りくる何か食べおれば★★★
奈良一望春の若草山に立つ★★★
咲き満てる桜の下で昼ご飯★★★

廣田洋一
清明やスマッシュしたる卓球台★★★
清明の水吸う苔のふくらみぬ★★★★
清明の風にそよげる庭の草★★★

小口泰與
丈六へ風を纏うや鐘おぼろ★★★
太古より変わる川筋鳥曇★★★
おにぎりを頬張るごとに山笑う★★★★

桑本栄太郎
あぜ道の吾一人なり揚雲雀(原句)
あぜ道の吾に鳴くなり揚雲雀★★★★(正子添削)
「一人」が効いていないように思います。

菜の花や西へ東に選挙カー★★★
川風に躍る下枝や花の冷え★★★

4月4日(4名)

多田有花
氷室神社奈良の一番桜かな★★★
花を見て仁王像見て山に向かう★★★★
仁王像があるのは、寺であろう。山すその寺の桜花、そして仁王像。花の匂わしさ、仁王像の力強さがうまくマッチして英気を養ってくれるようだ。そして山へ向かう。その溌剌さがいい。(高橋正子)

桜咲く若草山を目指しけり★★★

小口泰與
物言わぬ巨石や春の里の川★★★
里川を下る六羽の春の鴨★★★
初雷や焼き饅頭の味噌の味★★★★

廣田洋一
えいやつと持ち上げられしたんぽぽかな★★★
自己主張の黄色たんぽぽ土手に咲く★★★
渡来人の住みたる里や帰化たんぽぽ★★★

桑本栄太郎
つくし野や夕日の畑に遊びをり★★★
鳴き明かし真つ逆さまに雲雀落つ★★★
夕風のふるさと偲ぶ著我の花★★★

4月3日(4名)

小口泰與
釣糸の雁字搦めや独活もどき★★★★
たんぽぽや出入り激しき駐車場★★★
おにぎりを結ぶ手のひら未開紅★★★

多田有花
曙の空見て春の奈良に向かう★★★
工場にも療養所にも桜咲く★★★
ボートゆく桜並木の下をゆく★★★★

廣田洋一
花冷のコートの厚さ迷ひたる★★★
花冷やもてなしの茶を頂きぬ★★★★
花冷」という寒さに、もてなされた茶のあたたかさ。花の季節の麗しさが加わり一服の茶にしみじみと心和む。(高橋正子)
花冷の雨にたたられ吉野かな★★★

桑本栄太郎
風吹けば手招きしたる雪柳★★★
豌豆と云えどからすの花咲きぬ★★★
何もかも記憶飛びそう揚ひばり★★★★

4月2日(4名)

小口泰與
三代の御代を寿ぎ未開紅★★★

畦道を猫の駆け行く諸葛菜(原句)
句意をはっきりさせると句の姿が整う。
諸葛菜猫の駆け行く畦の道★★★(正子添削)

うるおえる溶岩の台地や木の芽時(原句)
木の芽時溶岩台地のうるおえり★★★★(正子添削)
溶岩が流れ出て作られた台地。そんな台地も木の芽時の雨にうるおい萌える気配がある。(高橋正子)

多田有花
八重紅梅に当たる日差しの強さ増す(原句)
「当たる」は余分。
八重紅梅強さ増したる日差しかな★★★★(正子添削)

枝垂桜まだ幼きが咲き始め★★★
四月来る高き主塔の彼方より★★★

廣田洋一
芽吹きたる柳の揺れる平城京跡★★★
鬱蒼たる林抜ければ桜かな★★★

せせらぎの音に揺れける滝桜(原句)
せせらぎの音に揺れけり滝桜★★★★(正子添削①
せせらぎの音にも揺れて滝桜(正子添削②)

桑本栄太郎
揚ひばり途切れとぎれや風の野に★★★
花冷えや遠くの孫の今日入園★★★
東風荒れや独り昼餉の妻の留守★★★

4月1日(4名)

小口泰與
浅間燃えなぞえに川や花杏★★★
噴煙の垂直に起ち風光る★★★★
霾や眼鏡のパット替えにける★★★

多田有花
染井吉野咲き初め高き一枝より(原句)
染井吉野咲き初む高き一枝より★★★★(正子添削)
高い枝、空に一番触れる枝から咲き始めた桜。さきがけの瑞々しさに触れた嬉しさ。(高橋正子)

その白き色こそ貴し山桜★★★
咲き初めし桜へ一日雨の降る★★★

廣田洋一
見はるかす山並み染める桜かな★★★
山肌になだれ咲きける辛夷かな★★★

山門に音立てて降る春霰(原句)
山門に音立て降るや春霰★★★★(正子添削)

桑本栄太郎
元号の令和と決まり春惜しむ★★★
裏庭の鉢に爛れや黄水仙★★★
植込みのつつじ咲き初む駅舎かな★★★★
「つつじ」と「駅舎」の取り合わせがリアル。日常という現実感の強さに惹かれた。(高橋正子)

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