鴨着く島

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抗体率の不思議

2020-06-18 13:44:30 | 日記
一昨日、東京・大阪・宮城の住人から無作為に選んだ8000人の新型コロナウイルスに対する抗体の有無を調べたら、東京が0.1パーセント、大阪0.17パーセント、宮城が0.03パーセントしかいなかったそうである。

私は目を疑った。宮城はもともと感染者が少ないのでこんなものかと思ったが、東京の0.1パーセント、大阪の0.17パーセントには非常に驚いた。あまりに低いからだ。

特に東京などは非常事態宣言発令中でもずうっと通勤電車は動いていたし、通常に近い勤め人も多かったのに0.1パーセントということは、総人口が930万くらいだから感染して抗体ができた人は計算上は9300人ほどになる。

これまで感染して入院した人は5600人くらいなので、差し引き4700人くらいの人は感染しても症状に現れないうちに抗体ができてしまったのだろう。そう考えるほかはない。

ただ問題は症状に現れないからといってウイルスには感染しているわけだから、この人たちは気付かないうちに濃厚接触者にウイルスをうつしているはずで、うつされた人の中にはうつした本人よりも免疫力が低いために発症した場合も多かったと思われる。

無症状感染者で家族持ちの場合、家庭内で濃厚接触するであろう配偶者や子供、父母、祖父母などのうち、まず症状化するのは高齢の祖父母であろうが、子供はやはり免疫力が高いので、そのまま無症状でいるうちに抗体ができるのだろう。


ニューヨークや欧米などでは抗体率が20パーセントとか10パーセントと高いのだが、自分は東京あたりも欧米並みに10パーセントくらいは感染しているのではないかと思っていた。

それがこの超低率である。一体その差は何なのか?

東京では99.9パーセントの人がウイルスを寄せ付けなかったことになるが、そんなことは可能だろうか。

どんなに三密や人との接触を避けていても、すべての人が医療用の防護服でも着て暮らしていない限りは無理だろう。99.9パーセントがウイルスフリーだったとはそういう状況である。

日本人の感染者が少ないのは世界的に見て奇観だそうであるが、アジア地区は押しなべてそういう傾向にある。

ベトナムや台湾は17年前に流行した同じ中国発のウイルス(serz)の時の教訓を今回徹底的に生かして、感染者・死者ともに極小に押さえるのに成功した。

その点は買うにしても1月23日の武漢封鎖までに中国本土人の行き来は相当にあったはずで、それを勘案すると、やはりアジア人には何らかのウイルス感染を抑える抗体のような物が備わっていたと考えたほうが良い。

その「抗体のような物」とは、新型コロナウイルスが体に入った時に生まれる新型コロナウイルス専用の抗体とは別の何かだろうか。

その別の、以前から大抵の日本人の体に備わっている抗体(集団免疫)が、今度の新型ウイルスが体に入るや否や即やっつけてしまう(無力化する)ので、新型ウイルス専用の抗体を作らずに済んだのかもしれない。

BCG接種を常に行っている国は感染率が低いと言われている。しかしBCGは結核菌に対する抗体作りのための処置だから、新型コロナとは直接結びつけられないだろう。

いま盛んに「ファクターX」という言葉で、日本人の感染率の低さの原因を探る動きがあるが、それはそれで是非とも解明して欲しいが、それより、これだけ感染率が低く抗体を持っている人が少ないと、次の第2波がやって来た時に感染者がぐっと増えはしないかと心配である。