鴨着く島

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弾劾訴追

2021-01-16 13:34:13 | 日本の時事風景
アメリカでは連邦議会議事堂に乱入した支持者の群れを先導したとしてトランプ大統領が下院で弾劾訴追されるという事態になっている。

トランプ大統領は任期中に、一度は自分の選挙戦を有利に進めるためにウクライナに便宜を図ったことで弾劾訴追され、今度また弾劾されたので2度ということになり、これはアメリカが大統領制度になって初めての出来事だそうだ。

何とも「往生際の悪い」人である。今度の選挙戦で国民が各州の選挙人を選ぶのにコロナ禍の中、郵便投票が爆発的に増え、そこに不正があったと主張してやまないのだが、すでに不正がなかったことで決着しているのだ。

我が事を批判されると「それはフェイクだ」と開き直り、ツイッターでは言いたい放題である。これが3億の人口を抱え、世界の超大国として君臨してきたアメリカの最高指導者だろうか。

だいたいクリントン候補に勝った最初の選挙は国民投票総数的には負けていたのだが選挙人で辛勝したに過ぎず、あの時クリントン女史が潔く負けを認めず法廷に持ち込んでいたらどうなったか分からない。

トランプにはそういう潔さはないのか。情けないおやじである。

今度下院・上院がともに弾劾訴追に踏み切るにしても、21日のバイデン次期大統領の就任式より後に判決が出るから「訴追による罷免」はないが、公職に就くことができなくなるので、次の大統領選挙に再度出る選択肢は無くなる。やれやれだ。

トランプの実績はただ一つ「核問題で膠着状態だった北朝鮮の金正恩と差しで話したこと」だろう。この芸当はアメリカで中央・地方を問わず議会から成りあがった行政経験者では到底できなかったことである。評価は大いに分かれるところだが、実績は実績だ。

金正恩は日本からのオファーも幾分は期待していたようだったが、シンゾーはドナルド任せで動こうとしなかった。「私の任期中に拉致問題は解決しますよ」と大見得を切ったはずだが、全くの空約束(虚言)だったことになる。日本には弾劾訴追制度はないのだが、あったら訴追ものだろう。

弾劾訴追と言えば隣の韓国では、つい最近、先の大統領だったパク・クネが最高裁で懲役20年、罰金20億ウォンだかの判決を受けたようだ。あのセオウル号沈没事故の際に陣頭指揮を執るのが遅れたと盛んに批判を浴びたが、それよりも判決の容疑は財閥からの不正な資金調達で、友人の崔順実と共謀したのが罪に問われたらしい。

韓国では日本と違って戦後は「財閥にあらずんば」という経済社会がそのまま続いているのだそうだ。熱烈な大学受験戦争もそれら財閥企業に入社するのが最高の目的と聞く。

ところでパククネはお父さんがこれも大統領になった朴正熙であり、この人は日本の陸軍士官学校を出ており、軍人のまま満州で終戦を迎えている。「漢江の奇跡」と言われた韓国の高度成長期を指導したとして評価は高いそうだが、娘の朴槿惠(パククネ)には理系の勉強を勧めたようで、パククネは西江大学の電子工学科を「首席で」卒業したとウィキペディアによる経歴に出ている。

私はこれを知って「ははあ、著名人とくに政治家などによくある首席で卒業というパターンなのか」、と首を傾げた。

というのは、つい最近図書館で『女帝 小池百合子』(石井妙子著 文芸春秋刊)という本を読んでいたのだが、この小池も経歴に「エジプトのカイロ大学社会学科を日本の女子で初めて卒業した。しかも首席で」とあるのだ。

著者によると「首席どころか、ちゃんと卒業したかも怪しい」のだそうで、その裏付けは小池がエジプトに留学した際にアパートで同居していた10歳くらい年上の女性の証言で、小池は日本に帰る際、女性に「ばれちゃうから私のことは何にも話さないでね」ということをのたもうたそうである。帰国してすぐに<若き日本女性エジプトに学ぶ>というようなタイトルの本を出しているから、そのネタがばれるのを防ぐためだったろう。

この小池のエジプト行きは父・勇二郎の勧めらしい。勇二郎という人は石油の仲買などの商売をしていた人だが、大ぼらを吹くので有名だったようだ。政治にも非常に高い関心を持ち、事実、一度は兵庫県から国会議員選挙に打って出ている。父親から大きな影響を受けたという点でもパククネと小池百合子は似ている。しかも生年も同じ1952年。

またパククネは韓国史上初の女性大統領であり、自ら「ジャンヌダルク」を名乗ることがあったというが、小池百合子もしばしば自分をジャンヌダルクになぞらえる発言をしている。

小池百合子もパククネ同様最高権力者に上り詰めるのか、本人は新政党を作ったりしてどうも満更ではないようだが、しかしまた国政に出たら「渡り歩き」を繰り返すのではないかという気がする。都知事あたりで収まってくれることを望む。