鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

集落の稲刈り(2023.10.15)

2023-10-15 16:06:21 | おおすみの風景

今日は属している町内会で稲刈りがあった。

集落センターから100mほどの田んぼ地帯の中に5月に田植えをした2枚の田のうち、もち米を植えた方の田を刈り取った。

一週間前の8日を予定していたのだが、あいにくの雨降りで、今日に延期されていた。

実によい日和で、10月に入ってからの秋の濃厚な気配が、吹いてくる西風に乗り、暑からず寒からずちょうど3週間遅れの彼岸を思わせた。

秋の彼岸の頃に咲いていたヒガンバナはもうどこにも咲いていないが、黄色のコリウスという名のヒガンバナ科の花はまだ旺盛で、そこここの家々の庭を明るくしている。

10時頃から始まった稲刈りは手刈りではなく、コンバインという名の大型機械が活躍した。

ちょうど1反(1,000㎡)ほどの面積の田で、ほぼ1時間で刈り取った。

田植えの時は一部で手植えをしたので、少しは田に入り、それらしき作業をしたのだが、この刈り取りでは高齢者が座るスチール椅子を準備したくらいでコンバインの動きを見守るだけだった。

刈り始めると面白いのが、必ず姿を見せるサギである。

今日はシラサギのつがいと、アオサギの一羽が姿を見せ、刈り取ってむき出しになった田面に降り立ち、驚いて飛び立つバッタなどを捕獲しているようだ。

サギは田植え前の泥田にもやって来て冬眠から覚めたばかりのカエルやミミズなどをエサにする。何も植えられていない田や畑に降りて細長い脚とくちばしを土くれに入れてついばむ姿は、春先の風物詩でもある。

薩摩半島の出水平野では間もなくシベリア方面から朝鮮半島を経由してたくさんの鶴(主にナベヅル)が飛来するが、向こうでは刈り取られた田をねぐらにしてひと冬を過ごす。

その間、人間が穀類中心のエサやりをして保護するのだが、いささか人工的だ。去年は鳥インフルエンザが猛威を振るい、ナベヅルやカモなどが罹患し、その影響で採卵鶏が伝染し、数十万羽が殺処分された。

渡り鳥の「万羽ヅル」は出水平野の秋から冬にかけての風物詩で観光に一役買っているのだが、感染症を持って来る可能性が高く、養鶏農家はおちおちしていられない。

こちらでよく目にする冬の渡り鳥はまずもって鴨だが、肝属川を始め姶良川、串良川、菱田川などの河川内に留まることがほとんどで、養鶏農家に被害を及ぼしたという話は聞かない。

サギは渡り鳥ではなく、さして集団性は無いから行動も単独か夫婦で、よくトラクターが耕運するあとに付いてカエルやミミズをあさる姿は悠然としており、優雅にさえ見える。

振り込めサギは困る存在だが、田畑(でんぱた)サギはほのぼのとしている。