鴨着く島

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令和の大嘗祭

2019-11-17 08:44:17 | 日本の時事風景
11月14日の夕刻から始まり15日の夜明け近くにかけて行われた「大嘗祭」が無事に執行された。

令和が5月1日の「剣璽承継の儀」と「即位後朝見の儀」で始まり、この大嘗祭によって皇太子徳仁様が「天皇の命(いのち=シメイ)」を顕霊にわたって奉持する玉体となり、これから何年続くかは分からないが、とにかくようやく「令和時代」が名実ともに始まったことになる。

もっともこの後、伊勢神宮をはじめ諸神宮へ、また神武天皇陵はじめ昭和・大正・明治・孝明の4代の各天皇陵および賢所・皇霊殿・神殿への「親謁の儀」という天皇自らが参拝される行事が控えていて、それらをすべて遂行してやっと一連の即位関連行事が終了する。ちょうど半年かかったことになる。

大嘗祭(だいじょうさい)は通常行われる一年毎の「新嘗祭(にいなめさい)」の即位礼バージョン(一世に一回限り)で、もちろんその規模が大きく新嘗祭とは比較にならないが、どちらも祖先神アマテラス大神の「神勅」である「斎庭の稲穂の教え」により天皇自らが新米を神に供えお下がりを食べる「直会=共食」のことで、いかに日本が古来から稲を大切にしてきたかが見事に分かる行事である。

占いで決める「悠紀田・主基田」の米のみならず全国から献上された特産品なども一緒に食されるらしいから、この行事によって全国各地の「命」をも玉体に付加せられるのだろう。

このような即位の儀式を行う国(王国)を寡聞にして知らないが、実に貴重な現代の神事である。

イギリスの王位継承ではウェストミンスター寺院だったか、国王(女王)が出向いてそこで司教に聖水を掛けられ祈りを捧げられたあと、「戴冠式」をおこなってもう王位継承(王権神授)である。ほかの多くの王国でも宗教上の祈り(祝詞)こそ違え、似たようなあっさりとしたものだろう。

人によっては大嘗祭は皇室の宗教行事で「おとぎ話」の類であり、あんなものに多額の税金を使うのはどうか(今度の大嘗祭一連の費用は28億円だそうだ)と思っている向きもあるが、オリンピック・パラリンピックで数千億を費やしていることと比較してみて決して高額ではない。

今度の東京オリンピックでは、たった半日で終わるマラソン競技などのロードレースに配慮して道路に特殊な防熱加工を施すため300億を投入したと聞くが、無駄なことをしたものだ。だいたい熱帯地方より蒸し暑いと言われる真夏の東京でやること自体がおかしい。

今度のオリンピックは「東北大震災復興五輪」というスローガンで誘致したはずで、現にボート会場は東北でやるなどと最初はそれらしき動きを見せていたが、いつの間にか雲散霧消し「何が何でも東京で」と走り出してしまったから、マラソンおよび競歩だけでも札幌で行えば、スローガンに若干でもお墨付きが付くではないか。

ーー閑話休題。

ともあれ令和時代は新天皇のもとで名実ともに始まった。

明治・大正・昭和・平成に加えて令和と、記憶に新しい身近な元号が五つもあるのは煩わしいかもしれない。しかし日本には古来「中今(なかいま)」「節折(よおり)」という考え方がある。

「中今」は年代・年号などに関係なく今与えられた環境・条件の中で、遮二無二に一生懸命やるということ。「節折」は遮二無二やった後、一段落させてお茶でも飲みながら出来栄えを振り返ってみるということ。

これを元号に当てはめると、平成は平成らしく一生懸命やって来た(=中今)が、ここらで平成時代を振り返り反省(是非)を加えながら(=節折)次のステップ令和に進もうーーということになる。

人生でも「中今」の時と、「節折」の時があり、一生懸命生きるのだが、節目節目(節句や記念日)では過去に思いを致し、その是非善悪をもう一度振り返ることが必要なのは全く同じである。節目の無いのっぺらぼーな人生では周りのことが分からなくなり、結局自分の立ち位置も分からなくなる。


・・・元号に関しての追記・・・

①西暦を日本の元号に換算する方法
  西暦から1867年を引くと「明治○○年」となり、1911年を引くと「大正○○年」になり、1925年を引くと「昭和○○年」になり、1988年を引くと「平成○○年」になり、2018年を引くと「令和○○年」になります。(一例・・・1889年は1889-1867=23となり明治23年である。)

②「元号○○年」を西暦に直す方法
  元号が明治なら明治○○年に1967年を足し、大正なら大正○○年に1911年を足し、昭和なら昭和○○年に1925年を足し、平成なら平成○○年に1988年を足し、令和なら令和○○年に2018年を足します。
  (一例・・・平成18年は18+1988=2006で西暦2006年である。)
  


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